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当たり前を求めない【加筆修正】

※ このコラムは、過去のあまり読まれていなかった記事を取り上げて、その内容を加筆修正したものとなります。


お客様から、これまでの「お問い合わせへの対応」についてのお叱りをいただきました。

社長と話がしたいとのことでご連絡をいただきましたので、本部で私がお電話を受け付けた際に言われたのは、これまでも拠点の方には再三言い続けてきた、とのことでした。

当社には、お客様からご指摘を受けた内容はクレームとして捉えて、そのクレームは必ず報告するという方針があり、「クレーム報告書」という書式も用意があります。

何をクレームとするかと言いますと、お客様から「いつもと違うこと」を言われたのであれば、それらは全てクレームである、ということになります。

「何かしらのご指摘を受ける」というのは、当然ながら「いつもとは違うこと」に該当します。

何かしらのご指摘を受けることが日常茶飯事になっているようであれば、それはそれで大きな問題ですし、そんなことが続くようであればお客様にはとっくに見限られているはずです。

ところが、この件については、これまでに拠点から報告が上がってきた履歴は一切ありませんでした。

拠点長に確認してみると、「私はそれをクレームとしては捉えていません」と呆れるような回答が返ってきました。

これは明らかな方針違反なので、この拠点長に対していろいろと思うところはありますし、最終的にはこの件をきっかけに管理職からは下りていただくことに決めたのですが、今回の本題は別のところにあります。

会社側にとっての当たり前と、お客様側にとっての当たり前、この両者の当たり前に齟齬が生じた時に、問題は発生するのだと思っています。

あらためて、当たり前って何でしょうか。

調べてみると、辞書には

そうあるべきこと、そうすべきこと。また、そのさま。
普通のこと。ありふれていること。また、そのさま。
並み。ありきたり。

とあります。

つまりは、「分かりきっていること」や「明白で紛れもないこと」という解釈ができますが、これらは同じ価値観のもとにおいて、はじめて共通事項・共有事項として認識されるもののことでもあります。

  • 規範

  • 与えられた役割

  • 義務

  • 習慣

  • 方針

これらは、国や文化、組織が変われば全く別のものとなります。

ということは、仕事において「当たり前」を適用して問題がないのは、あくまでも自社内や自分自身に当てはめた場合において、なのではないでしょうか。

お客様は社外の方ですから、同じ規範、同じ役割、同じ義務、同じ習慣、同じ方針のもとには判断をされていません。

「こちらの当たり前をあてはめてはいけない対象」と捉える必要があります。

また、クレームというのは、「こちらの当たり前がおかしい」ということをご指摘いただいているということでもあります。

あんたのところ、ここを直したらもっと良くなるんだよ

と、お客様が報酬を出してくださった上で、言ってくださっているのがクレームなのです。

普通、我々がサービスを受ける際に、嫌な思いをした時は、黙ってそのサービスを利用するのを止めるだけで、わざわざ言わないことの方が多いですよね。

物凄く前向きに考えていくと、クレームを言ってくださるお客様というのは、そのサービスやその会社のファンでもあるということなのだと思っています。

ですから、クレームというものは「ありがたい(有り難い)」とても貴重なご意見であり会社の成長材料と捉えて対応していくことが、自らの当たり前の価値観をより良く上書きすることにもつながります。

「当たり前」は、同じ価値観が共有できている状況において、自らの在り方にあてはめるもの。

お客様対応に際しては、「相手に当たり前は求めない」という姿勢が大切です。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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