潮永 三七萌

1994年2月生まれ。 憧れの人達:椎名林檎、佐久間宜行、朝井リョウ、星野源、小林賢太…

潮永 三七萌

1994年2月生まれ。 憧れの人達:椎名林檎、佐久間宜行、朝井リョウ、星野源、小林賢太郎、又吉直樹、鷹村アオイ、Ado、山口一郎、野田クリスタル、山里亮太

マガジン

  • くだらないエッセイ

    くだらないことを一生懸命書きました。まずはこちらをお勧めします。

  • オーケストラ部

    高校のオーケストラ部「駒フィル」での2年間を描いた、全10話のエッセイです。①に目次があります。

  • 憧れの人達

    プロフィールに書いている「憧れの人達」についての記事です。まだ椎名林檎だけですが徐々に書いていきます。

  • ハリーポッター翻訳チャレンジ

    15年以上日本語版を読んでいない状態でハリーポッター原文を翻訳し、松岡佑子大先生の翻訳と見比べて悶えるという、私だけが楽しい遊びです。

  • リレーエッセイ

    前の人が書いたエッセイにリレーする形で書いたものです。前後の方の記事と合わせてお楽しみください。

記事一覧

その女の名は「おぬし」

「おぬし」というあだ名の女の子がいた。  それはフルネームに由来している。例えば「オオヌキ シオリ」とか、そんな感じの名前を縮めて「おぬし」になるといった具合だ…

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オーケストラ部⑩ 引退、そして2022年

 卒業式の後、国立後期までの大学入試が完全に終わったら、卒業コンサート、通称「卒コン」が行われる。  これはコンサートと名付けてあるが、お客さんを迎え入れること…

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オーケストラ部⑨ 最後の定期演奏会

 ついに最後の演奏となる、3年4月末の定期演奏会である。  舞台袖に整列し、観客が入っている気配を感じながら、私は「みんな頑張ろうね」とここぞとばかりにリーダー風…

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オーケストラ部⑧ その他エピソード集

 ここでは、最後の定期演奏会前までのこまごまとしたエピソードを載せる。 <1年生の時の合宿>  ハイライトは「金管ズのマッピアルゴリズム行進で潮永が戦線離脱」「…

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オーケストラ部⑦ マエストロA

 私がファンになったフルート同期2人のうち、もう1人は数少ない男子のAだった。  ちなみに駒フィルの男女比がどれくらいかというと、私がいた2年間の平均で、だいたい女…

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オーケストラ部⑥ 金管ズのプレゼント

 約80人いる駒フィルだが、みんな本当に仲が良かった。誰かの誕生日には、パートやセクション中からプレゼントが渡される。  ホルンの私が所属した金管セクション、通称…

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オーケストラ部⑤ よっちゃん

 ここで、駒フィルを通してできた愉快な仲間たちを紹介したい。  私が勝手にファンになった、今風に言えば勝手に推していたフルート2人のうち1人がよっちゃんという同級…

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オーケストラ部④ サマーコンサート

 初本番、「サマーコンサート」の日があっという間にやってきた。  サマーコンサートは、夏休み前の終業式の日に毎年校内で行っている。  主に駒フィル(駒場フィルハ…

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オーケストラ部③ 初合奏

 わが校の校歌、となりのトトロの「さんぽ」、「パイレーツオブカリビアン」。この3曲を個人錬、パート錬、セクション錬でコツコツと練習し、初めての全体合奏の日がやっ…

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オーケストラ部② ホルン初挑戦の日々

 地獄の楽器決めを経て、1年生全員の担当楽器が決まった。  金管楽器1年はホルン、トランペット、トロンボーンに各2人ずつ。  トロンボーンの1人は中学の吹奏楽部でト…

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オーケストラ部① 地獄の楽器決め

 2022年、バイオリニストである中学の同級生と卒業ぶりに会うことになった。  自分の音楽遍歴を掘り起こして話のネタにでもしようと、高校のオーケストラ部の演奏会DVDを…

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憧れの人達「椎名林檎」⑤ なぜ憧れているのか

「④で終わりで良かったじゃないか」とは私も思った。  すごくこのシリーズが終わったっぽい雰囲気を出した直後だが、前回書いたのは「椎名林檎の思い出」であり、まだ「…

潮永 三七萌
1か月前
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憧れの人達「椎名林檎」④ 椎名林檎の思い出

 これまでは椎名林檎と東京事変を布教する記事を書いたが、ここからは私の椎名林檎に関する思い出や思い入れについて書く。 「椎名林檎については思い入れがあり過ぎて、…

潮永 三七萌
1か月前
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舐め腐っていた志望校選び

 私の出身高校「東京都立駒場高校」を志望した経緯がいかにナメていたかという話をする。  中学1年の時の三者面談で、担任の先生から「吹奏楽やってて勉強できて部活や…

潮永 三七萌
1か月前
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腐女子と詐称していた旨を自白する

※本記事には腐女子やBLといった単語が出てきます。苦手な方はご注意ください。  中学の3年間、私はオタクだった。  好きな歌といえば100%アニソンで、純度100%の中二…

潮永 三七萌
1か月前
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椎名林檎シリーズの途中ですが、書きたいエッセイができたので他のエッセイも投稿します。

潮永 三七萌
1か月前
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その女の名は「おぬし」

その女の名は「おぬし」

「おぬし」というあだ名の女の子がいた。

 それはフルネームに由来している。例えば「オオヌキ シオリ」とか、そんな感じの名前を縮めて「おぬし」になるといった具合だ。

 彼女は大学の英語部演劇セクションの後輩だ。体験入部時に「なんて呼ばれているの?」と聞かれた彼女が「おぬし」というインパクト抜群のニックネームを繰り出したので我々は色めき立ち、その呼び名は即採用となった。
 その「おぬし」というニッ

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オーケストラ部⑩ 引退、そして2022年

オーケストラ部⑩ 引退、そして2022年

 卒業式の後、国立後期までの大学入試が完全に終わったら、卒業コンサート、通称「卒コン」が行われる。

 これはコンサートと名付けてあるが、お客さんを迎え入れることはしない。駒フィルの1・2年生と、卒業式を終えた3年生だけで行う、“駒フィル流送別会”である。
 駒フィル流ということで、1・2年生から3年生へ向けて演奏を送り、2・3年生も1年前の定期演奏会で披露した懐かしの1曲を演奏する。

 楽器を

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オーケストラ部⑨ 最後の定期演奏会

オーケストラ部⑨ 最後の定期演奏会

 ついに最後の演奏となる、3年4月末の定期演奏会である。

 舞台袖に整列し、観客が入っている気配を感じながら、私は「みんな頑張ろうね」とここぞとばかりにリーダー風を吹かせていた。そして、全ての楽譜を楽屋に忘れていることに気づいた。

 一瞬で背筋が寒くなり、落ち着き払ってリーダーぶっていた自分の間抜けぶりを呪った。
 会場は1,200人キャパの大きさで、舞台袖と楽屋までは相当な距離がある。

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オーケストラ部⑧ その他エピソード集

オーケストラ部⑧ その他エピソード集

 ここでは、最後の定期演奏会前までのこまごまとしたエピソードを載せる。

<1年生の時の合宿>

 ハイライトは「金管ズのマッピアルゴリズム行進で潮永が戦線離脱」「よっちゃんのいたずらからの土下座が14年後創作のネタにされる」だが、それ以外のとても些細なエピソードを書く。

「合宿へ行くバスでお菓子を分け合う」という行為のワクワク感ったらない。

 私は無難にトッポとプリッツサラダ味を持参したのだ

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オーケストラ部⑦ マエストロA

オーケストラ部⑦ マエストロA

 私がファンになったフルート同期2人のうち、もう1人は数少ない男子のAだった。

 ちなみに駒フィルの男女比がどれくらいかというと、私がいた2年間の平均で、だいたい女子75人対男子5人弱といった具合だ。

 Aは寡黙でストイックなクラシック好きで、音大に進学した生粋の音楽家だ。よっちゃんも凄いが彼のフルートもまた抜群に美しく正確で繊細で、もう2人とも上手すぎてもはや浮いていた。
 楽器決めのフルー

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オーケストラ部⑥ 金管ズのプレゼント

オーケストラ部⑥ 金管ズのプレゼント

 約80人いる駒フィルだが、みんな本当に仲が良かった。誰かの誕生日には、パートやセクション中からプレゼントが渡される。

 ホルンの私が所属した金管セクション、通称「金管ズ」も、例に漏れず誕生日プレゼントに一生懸命だった。

 一人の金管の同級生、トロンボーン担当の女の子は、名字が戦国武将に似ていることから「殿」と呼ばれていた。「オーケストラ部③ 初合奏」で、全体練習が暇過ぎて百人一首を暗記してい

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オーケストラ部⑤ よっちゃん

オーケストラ部⑤ よっちゃん

 ここで、駒フィルを通してできた愉快な仲間たちを紹介したい。

 私が勝手にファンになった、今風に言えば勝手に推していたフルート2人のうち1人がよっちゃんという同級生の女の子だ。

 よっちゃんといつ仲良くなったのかはっきりとは覚えていないが、多分初合奏で私がファンになってからだと思う。
 彼女はフルートへも勉強へも全ての姿勢が真面目で、かつ「トゥーンリンクのゼルダが好き」という共通点もあり、非常

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オーケストラ部④ サマーコンサート

オーケストラ部④ サマーコンサート

 初本番、「サマーコンサート」の日があっという間にやってきた。

 サマーコンサートは、夏休み前の終業式の日に毎年校内で行っている。
 主に駒フィル(駒場フィルハーモニーオーケストラ部)を引退し立ての3年生が来ると聞いていたが、駒フィルとは関係ない生徒や先生も意外と多く見に来ていて人気ぶりに驚いた。
 私はあまり緊張していなかったのだが、実際に演奏を聴きに来た観客の姿を見ているうちに、じわじわと緊

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オーケストラ部③ 初合奏

オーケストラ部③ 初合奏

 わが校の校歌、となりのトトロの「さんぽ」、「パイレーツオブカリビアン」。この3曲を個人錬、パート錬、セクション錬でコツコツと練習し、初めての全体合奏の日がやってきた。

 部員みんなで音楽室の机をどけ、椅子と譜面台をオーケストラの隊列に並べ、全体を見渡せる位置に指揮台を置く。
 いつもの音楽室がオーケストラ仕様になり、その席一つ一つに部員と楽器が整然と配置される。その瞬間、「同じ部活の1年生と2

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オーケストラ部② ホルン初挑戦の日々

オーケストラ部② ホルン初挑戦の日々

 地獄の楽器決めを経て、1年生全員の担当楽器が決まった。

 金管楽器1年はホルン、トランペット、トロンボーンに各2人ずつ。
 トロンボーンの1人は中学の吹奏楽部でトランペットをやっていたが、他の5人は全員が金管楽器初心者だった。
 つまり6人全員がその楽器の初心者。5人はマウスピースを鳴らすのが初めて、ゼロからのスタートということになる。

 みんなで線路沿いでマウスピースをプープー鳴らしながら

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オーケストラ部① 地獄の楽器決め

オーケストラ部① 地獄の楽器決め

 2022年、バイオリニストである中学の同級生と卒業ぶりに会うことになった。
 自分の音楽遍歴を掘り起こして話のネタにでもしようと、高校のオーケストラ部の演奏会DVDを11年ぶりに見た。

 それは、演奏会のメインディッシュである交響曲、ジャジャジャジャーンで有名なあの「運命」の第4楽章のこと。

 信じられないほど美しい音色が、私の耳を通り過ぎた。
 妖精が通り過ぎて、キラキラした粉を振り撒いて

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憧れの人達「椎名林檎」⑤ なぜ憧れているのか

憧れの人達「椎名林檎」⑤ なぜ憧れているのか

「④で終わりで良かったじゃないか」とは私も思った。

 すごくこのシリーズが終わったっぽい雰囲気を出した直後だが、前回書いたのは「椎名林檎の思い出」であり、まだ「憧れている理由」を論じていない。

 今回は、プロフィールの「憧れの人達」に椎名林檎を真っ先に挙げている理由について書こうと思う。誰がここまでついてきているかは分からないが、とにかく自分のために書く。

<音楽の引き出しの多さ> とにかく

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憧れの人達「椎名林檎」④ 椎名林檎の思い出

憧れの人達「椎名林檎」④ 椎名林檎の思い出

 これまでは椎名林檎と東京事変を布教する記事を書いたが、ここからは私の椎名林檎に関する思い出や思い入れについて書く。

「椎名林檎については思い入れがあり過ぎて、自分の中で書くことに勝手にハードルが上がってしまった」と言ったが、そのハードルを越えて熱量を表現できるよう勤しんで書いた。
 私が「憧れの人達」に真っ先に名前を挙げるまでのいきさつと熱意が伝われば嬉しい。

<はまったきっかけ> 椎名林檎

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舐め腐っていた志望校選び

舐め腐っていた志望校選び

 私の出身高校「東京都立駒場高校」を志望した経緯がいかにナメていたかという話をする。

 中学1年の時の三者面談で、担任の先生から「吹奏楽やってて勉強できて部活や行事が盛んな学校だったら都立駒場高校がいいぞ」と言われた。ちなみに吹奏楽部は駒場高校にはない。

 それを聞いた私は、「じゃあ駒場にしよう」と思った。

「じゃあとか言うなよ」と、私が親なら絶対に言う。周囲からも絶対にそう言われることが分

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腐女子と詐称していた旨を自白する

腐女子と詐称していた旨を自白する

※本記事には腐女子やBLといった単語が出てきます。苦手な方はご注意ください。

 中学の3年間、私はオタクだった。
 好きな歌といえば100%アニソンで、純度100%の中二病にかかり、「ハルヒとからき☆すたみたいな制服の学校ってなんで無いんだろう」と本気で不思議がっており、教科書やノートやテストの問題用紙に美少女やドレスの落書きばかりしていた。
 ちなみに当時ハマっていた主な作品は伝勇伝、ハルヒ、

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椎名林檎シリーズの途中ですが、書きたいエッセイができたので他のエッセイも投稿します。