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エッセイのようなもの

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エッセイと呼んで良いのだろうか?
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今も書くときに思い出す、国語の先生の教え。

今も書くときに思い出す、国語の先生の教え。

尊敬する人のひとりに、中学時代にお世話になった国語の先生がいる。先生はおそらく当時40〜50代の女性。わたしは昔から書くことが好きで、その先生に文章表現やスピーチの極意を教わった。

先生は、結構スパルタだった。たとえばスピーチ大会の予選を通過したときは、「今の原稿のままだとまだ弱いから書き直そうね」と赤字がぎっしり入った原稿を返され、シャーペンで手のひらの横を黒くしながら何度も書き直した。「スピ

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夫はチョコレートが減っていることに気づくのか?

夫はチョコレートが減っていることに気づくのか?

バレンタインデーに夫に30個入りのチョコレートをプレゼントしたところ、自分も食べたくなってしまった。普段、チョコレートにあまり興味がないし、自分のために買おうとは思わないのに。人の手に渡った途端、輝きを増してくる。渡してすぐ、「ちょっとちょうだい」と言って恵んでもらったが、その翌朝も、どうしてももうひとつ食べたい。夫はすでに出勤している。

箱の蓋を開けてみた。とても、いけないことをしている気がす

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なんでもエビマヨに換算する夫婦。

なんでもエビマヨに換算する夫婦。

2023年12月23日。あの日を機に、わたしたち夫婦は変わった。

クリスマスを記念した食事を、とあるホテルの見晴らしのよい中華レストランですることにした我らは、ずっしり重いメニュー表を開いてたまげた。

お高い…。ひと皿1万円を超えるメニューもある。せいぜい2500円くらいだろうと思っていた大本命のエビマヨは4500円。ホテルの中華レストランをわたしたちは完全に舐め切っていた。これがぐるナイのゴ

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好きになってくれなかった人。

好きになってくれなかった人。

今でこそ、わたしにとってバレンタインとは家族にチョコレートをあげるだけの平和な日になったが、かつては戦闘モードで迎える日であった。今日はちょっと書くのも恥ずかしい、わたしのダサい昔の恋の話をしてみる。

子どもの頃からわたしはいつも誰かに恋をしていて、小、中、高、大と入学するたびに、「運命の人を見つけてしまったかもしれない!」と一人で、時には仲のいい友人を巻き込んで大騒ぎしていた。モテたわけではな

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朝4時、突然の来客。

朝4時、突然の来客。

午前4時。玄関の方からガチャガチャと音がして目を覚ます。

夫か。「今日は忘年会だ!」と大張り切りで出社した夫がこんな時間に帰宅したようだ。しかし声も聞こえる。酔っ払いのひとりごとにしてはずいぶんハキハキと。なぜ?

ベッドから起き上がり、寝室のドアを開け、「おかえりー」と声をかけてみる。すると夫はわたしを見て、ばつの悪そうな顔で「あぁ…起きたか…」とこぼし、「ほんとにごめん!!これは緊急事態なん

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一大プロジェクト『ロイホのオムライスを食べる』

一大プロジェクト『ロイホのオムライスを食べる』

これは、ロイヤルホストのオムライスを食べるために前日から準備をした記録です。

ロイヤルホスト。それは、田舎の超庶民派家庭に生まれ育ったわたしにとって、子どもの頃は存在さえ知らないファミレスだった。

そのためデビューは遅く、たしか今から5年ほど前。義理の父母と一緒に食事に行ったときである。メニュー表を広げてわたしはおどろいた。

お義父さま、お義母さま。これが、ファミレスなのですか?

どのメニ

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忘年会がひとつもないことを懸念した結果。

忘年会がひとつもないことを懸念した結果。

11月某日。わたしは、あることに気づいて焦っていた。

もしかしたら今年は、忘年会がひとつもないんじゃないか?

飲み会が好きなわけじゃない。行けば四方八方に気を遣ってへとへとになり、どうせ後で「あんなこと言わなきゃよかったー」なんて思い出して凹むんだ。会社員だった頃、いくつかの忘年会はかったるいとさえ思っていた。だがしかし。ひとつも予定がないとなると感じ方は変わってくる。これはさみしいかもしれな

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夫にとってわたしは何なのか、わかった。

夫にとってわたしは何なのか、わかった。

なかなか衝撃的なできごとがあった。以前、夫から聞いた中学時代の思い出話の中に、文化祭の準備に不真面目に取り組んでしまったことで女子と大バトルになり謝罪までさせられたという重大事件があり、すこし前に会話の流れからその話を持ち出したところ、「覚えてない。そんなこともあったっけなあ?」と、とぼけた返事が返ってきたのである。

自分で言ってたじゃんかよ。たしか、7年前くらいに言ってた。あなたの口から聞いた

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プロの仕事に出会ったとき、いつも感じること。

プロの仕事に出会ったとき、いつも感じること。

みなさんは包丁を研いだ(もしくは研いでもらった)ことが、あるだろうか?

恥を忍んで言う。わたしはこれまで一度もなかった。まあまあ長かった一人暮らしの間も、結婚してからも、一度も。酸いも甘いもなんでもかんでも一本の包丁で切り続けてきた結果、切れ味はどんどん悪くなった。刃の鋭さですぱん!はなく、力を加えることでなんとかぐににににと切る感覚。でも、こんなもんだろうとも思っていた。

そんなわたしが先日

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寝られなくても、たのしくなくてもいいや。

寝られなくても、たのしくなくてもいいや。

昨夜は睡眠の体勢に入ってからすぐに寝つけた。朝まで起きずにぐっすりと眠って、目覚めたときに「あ~!わたし寝たー!」と力がみなぎってくるなつかしい感覚があった。何日ぶりだろう。

昨年あたりからかな。睡眠第一、寝るの大好きだったわたしが、寝ることに苦戦する日が増えた。わたしが寝ようとすると、これから起こるかもしれないことへの恐怖や、過去にやらかしてしまったことへの恥ずかしさや悲しさなんかがむくむくと

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「道まちがえてよかった」と思えるようになってきた。

「道まちがえてよかった」と思えるようになってきた。

あるとき、夫の運転する車ででかけていたところ、ナビが教えてくれる最短ルートから外れてしまった。夫が「あ!まちがえた」と気づいてしばらく進んだとき、目の前に突然、でっかくてド派手なテントが現れた。なんじゃこりゃ!とびっくりして調べてみると、サーカスだった。サーカスなんて子どもの頃に行ったきり。まだ期間が始まったばかりだというので、チケットを取ってふたりで見に行こうと話が盛り上がった。そのとき夫がぽつ

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夫に忠告された話。

夫に忠告された話。

先日、夫はソファにだらんと横になって、テレビを見ながらこう言った。

「〇〇ちゃん(わたし)、かかった馬にならないようにね」

かかった、馬?かかったってなに?聞いたことのない言葉で、漢字も意味もわからなかった。

夫は「かかるはかかるだよ」と言って意味を教えてくれないのでググってみる。どうやら競馬用語で、漢字は掛かる。レース中に馬が興奮状態になったりすることにより、勝手にハイペースで前に出てしま

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速達女子を卒業して、ハーゲンダッツを食べてやる!

速達女子を卒業して、ハーゲンダッツを食べてやる!

わたしは速達女子である。それは、なんでもかんでも、速達で送る人のことだ。

ここ1ヶ月くらい、ちょっといろんな提出締め切りが重なって、中には郵送のものもいくつかあった。もう!令和だって言うのにな!と思いながら汗だくで郵便局に通ううち、クールな仕事人であるおばちゃんスタッフに顔を覚えられて、やさしくしてもらえるようになってきた。ちなみにおばちゃんは、わたしが「速達で!」と言うと、すこしうれしそうな顔

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なりふりかまわずに生きてやろうと思う。

なりふりかまわずに生きてやろうと思う。

あまり夏の思い出らしい思い出は作れないまま、今年の夏は終わるかもしれないなあと、今日ふと思った。花火大会にも行っていないし、海水浴もバーベキューもしていない。家庭の事情でなかなか動けなかったのもあるし、不妊治療をがんばっていて気持ちと体力が夏に追いつかなかったのが大きい。

でもその分、今年の夏はたくさん言葉と向き合った。書いて、消して、書いて、書いて。こんな夏は今までになかったかもしれないと思う

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