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ひいきをしない

介護においてケアを提供して得られる成果、求める成果が何かというと、それはお客様の「状態の回復」であったり「残された機能の維持」となります。

施設サービスであれば、お客様からの報酬は「月々いくら」という包括単位になっていますから、どのような形で関わったとしてもサービス提供の形態は比較的自由度が高いです。

反対にあまり自由度が高いと言えないのが訪問型の在宅サービスなどで、同じ成果を求める過程においては、提供するサービス内容から滞在する時間から決まっていますし、その対価として得られる報酬額も細かく定まっています。

つまりは、限られた条件の中で成果を得られるようなサービスを提供しなさい、ということです。

お客様の状態は一定でないこともありますから、当然日々関わっていく人たちが、関係機関とまめに情報共有をしていくことで、提供するサービスの内容は変化していきますが、それでも制約があるという前提は変わりません。

そんな中で、たまに困った対応をされるスタッフがいます。

「お客様が喜んでくれるから」「ウチの会社はお客様第一主義なんだから」というお客様本位という姿勢を前面に打ち出されるのはいいのですが、それを理由にして、制約を守らない行動をとられてしまうということです。

注意をしようものなら、前述したお客様本位の姿勢を理由に反論をされます。

では、なにがいけないのでしょうか。

それは、全てのお客様に対してサービスを同じような姿勢で提供していないという点です。

このお客様は好きだから、時間も料金も気にしないで、やってはいけないことも何でもかんでもしてあげる。

過剰なサービスを提供して喜んでくださる相手もいるでしょうけれども、その一方で同じようなサービスを提供されていなくて、それを知ったら残念に思われるお客様もいらっしゃるであろうということ。

特定の相手に対して特別な行為をすることを、「ひいきをする」と言います。

また、同じお客様宅に複数のスタッフが訪問することもありますし、ひとりのスタッフが独断でした過剰なサービスは、他のスタッフにも混乱をもたらします。

あくまでも限られた条件の中で、より高みを目指して均一な姿勢でサービスを提供する。

同じ対価をいただいて仕事をする以上は、私たちはひいきをしてはいけません。

そもそも、こういった過剰なサービスを提供されるヘルパーさんは、言い方は悪いですが、古い措置時代の福祉的な「療養上のお世話」をしていて、なんでもかんでも手を出していって、実際のケアの内容はというと、お客様の自立につながるような「活動を促すアプローチ」をしていない人に多い傾向が見受けられます。

関わることが、本来求めている成果につながらないのであれば、そのスタッフが自分に都合よく主張しようとも、その結果はお客様本位にはなっていないということをきちんと理解していただく必要があります。

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