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別冊 夢想ハウス.にこにこ

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毎月SHOWROOMで朗読配信した後に、朗読した作品、作家について好きに語ります。
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記事一覧

「よくわからん」が一番こわい:岡本綺堂について

「よくわからん」が一番こわい:岡本綺堂について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
今月は、原点である(?)怪談に立ち返って岡本綺堂「怪談一夜草紙」を読みました。
前回の久生十蘭「春雪」では春の美しさに感動していましたが、今回は5月のある雨の夜に起きた、奇妙な事件の話です。今夜もじめっと元気にいきましょう!

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日本のホームズ「半七」シリーズ

岡本綺堂作品といえば、去年はじめ

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手品師、春を告げる:久生十蘭について

手品師、春を告げる:久生十蘭について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
今月は、超名作!!久生十蘭「春雪」を読みました。
前回の江戸川乱歩「日記帳」で弟の日記にガタガタ震えていましたが、今回はそんな寒い冬の夜から一転、雪がとける春の美しさを思わせてくれるお話です。

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久生十蘭について

久生十蘭の文章はまさに「手品」「魔術」といった感がある。
ユーモアはありつつも

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手招きする「秘密」の誘惑:江戸川乱歩について

手招きする「秘密」の誘惑:江戸川乱歩について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
今月はついに、江戸川乱歩の「日記帳」を読みました!このnoteを始めてから初挑戦の乱歩作品。雑誌「新青年」にふれる度、日本探偵小説界の黒幕のようにちらちらと見え隠れしていた乱歩先生です。

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⚠ 今回はネタバレしかないので、未見の方はぜひ先に読んでください!

あらすじ、そして湧きおこる疑念

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人生を彩る「毒」、その致死量はいかに:小酒井不木について

人生を彩る「毒」、その致死量はいかに:小酒井不木について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
今月も1月に引き続き、小酒井不木作品。
医学博士でもあった彼ならではの冷静な視線が感じられる(※伏線)会話劇ミステリ「卑怯な毒殺」を読みました。
シーン…と静まりかえった病室の夜。包帯だらけの異様な状態で横たわった男と、そのベッド脇に立った干物のような痩躯の男…。
この最初の絵面だけで、なんだかどきどきしちゃうなあ…。

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恐怖の胚珠:小酒井不木について

恐怖の胚珠:小酒井不木について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
2024年、始まりましたね~!
昨年末は、怪奇小説→科学小説へと舵をきった二人の作家、蘭郁二郎と海野十三の作品を読みました。
今年の朗読はじめは、1/12(金)、小酒井不木のじめっと恐い話「犬神」でスタートです!

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不木先生と乱歩先生

小酒井不木は生理学・血清学を専攻とする医学博士である一方

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科学と浪漫の大爆発:海野十三について

科学と浪漫の大爆発:海野十三について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
2023年もいよいよ年の瀬を迎えようとしていますね~。
年内最後の朗読配信、12/15(金)は海野十三の「仲々死なぬ彼奴」を読みました。

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海野十三作品、初挑戦でした!
恥ずかしながら全く読んだことがなくて…瀉葬文幻庫が『火葬国風景』を上演していた時に気になって読んだことがあったんですが、他の

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幻想の客体に体温を:蘭郁二郎について

幻想の客体に体温を:蘭郁二郎について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
11/17(金)の朗読では、蘭郁二郎「蝕眠譜」を読みました。
いつもタイトル画像に作家の顔写真を入れるのに、蘭先生全然ヒットしなくて…ちょっと寂しい感じ。

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蘭郁二郎の怪しい世界

蘭郁二郎という作家をご存知ですか?
1931年、江戸川乱歩全集の付録冊子「探偵趣味」にて、読者から掌編探偵小説を

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ホラーという脊髄刺激装置:葉山嘉樹について

ホラーという脊髄刺激装置:葉山嘉樹について

こんばんは。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。
10/20(金)の朗読では、葉山嘉樹「死屍を食う男」を読みました。

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出会いは「セメント樽の中の手紙」だった

葉山嘉樹といえば…学生の頃に授業で読んだ「セメント樽の中の手紙」。
以前朗読したことがあるけど、コメント欄は凍り付いていた。遣り切れない読後感を共有した思い出…。
葉山嘉樹

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犬は遠吠えをする。影は永遠に追ってくる。:萩原朔太郎について

犬は遠吠えをする。影は永遠に追ってくる。:萩原朔太郎について

おはようございます。月に一度の別冊夢想ハウス.にこにこです。

9/22(金)の朗読では萩原朔太郎の詩を読みました。
主に「月に吠える」より序文と抜粋したいくつかの作品、そして「宿命」より「死なない蛸」。
始めは「純情小曲集」「青猫」からも何作品か…と思っていたのですが、「月に吠える」の序文がすごく好きだったので絞ってみたよ。

私が購入したのはちくま日本文学全集。
寺山修司も持っているんだけどこ

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萩原朔太郎と室生犀星について:たちの悪い年増女とヒユーマニチイの祕密

萩原朔太郎と室生犀星について:たちの悪い年増女とヒユーマニチイの祕密

8/25(金)、SHOWROOM<夢想ハウス.にこにこ>にて61作品目『田端に居た頃(室生犀星のこと)』を朗読したよ。
前回、室生犀星の『蛾』を読んだ。調べていると室生犀星のエピソードがかなり独特で興味を持ったので、生涯の友である萩原朔太郎によるエッセイを読んでみた。室生犀星と萩原朔太郎、両名の人柄がわかる作品で面白い。

萩原朔太郎 田端に居た頃 (室生犀星のこと) (aozora.gr.jp)

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室生犀星のこと:川は羊羹のように流れてゐる

室生犀星のこと:川は羊羹のように流れてゐる

朗読を始めてから、よくもまあこんなに次から次へと読みたい作品に出会えるなぁと日本文学の素晴らしさに驚嘆しているが、なんと先ほど2023/7/21(金)の朗読配信にて、60作品目に到達しました🎉室生犀星『蛾』を読んだよ。

犀川へ魚を獲りに行ったきり帰ってこなかった川師・堀武三郎だが、四十九日目に突然家へ帰ってきて、どうも様子がおかしい。妻・おあいは堀の荷物の中に立派な塗櫛を見つける。そこへ「この

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