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変化し続ける組織が生き残る

今回は、ウェブセミナーの備忘録となります。

あくまでも個人的な備忘録となりますので、独自の解釈や例えなども入っておりますのでご了承ください。

講演のテーマは下記のとおり。

リタ・マグラス  「ビジネスの変曲点を見極める」
~ 予測不能な時代で発展しつづけるために ~
Sansan Evolution week 2022

世界で最も影響力のある経営思想家のひとりである、リタ・マグラス氏による講演です。


長期的優位から一時的競争優位の時代へ

ひと昔前までは、長期的に優位を保てる戦略を持った会社がひとり勝ちを続けてきました。

ところが、今の時代は「業界の境界線」自体が曖昧になってきており、最大の競合企業は別の業界にいる可能性があります。

例えば、自動車なども動力がガソリンから電気にとって代わっていくとすると、ガソリン会社よりも電池メーカーの方が力を持っていくでしょうし、自動車の開発についても動力が電気となればデジタル関連の会社など自動車産業以外からも事業参入しやすくなります。

今の会社の価値や利便性や妥当性というのは、こうした業界外からの競合の参入によって引き下げられていきます。

現在は、「一時的競争優位」のある企業が力を持っています。

それでは、この「一時的競争優位」のある企業の特徴とは何か。

それは、企業を転換する能力。

  1.  妥当性を失ったビジネスから手を引くことができ、

  2.  今あるリソースを別の分野に振り向けて、

  3.  そのための新たなスキルが獲得できるかどうか。

かつてのビジネスは、他社が追従できない競争優位性の中に誕生していました。

「何をするとどうなるか」と原因と結果を研究し、予測能力を獲得し、この予測可能性に基づいて指標を導き出してきました。

そして、こうした指標や法則を組織を動かすその他すべての側面に当てはめて、戦略的なビジネスモデルを確立してきました。

ところが、前述したように、様々な革新的な発明によって業界間の境界線があやふやになってきた今、確立してきた戦略の転換点は「ゆっくりとそして突然に」訪れます。

前述したように、ガソリン車は電気自動車に取って代わられ、レンタルビデオ屋は定額制のネットフリックスなどに取って代わられます。

そして、この「戦略転換点」に到達すると、そのビジネスは10倍速に変化していきます。

商売の拡散するスピードだけでなく、低価格化やデジタル化も急速に進んでいきます。

では、生き残るために、大きな変化が襲ってきた時に早期にそれを察知し戦略的な対策を講じるにはどうすればよいのか。

「雪は末端から溶ける」という概念があります。

「未来を左右する変化は、経営会議からではなくて組織の末端から起こる」ということです。

その兆しをいち早く発見できる組織であるかどうかは、次の8つの質問で明確になります。

1.末端の社員と直接かつ個人的につながる手段はありますか?

従業員に会社の考えが伝わっていますか。そして、現場の状況を経営陣に直接的に伝えてもらえる経路や手段はありますか。

2.従業員の多様性は確保されていますか?

生い立ちや考え方、人種や性別など、異なる人の意見に耳を傾けることのできる環境が用意されていますか。

3.稟議不要な組織になっていますか?

小規模ながら構造化された迅速に対応できるチームに意思決定権を与えられているか。上層部からいちいち承認を得る手間を省けているか。3人程度の小規模なチームが、コミュニケーションの負担が軽減され、状況を把握してプログラムを進める能力が向上します。

4.アイデアを試すことをほんの少しだけサポートしていますか?

アドビ社のキックボックスという開発支援の仕組みは、ボックスの中にチョコレートやスターバックスのギフトカード、そして10万円分のクレジットカードが入っており、顧客に関する仮説をテストするためであれば、誰でも使うことができるようになっています。実験や仮設の検証の活性化のためであり、許可を得る必要はなく、学んだ内容を経営陣に報告することだけが条件となっています。

5.定期的にビルの外に出ていますか?

ビルの中に答えはありません。
市場の状況の変化や顧客の現状を観察していますか。

6.報告する動機を与えていますか?

何のために報告をするのか。隠し立てをせず、不利な報告を含めた正しい報告がきちんとなされる社内環境がありますか。

7.否定的になっていませんか?

現実を否定していませんか。
現実を断固とした姿勢で、積極的に見つめ、対策を講じていますか。

8.未来を観察していますか?

未来はすでにここにある。ただ、均等に行き渡っていないだけ。
ウィリアム・ギブソン(SF作家)

仮説を立てて、遠い未来を予想していますか。
未来を感じるにはどこに行けばいいですか。
異業種の業界イベント、電気街、海外など、可能性や世界が変わる兆しを見つける機会を得ていますか。

今から10年後の20歳について知りたければ、今の10歳の子供たちを観察すればいいです。


これからは、企業には「戦略」「イノベーション」「デジタル」を統合的に検討する必要性が求められます。

これまでのまとめとしましては、

  • 戦略は必ずしもかつての意義を持たず、新たな戦略を策定する力とさらに転換する力が必要です。

  • 現在優位な分野からリソースを振り向けることが必要です。

  • 戦略転換点は徐々に近づき、突然その時を迎えます。

現在の競争情勢は、様々な競技が行われている競技場(アリーナ)のような状況であり、そこにリソースが詰まっており、そこに様々なプレイヤーによる多種多様な戦いの模様があります。

これから先、企業に求められる問いは、

  • 自社にとって破壊的なイノベーションを起こす企業が現れる兆しはないか?

  • どうすれば組織の末端から情報を得るか?どのように現実世界と触れ合っている従業員から学んでいくのか?どのように実際の現場の変化を観察する時間を確保するのか?

このように未来を想像することが、将来を見据える経営陣に求められる姿勢です。

そして、いつだって鍵は、サービスをもっとより良くしようとする現場の声と、その現場が主体性を発揮できる環境を企業としてどれだけ用意できているかにかかっているのだと思います。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。


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