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「ネス湖のネッシー」現地突撃の記録 (初めての海外一人旅でイギリスを縦断した-8)
こんにちは。ゲンキです。
イギリス旅行記第8回はスコットランドの地方都市・インヴァネス&ネス湖 観光編をお届けします。
~旅の概要~
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鉄道が好きな僕は、鉄道の祖国であるイギリスを旅することにした。「果て」の景色を求めて本土最北端の駅「サーソー(Thurso)」から本土最南端の駅「ペンザンス(Penzance)」を目指す旅である。遠く離れた異国の地で、僕は一体何に出会うのだろうか。(2023年3月実施)
↓第1回をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。
9:00 Inverness Station
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ここはスコットランド北部、ハイランド地方の中心都市インヴァネス。昨晩ロンドンから夜行列車「カレドニアン・スリーパー」に乗り込み、およそ12時間半かけてさっき到着したところ。3月の北国はとても寒い。
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本日3日目の最終目的地はイギリスの鉄道最北端であるサーソー(Thurso)。しかしそこへ向かう前にぜひこの街に立ち寄ってみたかった。なぜならインヴァネスは、世界一有名な未確認生物「ネッシー」の故郷だからだ。
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みなさんネッシーのことはご存知だろう。オカルトの定番ネタとして長く愛され、今でも世界中の人々を惹きつけて止まない伝説の首長竜である。たびたび目撃情報が上がるものの、未だ発見には至っていない。
そんなネッシーが潜んでいるとされるネス湖(Loch Ness)だが、実はこのインヴァネスが最寄りの街なのだ。街と湖の距離はわずか10km。かく言う僕もつい最近までネス湖がどこにあるかわかっておらず、この旅の下調べ中に「ネス湖ってイギリスだったのか!!!」と知ったばかりである。せっかくここまで来たのだからぜひ一度ネス湖を拝んでおきたい(あわよくばネッシーを発見したい)。湖畔にはアーカート城(Urquhart Castle)という古城もあるとのことなので、そこも見学してインヴァネスに戻ってくるというのが理想のコースだ。
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まずはネス湖へ向かう前に大きな荷物を預けておこう。インヴァネス駅にはロッカールームがあり、受付でお金を払って荷物を置かせてもらうシステムだ。料金は£5(833円)。
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駅から出て右手、西に向かって少し歩くとインヴァネス・バスステーションがある。事前に調べた情報ではここからネス湖方面へのバスが出ているらしい。
さて、問題なのはバスの時間だ。ネス湖は有名な観光地とはいえ、田舎なのでバスの本数はそれほど多くない。僕は遅くともサーソー行きの列車が出発する14時までに駅に帰ってこなければならないのだが、果たして良い時間のバスはあるか。
とりあえず案内所で聞いてみよう。案内所には係のおばちゃんが3人おり、皆さん髪色が蛍光ピンクや蛍光ブルーや蛍光イエローとなかなかファンキーでいらっしゃる。とりあえずその中の蛍光ピンクショートヘアのおばちゃんに話しかけた。
「あのー、アーカート城まで行って戻ってきたいんですけども」
「アーカート城ね。ちょっと待ってて!」
「…えっとね、11時発のバスに乗れば11時40分に着くわ。帰りは13時15分発で、13時57分にはここに戻ってこれるわね」
「それなんですが、実は14時に駅を出る列車に乗らないといけなくて…」
「あらそうなの!?もう一本早い便なら14時には間に合うけど、アーカート城での滞在時間がたったの7分になっちゃうのよ…」
なんてことだ。バスの時間が「早すぎ」&「遅すぎ」のダブルパンチで僕の計画をぶん殴ってくる。猛烈に混乱しつつ、「ちょっと考えます」と言って僕は一旦ベンチに座った。
アーカート城をちゃんと観光するなら列車を1本遅らせるしかないが、そうなると次の列車はなんと4時間後の最終便まで無い。サーソーの宿に到着する時間は22時を回ってしまう上に、夜だから車窓も全く見えないだろう。しかし古城もなかなか魅力的なのでなかなか捨てがたい……
何かを一つ犠牲にしなければこの先へは進めない。僕は悩みに悩み、10時前にバスステーションに来たはずなのに気づいたら時刻は10時50分。1時間ぶっ通しで悩んでいた。もう11時のバスが出るまで時間がない。ぬぬぬぬぬぬぬ………
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11時前、バス乗り場の列に並んだ。
結局採用したのは「近場で湖を眺めて引き返す」という案。せめてネス湖だけでも拝めればいいと結論が出たためだ。アーカート城に行けないのは残念だが今回は仕方ない。列が進み、バスの乗降口で運転士さんに行き先を伝えてその場で切符を購入。支払いにクレジットカードが使えて便利だった。日本の路線バスでもクレカ使えるようにしてほしい。
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11:31 Clansman Hotel Stop
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何もないところで降ろされた。バスが停まれるように路側帯が広くなっているだけ。看板もなく、素通りすればここがバス停だなんて絶対気付かない。
ともかく目的地には着いた。ここ「クランズマンホテル」はアーカート城の5kmほど手前に位置しており、ネス湖もすぐ目の前にある。約30分後にはインヴァネス行きのバスに乗って市街地へ帰れるといった寸法だ。
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乗り遅れたりしたら嫌なので、念のため反対方向のバス停を先に探しておこう。しばらくあたりを歩き回るが、やっぱりどこにもバス停らしき路側帯や看板がない。ネットの地図ではここにインヴァネス行きのバス停があるのに、現地には何もない。ただ目の前を乗用車やトラックが時速80kmぐらいでビュンビュンと往来していく。
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5分ほどうろうろして、「Clansman」と描かれた建物に「Loch Ness Nessie Shop」といういかにもネッシーな売店がくっついているのを発見した。この売店の人なら何か知っているかもしれない。
入店してみると、店内はネス湖やネッシーのグッズ、イギリス土産でいっぱいだった。レジの方へ行くとお兄さんとお姉さんがいたので「すいません、インヴァネス行きのバス停がわからないんですが…」と尋ねてみる。するとお姉さんが「案内するわ」とレジから出てきてくれた。
どうやらバス停らしき目印はマジで何もないらしく、バスが見えたら手を挙げて合図すれば停まってくれるという。車が危ないから道の外に立っててね、とも言われた。危ねえ、知らなかったらバスに目の前を素通りされてしまうところだった。お店に戻り、2人に「Thank you!」とお礼を言って「ネッシーのピーナッツチョコ」を買わせてもらった。
さあ、ネス湖の湖岸に行くぞ!と歩き始めた途端、僕は思わず「えっ」と言いかけて固まった。
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ネ、ネッシーおるやん…!!!!!
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まさか本当にいるとは。いやこれはもちろん模型なんだが。こんなオブジェをわざわざ作るなんて、地元民のネッシー愛はよっぽどのものだ。まあ観光客を釣り上げる便利な餌としての価値と半々ぐらいかもしれない。
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道路の下を小川と一緒にくぐると、小さな船着場に出た。観光船らしき小型クルーザーが人の気配もなく停泊している。そこから少し歩いた場所に自然の浜があった。
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まさかネス湖を生で見られる日が来るとは。ネス湖はイギリス最大の淡水湖であり、幅2km、全長35kmとやけに細長い形をしている。これだけ細長いのは、ネス湖がハイランド地方を斜めに貫く「グレートグレン断層」という溝、いわば地球のひび割れに形成されているからだ。そのため構造が大規模であり、最大水深は約230mもある。
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対岸はそれほど遠くなく、向こうの山並みの雪化粧もはっきりと見える。灰色に曇った空の下、砂利や石を撫でるようにして穏やかに波がチャプチャプと寄せてくる。足元の水は透き通っていて綺麗だ。手袋を取り、素手を水に浸してみた。キーンと音がするような刺激が指の皮を突き抜けて、一瞬のうちに骨まで冷却されていく。こんな低い水温の中にいてはいくらネッシーだろうと凍死してるんじゃなかろうか。
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そうだ、目の前にネス湖があるんだからネッシーを探そう。首から提げているカメラのファインダーを覗き、レンズを最大望遠にして湖面をじーっと観察する。時折立つ大きな波が恐竜の背に見える気がしてドキッとする。
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向こうの方から小さなクルーズ船がやってきた。デッキには僕のようにネッシーを探す人たちがいっぱい乗っている。なんやねん人か…と肩を落としつつ、引き続き湖面をじっと見張る。僕はこの歳になってもサンタクロース信じてる派の人間なので、ネッシーもいてほしい、いやいると思う。その方が世界は面白い。
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時間いっぱい湖面を眺めていたが、結局ネッシーは見つからなかった。きっと誰かがいつかネッシーを見つけてくれると信じて、僕はインヴァネスの街に戻ることにしよう。
バスは遅れているようで、定刻を過ぎてもなかなか来ない。10分ほど経った頃に遠くのカーブから姿を現し、すかさず手を挙げるとちゃんと目の前で停まってくれた。運転手さんに「Hello」と挨拶して乗り込み、車窓右側に輝くネス湖の水面を眺めながらインヴァネスの街へと戻る。
12:25 Inverness Bus Station
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およそ1時間半ぶり、インヴァネス・バスステーションに到着。とりあえず街に戻ってくることができて一安心だ。ちなみにバス代は往復チケットで£11(1829円)だった。
さっきの案内所に行き、いろいろ教えてくれたピンクヘアーのおばちゃんに「ネス湖の水触ってきましたよ!」と報告すると「Did you(あらそうなの)〜〜!?」とまるで孫を可愛がるようにめちゃくちゃ喜んでくれた。今でも彼女の嬉しそうな顔と声を覚えている。
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これまでも感じてきたことだが、イギリスの人たちは本当にみんな優しくてフレンドリーだ。「日本人とイギリス人」とか「他人同士」なんかじゃなく、誰もがシンプルに「人と人」として接してくれているように感じる。その距離感がとても心地良い。考えてみれば、彼らが話す英語は日本語に比べれば「友達とも上司ともタメ口で話す」ような言語だ。その精神が人付き合いにも表れているのかもしれない。一番大事なのは上下関係ではなく、相手へのリスペクトを忘れない心であると。僕も彼らのように、大らかな心で人と関わりたいと思う。
おばちゃんにお礼を言って、バスステーションを後にする。
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さて、14時の列車まであと1時間半ほどある。それまで少しここらへんを散歩してみることにしよう。とりあえず駅の方に向かって歩く。
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駅を通り過ぎて少し行くと「Eastgate Shopping Centre」という大きなショッピングセンターがあった。石造りの外壁でちょっとおしゃれな雰囲気。
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道の向かいにショッピングセンター付属の食料品店があったので、とりあえずそっちから中へ入ってみた。昼時ということもありたくさんの人が買い物に来ている。近くにエスカレーターと階段が見つからなかったので、手押し車を押すおばさまと一緒にエレベーターで2階に上がった。
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エレベーターを出ると、そこはアーケードの天窓から外光が差し込む開放的なスペース。服屋やジュエリーショップなどの専門店がたくさん並んでいる。まさに日本のイオンのような感じだなーと思っていたら、なんと看板に日本語を掲げる店があった。しかしなんかおかしい。
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極度乾燥(しなさい)
何言うとんねん。知っている人もいるだろうが、「Superdry」は欧米で大人気のファッションブランドである。しかも発祥国はここイギリス。店の名前も「アサヒスーパードライ」が由来だという。ツッコミどころは色々あるけどもイギリス人の日本愛が生んだブランドなのである。
しかし日本では「アサヒスーパードライ」が「Superdry」の商標権を持っている関係で、なんと販売どころか輸入すら禁止されている。個人で買って帰っても税関で没収されるとか。日本愛に溢れているからこそ日本人に使ってもらえない、そんな悲しきジレンマを感じさせる。
ちなみにこの店舗がイギリス最北のSuperdryだというどうでもいい情報も付け足しておく。
ショッピングセンターを出ると歩行者天国の商店街「ハイストリート(High Street)」のエリアに入った。
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ここがインヴァネス一番の繁華街らしく、多くの人が買い物袋をぶら下げてあちらこちらで行き違っている。規模は小さめだが種々の店が揃い、ロンドン郊外にも劣らない賑やかさである。
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そう、本当に人が多くて賑やかなのだ。なんとなく人口10万人ぐらいいそうだなと予想してネットで調べてみると、インヴァネスの市街地人口はまさかの約5万人だった。情報元によって数字が異なるものの、多く見積もっても約8万人らしい。その規模の街とは思えないほど栄えているように見える。
僕は都市計画も多少学んだことのある人間なので、街づくりが「人口が多ければ賑わう」なんて単純なものではないと知っている。その上でインヴァネスの街を眺めると、これだけの賑わいが生まれている理由もいくつか見えてきた。
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最もわかりやすいのは文化と街づくりの両面から賑やかな人通りが創出されているということ。ヨーロッパの文化では日常的にコミュニティ内で交流する時間や屋外に身を置いて自然に触れる生活が好まれ、人が集まる場所、すなわち公園や広場、オープンテラスのような外向的な空間が街中に多く設けられる。都市計画の視点でも徒歩移動の促進が地域の活性化につながることが知られており、インヴァネスではハイストリートを歩行者専用空間にすることで「広場 兼 賑わい促進空間」に位置付けていると考えられる。
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そしてテナントの空きがほとんどないのもけっこう凄いことだ。いわゆる「シャッター商店街」になっていない。イギリスをはじめヨーロッパの国々では個人商店文化が根強く残っているようだが、要因はそれだけではない。
重要なポイントは、繁華街が駅とネス川周辺の狭いエリアに集中していることである。Googleマップで航空写真などを見ていただくと特にわかりやすい。インヴァネス近郊の土地利用区分をざっくりまとめると下の図のようになる。
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この塗り分けは偶然の産物ではなく、明らかなゾーニング(土地を用途ごとに区分する考え方)の意図が読み取れる。人が集まる駅・バスターミナル周辺を繁華街とし、そこに優先して店舗を誘致する取り組みなどが行われているのかもしれない…と考えることができる。
イギリスは産業革命にともなって世界に先駆けて近代都市計画が発達した国だと授業で教わったが、まさにそれを体感する街並みだ。建物は古いのに店並びは現代的で、人々も生き生きとしている。大自然が身近にあり、なんといってもあの「ネッシー」がいる。インヴァネスは現在も人口が増加傾向にあるらしく、確かにこれは住みたくなるわなと納得した。日本の街づくりにも取り入れられるポイントが色々ありそうだ。
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坂の上にインヴァネス城が見える。その向かいにインヴァネス博物美術館(Inverness Museum and Art Gallery)があり、入場無料とのことなので入ってみた。
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館内にはインヴァネスの自然や歴史、文化に関する様々な展示がある。解説は専門用語が多くあまり読めなかったが、動物の剥製や古代の壁画、銃やらスキー板やら楽器やらドレスやら家具やら他にも色々あり、ただ見ているだけでも楽しい。
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博物美術館というだけあり、別の展示室ではアートの展示もやっていた。この時展示されていたのはハイランド出身のアーティスト、マーク・ロマックス(Mark Lomax)氏の作品。文化をまたいで豊かな歴史を持つキルトをモチーフに、セメント、木材、ワイヤー、布、金属など様々な素材を用いて個人と社会のアイデンティティ、記憶、歴史と文化をテーマに作品を制作しているとのこと。
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上ってきた坂とは反対側にある階段を降りると、さっき行ったネス湖から流れ出るネス川の岸に出た。すぐそこには中心街と住宅街をつなぐ橋がかかり、絶えず多くの車が行ったり来たりしている。
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橋の袂にある交差点ではよく車が詰まるらしい。それを横目に見ながら右に曲がると、旧庁舎前のハイストリートに戻ってきた。
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現在の時刻は13時半。今からお店に入って昼食にするには少し時間が足りない。というか昨晩ロンドンで買ったサンドイッチがまだリュックの中に入っている。何か良い感じのお店を見つけて、テイクアウェイしたものを次の列車の中で食べることにしよう。
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テキトーに道を曲がりながら「美味しそうなパン売ってる店とかないかなー」と看板並びを目でなぞりつつ駅の方に向かって歩いていると、ちょうど道の反対側に「BAKERY(パン屋)」の看板を見つけた。あまりにもベストタイミング。すぐさま入店。
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「HARRY GOW BAKERY」はハイランド地方にチェーン展開するパン屋・ケーキ屋らしい。なかなかの人気店のようで、店内には10人ほどの行列ができていた。ガラスケースの中には美味しそうなパンやドーナツ、ケーキがずらりと並べられている。どれにしようか迷ったが、昼食に良さそうなチーズのパイを一つ購入した。
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パン屋を出て再び歩いていくと、上手いこと中心部を一周してインヴァネス駅の正面に戻ってきた。列車が出るまであと20分を切っているし、そろそろ駅に入って預けた荷物を回収しておこう。
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ロッカールームに預けておいたバックパックを取り出し、広いロビーに立って発車標を眺める。
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これから乗る列車は14時ちょうど発のウィック(Wick)行き。停車駅一覧にはイギリス最北端の駅「サーソー(Thurso)」の文字がある。改札の向こうには既にそれらしき列車が停まっていて、人々が続々と乗り込んでいるのが見えた。
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サーソーまでは4時間の長旅になるので、ゆったり寛げる良い座席を確保しておきたい。他の人に遅れないよう、僕もさっそく改札に向かった。
つづく
というわけで、イギリス旅行記第8回は以上になります。
暑い。あっという間に8月ですね。このイギリス旅以降、泊まりがけでの遠出はしばらくしていなかったのですが、資金も貯まったし夏休みということで久々にそこそこの長旅に出る予定です。今回は全行程3週間、行き先は「西の方」になります。ちなみに国内です。旅行記も書いていこうと思いますので、ぜひ続報をお待ちください。
次回、第9回は最北の鉄路「ファーノース線(Far North Line)」の旅と車窓、そしてイギリスの鉄道最北端「サーソー(Thurso)」編をお届けします。お楽しみに。
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それでは今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
↓第9回はこちらから
(当記事で使用した地図画像は、OpenStreetMapより引用しております)
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