【読書感想文】宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
こんばんは!
星巡りの口笛を吹いて、裸のまま一人ぼっち。涙も枯れた。小栗義樹です!
本日は読書感想文を書かせて頂きます!
題材はコチラ!
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
です。
なんでしょう。不朽の名作ですよね。
人間模様なのにメルヘンチックで、文章なのに、このどこまでも幻想的な世界が鮮明に頭の中に思い描ける作品です。
宮沢賢治の物語は、銀河鉄道の夜の他にもこういった特徴を持った作品が沢山あります。個人的に「双子の星」は名作だと思っています。
銀河鉄道の夜は、そんな宮沢賢治の代表作と言えるのではないかなと思います。幻想的な世界観、不思議な出来事、大切にしている物事、人間模様、死生観など、宮沢賢治の考えが沢山詰まった上で、物語がとても面白いです。
尺が適度なため教科書にも掲載されているイメージがあります。読んだ方も多いのではないでしょうか?
多分、この先も教養として語り継がれるのではないかと思っています。考察余白も多めですし、心情等を考える上でうってつけの小説です。
とはいえ、知らない方のために簡単にあらすじをまとめておきます。
漁に出て帰ってこないお父さんの代わりに、病気のお母さんのために必死に働く主人公:ジョバンニと、そんなジョバンニの親友のカムパネルラが、精神世界の中を不思議な電車に乗って旅する物語です。
読んでほしいのでこのくらいにしておきますが、銀河鉄道の夜は宇宙を走る列車の話ではありません。この列車が走る独創的な世界こそ、宮沢賢治の真骨頂です。植物・動物・星の知識に長けている宮沢賢治が、それらを総動員して構築した幻想的な世界を走る列車の話です。その世界があまりにも美しくて、自然と想像力が働きます。
このお話には、根拠のない不思議な現象がいくつか登場します。あったらいいなぁと思う、まるで魔法のような現象です。そう思い、そういうテイストで読み進めていくと、実際に起こった凄惨な事件の被害者を彷彿とさせる登場人物が出てきて、いきなり死生観が語られます。
見事に調和が取れていて、重厚な物語を楽しむ事が出来ます。
お話自体は凄く夢想していて素敵なのに、一つ一つのエピソードに流れる、言いようのない「哀しみ」がドライブされて大きくなる感覚がクセになります。誰に感情移入するかで、随分と読み方が変わってくる作品なのではないでしょうか?
僕は、カムパネルラの人格者っぷりと、ジョバンニとカムパネルラの言葉を介さない友情に胸が打たれます。
主人公であるジョバンニは、まぁ不遇なのは分からんでもないのですが、ちょっと自分勝手というか横柄な態度が鼻につく部分があるんですよね。もちろん、それがとても人間らしいとも思うので、登場人物としてはとても好きなのですが。
汽車の旅ならではの、いわゆる醍醐味みたいな部分もきちんと反映されています。旅は道連れ世は情けという言葉があると思いますが、この物語にぴったりな言葉だと言えます。極限の一期一会から生まれる、友情とは少し違う関係性・別れの前に芽生える感情は、普通に生きている僕には想像できない隠された感情がある気がして、ちょっと悔しい気持ちになります。
ジョバンニとカムパネルラが別れる最後のシーンは、読者もすでに状況を理解しているため、表しようのない、近い感覚でいえば喪失感のようなものを抱くことになります。
銀河鉄道の夜は、読者も一緒に旅をすることができる小説です。徐々に判明していく謎を噛み締めながら、いつの間にか物語の世界に没入していくことになると思います。
旅が終わり、現実世界に帰ってくると、今度は急激に物語に突き放されることになり、エキストラのような立ち位置で、登場人物達の立ち位置と心境を、考察・想像したくなります。
一度の読書でこれだけ色々な立ち位置を経験させてくれる物語はあんまり無いと思います。子供のころ、学校で読んだことがあることが人も、大人になって読み返すと、全然違う印象がして面白いと思います。お近くの古本屋に、絶対といっていいほどの確率で置いてあると思いますので、よかったら購入して読んでみてほしいです。
というわけで、本日はこの辺で失礼いたします。
また明日の記事でお会いしましょう。
さようなら~
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