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何度も読み返したい素敵な文章の数々・・・!!!

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2017年8月の記事一覧

出来事は遠ざかり、感情は醗酵する。

出来事は遠ざかり、感情は醗酵する。

時々、ありがたいことに「noteに書いていたあれ、よかったね」なんて言ってもらえることがあります。それから、自分でも「うん。これはなかなかうまく書けたかも」なんて思うこともあります。

どういうわけか、それって、過去のことについて書いたものが多いのです。最近の出来事や感情ではなくて、10代や20代の頃の物事について書いたもの。

若い時代の物事の方が、ポップでカラフルだからかなあと、最初は思ったり

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感じているか? 考えているか?

感じているか? 考えているか?

先週、いや、あれはもう先々週だったのか。

見苦しく伸びきった髪をカットすべく、床屋に行った。鏡に映る美容師さんとのフリートークが苦手なぼくは以前、床屋に行く際はかならず新書を携帯し、それを熟読することを常としていた。しかし時は流れ、文明の利器も発達した現在、いやな感じの客だろうなあと申し訳なく思いつつ、散髪中はずっとスマホのKindle本なんかを読むようになった。

散髪を終え、扉を開けて店を出

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知識と教養とセンスについて。

知識と教養とセンスについて。

「そこはやっぱり教養になっちゃうんだよなあ」

いけ好かない人間どもの会話と思われるだろうが、その結論に落ち着くことは多い。「あの人は、頭はいいんだろうけどねえ」みたいな会話の流れから。あるいは「彼もがんばってはいるんだけどねえ」みたいな会話のおわりとして。「なーにが足りないんだろね?」を考え、最終的に出てくることばは「教養」だったりする。なんとなくずるくてこわい結論だなあ、と思いつつも、ほかに言

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その人が、そこにいない。

その人が、そこにいない。

ぼくは、しあわせ者だと思う。

「うーん、なんて安直な…」という気分が拭えないが、いまの気持ちにいちばんピッタリだと感じるので書くことにした。あ、そういえば・・・

「最高でーす!」

プロ野球チームジャイアンツの阿部慎之助選手が試合中に活躍したとき、お立ち台に立ってヒーローインタビューで発するお決まりの第一声を思い出した。(たぶん学生時代だったと思うが)最初にあの姿を見たとき、素直に感情を表現す

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本当に欲しいものは渦潮の中にはない

本当に欲しいものは渦潮の中にはない

 これまで手に入れたものの中で、一番うれしかったものは何ですか? 一番思い出に残っているものは何ですか? 自分の世界が変わるほどの出会いになったものは、ありますか?

 溢れかえるモノの渦に飲み込まれそうなのが、現代の日本だと思う。飲み込もうとしているのは、モノではなくて、自分自身の物欲かもしれない。どちらにせよ、モノも情報も人の感情すらも、鳴門の渦潮のようにぐるぐるぐるぐる回りうねり、目まぐるし

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ご無沙汰しておりますの謎。

ご無沙汰しておりますの謎。

ビジネスメールの冒頭に「ご無沙汰しております」と書くことがある。

ふつう、ビジネスメールの大半は「いつもお世話になっております」からはじまるものだ。なかにはライフハックということなのか、署名と一体化させた文面として、「いつもお世話になっております。○○社の○○です」と登録している人も多い。その慣習を破ってまで、さらにはいつもの文面を消去してまでも「ご無沙汰しております」と書くのだ。よほどのご無沙

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恋のお墓をつくりましょう

恋のお墓をつくりましょう

「普段、家ではタバコを吸わないから、外で吸うときは重いやつを吸う。体に悪いことばっかりしてるよ、俺」

知らないパッケージのタバコの箱から取り出したタバコの煙を吐き出し、うつむきながらただ微笑んだ人を、わたしはずっと好きだった。

好きだという感覚は、錯覚に近いものだといつも思う。たった一瞬の笑顔で、たった一言で、心が動かされるとそれを恋だと思う。でもその先には幸福があるとは限らない。

その恋の

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僕は「だし」をなめていた

僕は「だし」をなめていた

8月22日から26日まで、夏期休暇をつかって、福岡・博多に旅行をしていた。今回の旅のメインは、「茅乃舎 (かやのや) 」。

茅乃舎は、「だし」が人気というイメージだった。先輩や知り合いから「ふつうのお味噌汁が2段階グレードアップする」と言われていたので以前から知っていたけど、これまで食べたことはなかった。

今度福岡に行くんです、と話をしたら「茅乃舎は、福岡にある久原本家がやっているんだよ」と教

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