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我が読書迷走微録

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迷走ばかりの我が読書遍歴を微文で紹介する記録。
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2021年2月の記事一覧

「ファウスト」ゲーテ

ドイツが誇る大文豪による壮大な長編戯曲。
悪魔との契約によって主人公の享楽と悲劇の結末。そんな戯曲を24歳から書き始め82歳で書き終えたということ自体も、魂との契約をしなければ不可能であろう。

「モラトリアム人間の時代」小此木啓吾

日本を代表する精神分析学の名著。
私見として、人間の精神的停滞は若さゆえの特権でもある。人生の中で一度モラトリアムを意識して立ち止まることも大切なのではなかろうか?

「砂の女」安部公房

日本屈指の世界的小説家の代表作。
ドキュメントとサスペンスの手法による奇想天外な構想と展開は、実存の極限を巧みに表現したカフカ的世界に飲み込まれてゆく。

「陥没地帯」蓮實重彦

映画評論家、文芸評論家にして元東京大学総長による幻の小説。三島由紀夫賞受賞で話題になったが著者が駆使する独特の難解な世界観は、当時の読後感の疲労を思い出す。

「星の王子さま」サン・テグジュベリ

「大切なものは目に見えない」
誰しも年齢とともに喜怒哀楽を積み重ね、見失ったものがある。見失ってしまった大切なものを求めて児童文学の旅を再び…

「考えるヒント」小林秀雄

文芸評論をクリエイティブにまで昇華させた元祖エッセイストの代表作品。
多角的で複眼的なその思考は、文学や芸術の地平の彼方まで目が行き届いていたのかもしれない。

「車輪の下」ヘルマン・ヘッセ

トーマス・マンと並ぶ近代ドイツ文学の双璧。
青春時代に読み耽った繊細な心模様、波紋のようなセンチメンタリズムは、現代の若者が読んだらどう感じるのだろう?

「心配事の9割は起こらない」枡野俊明

禅僧が現代人に諭す本源的な人生論。
心配事は時に生きる原動力になるが、ともすれば精神を疲弊する。
あらゆる心配事としっかり対峙し、シンプルな習慣によって退治する。
心身ともにミニマルであることこそが、良質な生き方へと導く。

「宮沢賢治全詩集」

突如としてコロナ時代に生きることになった我々は、時には童心に立ち返り、宮沢賢治の優しくも逞ましい言葉の連なりに身を預け、自然と人間の崇高さに耳を傾けよう。

「捨て本」堀江貴文

シンパもアイチも含め、現代の日本におけるインフルエンスを解き放つ著者のミニマリズム。
彼ならではの経験や行動がその主張を裏づける。

「反応しない練習」草薙龍瞬

仏教を通じて現実の社会とどう向き合うべきか?
対人関係や社会的営為の中で生まれる混濁は、この書によって洗い清められる。
何事においても執着することから離脱すると、心は軽く豊かになる。

「死の淵を見た男」門田隆将

4.26のチェルノブイリ、そして3.11の福島原発の終末。その淵に世界の死を直視した断末魔を再認識するノンフィクション。その淵の果てに、地球の死が待ち伏せている。

「狭き門」アンドレ・ジッド

フランス近代文学を代表するノーベル文学賞作家による名作。キリスト教文化のエロスとアガペーに揺れる人間模様を精緻に描いた恋愛小説は奥深い。

『「超」独学法』野口悠紀雄

「超」シリーズで知られる日本気鋭の経済学者による独学指導の書。
学校という教育体系が零れ落ちる分野を、デジタル時代に適した方法論で紹介する。
自らの意思で主体的に学び直す術は、この書の中にある。