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読書感想 江戸川乱歩 押絵と旅する男

 江戸川乱歩の作品の中でも、一般ウケするのだろうなと思います。江戸川乱歩はあんまり「文豪」とは認識されていない気がするのですが、しかしその筆力たるや、一般的に「文豪」と呼ばれている方々に全くひけをとらない気がします。

 さて、こちらの作品ですが、
幻想的で不思議な、なんとなく物悲しくもなる物語なんだけど、でも胸苦しくなるほどではなく、ほど良い距離感を保ちながらスマートに収まったなあ、
という読後感だと思います(意味わからんですね)

 主人公は蜃気楼見学へ行った帰りに乗った汽車の中で、不思議な男性(年齢不詳な)と出逢います。その男性こそ「押絵と旅する男」なんですね。

男性は主人公にその押絵を見せて、さらに双眼鏡でもみて見るよう促します。
その押絵には、若く美しい女性と老人が描かれています。双眼鏡でその絵をのぞくと、絵の中の二人は生きていました。
そして、男性はこの押絵がどうしてこのようになったのか、そのいきさつを話し始めるのです……。 

 
 ひとつひとつの描写がすごく丁寧で、登場人物の心の動きとかが、すごくわかりやすいですね。

 ゆきずりの相手との接触を描いた小話って
個人的にすごく惹かれます。You Tubeの怪談でも、そういう小話は面白いですよねえ。

 全く面識のない相手が語る物語は、たとえ本人が実話だと言っていたとしても、本当に事実なのか嘘なのかは全く解らないから、解釈は読み手に委ねられます、みたいな設定に惹かれます。
信じるか信じないかはアナタ次第ですね。


 江戸川乱歩は、数年前にハマりたくさん拝読しました。個人的に、すごく美しい文章を書く作家さんだと思うのですよ。内容の変態っぷりも素晴らしいですし。ホントに変態さ加減が秀逸です。以前にも書きましたが……。

当時は図書館で借りて読んでいたのですが、青空文庫で再読していきたいなあと思います。


 


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