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読書感想 佐藤春夫 あじさい

とても短い小説です。
以前何かで読んで、妙に印象に残った作品です。
青空文庫で見かけたので再読してみました。

 七年前に夫を亡くした未亡人と、その未亡人に思いを寄せる男が、未亡人の家で会話をするだけのお話です。

全体的になんとも言えない儚い雰囲気が漂っています。同時にうすら寒いものを感じる作品でもあります。

短い文章のなか、想像力を掻き立てる描写が散りばめられています。
これはどういうことだろう?と、つい3回も読んでしまいました。個人的に、何回も読みたくなる小説は読者をひきつける抜きん出た何かがあるのだと思います。

 男は七年前、未亡人の夫の死を幾度となく願っていたのですね。
仏間には、遺児である六歳の女の子が眠っています。その子は病弱で、やせ細っており、最近になってから父親を恋しがり仏壇のある部屋でないと眠ろうとしません。

物語の終盤、三人は「何か」の気配を感じるのです……。


改めて読んでみると、すごく素敵な小説ですね!!
物事の白黒をはっきりとさせない、読者の想像にお任せしますというグレーゾーンだらけの作品ですが、モヤモヤせず、「そうだよね……」というなんだか不思議な余韻が残ります!!
こういうの、好ましいったらありゃしない。

 佐藤春夫はたしか昔にちょこちょこ読んだような……。もうすっかり忘れてしまったので、ほかの作品も読んでみたいと思います!!


 



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