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読書感想文

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#読書メモ

読書感想 松本清張 小説帝銀事件

読書感想 松本清張 小説帝銀事件

数ある松本清張の作品の中から何故これを選んだ??って感じですよね。

子供の頃、テレビで放送されていた映画
「鬼畜」をチラっと見て、それが強烈なトラウマとなり、それから松本清張の作品はなんとなく敬遠してました。
あれ、現代じゃ絶対に放送出来ないやつだよなあ……と思います。

kindleUnlimitedで読み放題になっていたのでなんとなく読み始めたら、とても面白くて一気読みしてしまいました。

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読書感想 芥川龍之介 偸盗

読書感想 芥川龍之介 偸盗

芥川龍之介の中期の中編小説です。

私はとにかく晩年の作品が好きなのですが、この作品もわりと好きです。こちらは、芥川龍之介の作品の中でもなんとなく異色の存在感を放っているような気がします。(私の個人的な感想です)

何故そのように思うのかというと、
芥川龍之介は短編小説が多いなかこちらはそこそこの長さです。そしてストーリー性もちゃんとあります。何より大層な悪女が登場するのが珍しいです。

芥川龍之

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読書感想 芥川龍之介 玄鶴山房

読書感想 芥川龍之介 玄鶴山房

芥川龍之介の晩期の短編小説です。
自死する半年前に書いた作品みたいですね。

玄鶴山房に住む家族の、それぞれの内に秘めた思いが丁寧に描写されています。

ゴム印の特許により財を得た玄鶴は肺結核にかかり、余命幾ばくもない状態です。そして玄鶴の妻のお鳥も七、八年前から腰抜けとなり自分ではトイレにも行けない状態です。二人は屋敷の離れに住んでいます。
母屋には長女夫婦、夫婦の一人息子、女中、老夫婦の世話を

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読書感想 スピリチュアルカウンセラーKIKO 風の時代は好きなことで稼ぐ

読書感想 スピリチュアルカウンセラーKIKO 風の時代は好きなことで稼ぐ

 スピリチュアルカウンセラーでYouTuberのKIKOさんの書籍を読みました。

彼女のYou Tubeチャンネルをたまに拝見するんですが、KIKOさんは現実主義スピリチュアルカウンセラーと名乗っておられる通り、ガッツリしたスピリチュアルをとてもロジカルに説明してくださる方です。
なので、内容が非常に腑に落ちるというか、わかりやすいです。普段からロジカルシンキングをされる方なのだろうなと思います

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読書感想 太宰治 佳日

読書感想 太宰治 佳日

青空文庫で佐藤春夫の作品をぼーっと読んでいたところ、「稀有の文才」というエッセイ(なのかな?)に、太宰治の「佳日」が紹介されていました。佐藤春夫はこの短編小説を読んで、太宰治の文才に驚歎したそうです。

わたし、太宰治は「人間失格」「斜陽」
「ヴィヨンの妻」「グッド・バイ」あたりを読んだくらいで、あんまり好きな作家ではないのです。
正直、人間失格、ヴィヨンの妻に至っては
もう二度と読みたくありませ

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読書感想 佐藤春夫 あじさい

読書感想 佐藤春夫 あじさい

とても短い小説です。
以前何かで読んで、妙に印象に残った作品です。
青空文庫で見かけたので再読してみました。

 七年前に夫を亡くした未亡人と、その未亡人に思いを寄せる男が、未亡人の家で会話をするだけのお話です。

全体的になんとも言えない儚い雰囲気が漂っています。同時にうすら寒いものを感じる作品でもあります。

短い文章のなか、想像力を掻き立てる描写が散りばめられています。
これはどういうことだ

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読書感想 江戸川乱歩 人でなしの恋

読書感想 江戸川乱歩 人でなしの恋

 江戸川乱歩の短編小説です。
ここでいう「人でなし」は、
「このひとでなしめ!!」と相手の薄情さを責めるときに使うものではなくて、
「人ならざるもの」というニュアンスが近いのかなあ??

そうです。この作品は、まさしく
「人ならざるもの」との恋の物語です。

 旧家に嫁いだ女性が、その家で体験したことを告白する形で物語が進行します。

 新婚の夫が、夜な夜な寝室を抜け出し蔵に向かいます。妻はその蔵

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読書感想 シークエンスはやとも 近づいてはいけないいい人

読書感想 シークエンスはやとも 近づいてはいけないいい人

久しぶりに紙の本を買いました。
生霊見える芸人シークエンスはやともさんの
「近づいてはいけないいい人」です。

「ヤバい生霊」、「霊が教える幸せな生き方」に続く作品ですが、今までで一番忖度なしのエッジのきいた文章と内容になっている印象です。

 シークエンスはやともさんは生霊や相手の魂が見えるだけあって、その人の性質や信念がわかってしまうみたいですね。その能力に彼の冷静で客観的な考察が加わり、人間

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読書感想 江戸川乱歩 押絵と旅する男

読書感想 江戸川乱歩 押絵と旅する男

 江戸川乱歩の作品の中でも、一般ウケするのだろうなと思います。江戸川乱歩はあんまり「文豪」とは認識されていない気がするのですが、しかしその筆力たるや、一般的に「文豪」と呼ばれている方々に全くひけをとらない気がします。

 さて、こちらの作品ですが、
幻想的で不思議な、なんとなく物悲しくもなる物語なんだけど、でも胸苦しくなるほどではなく、ほど良い距離感を保ちながらスマートに収まったなあ、
という読後

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読書感想 谷崎潤一郎 鍵

読書感想 谷崎潤一郎 鍵

当時過激な性描写ゆえにかなり話題になったみたいですね。相当修正が加えられたようです。私的には、これくらいがちょうどいいというか、安心して読めるギリギリなラインだと思います。

こちらの作品、非常に完成度の高い作品だと思います。物語の筋が通っています。

芥川龍之介と谷崎潤一郎の間には、文学論争があったようですね。
私はあまり詳しくないのですが、しかし、
両者の言い分といいますか、言いたいことは

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読書感想 又吉直樹 東京百景

読書感想 又吉直樹 東京百景

芥川賞作家又吉直樹さんのエッセイです。
又吉さんのなかの「東京」が色々な側面から鮮明に描かれています。エッセイなのにとても文学的な匂いがする作品です。

言葉の選び方や文章のリズムが、たくさんの文学に触れてきた人のそれだなあと感じました。
(あくまでわたしの個人的な感想です)
又吉さんは売れない時代にたくさん読書をしたみたいですね。

こういった作品に触れると、語彙力というものは読書によって培われ

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読書感想 梶井基次郎 Kの昇天

読書感想 梶井基次郎 Kの昇天

不思議な、神秘的なお話です。
月明かりで出来る自分の影をずっと見ていると、だんだん影に自分の姿が現れてきて、しだいに影が意思をもって動くようになり、
しまいには自分自身の意識が遠のいて、月に昇天してしまう、とKは「私」に言うのです。
Kは満月の晩、海で溺死します。
それは自殺なのか、過失なのか…誰にもわかりませんが、「私」はKの魂は月に昇天したのだと思うのです。

ある程度市街地に住んでいると、月

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GWに読んだ本②

GWに読んだ本②

そういえば私はあまり女性作家の小説は読まないかもしれません。
それは戦前に関しては女性作家が男性作家に比べて少ないせいかもしれないですが。

湊かなえさんはイヤミスの女王と称されているだけあって、ほんっと〜にいやぁ~な読後感を与えるミステリー小説を書く作家さんです。
確かに、読んでいて結構辛い場面があります。女性ならば誰でも備わっている、特有の陰湿さをとても上手に演出している気がします。
でもねー

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GWに読んだ本

GWに読んだ本

GWは皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私は色々とやることがあって、結局どこにも行きませんでしたね。

すきま時間にちょこちょこ本を読みました。
KindleUnlimitedで読み放題になっていたものをいくつか読みました。

殺戮に至る病(我孫子武丸)
礼賛(木嶋佳苗)
俺か、俺以外か。(ローランド)
あ、あと図書館で湊かなえさんの
「Nのために」を見つけたので再読しました。
(この作品、はじめ

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