【メデューサの首 小酒井不木】 今日は「いい風呂の日」と聞いてこの話を思い出した。 「T医科大学の四年級の夏休みに、わたしは卒業試験のため友人の町田と二人で伊豆山のS旅館に出かけ」その湯船で女性と墨絵を描きあって戯れるが ……🥸 https://www.aozora.gr.jp/cards/000262/files/1455_20744.html
不木の作品、犯罪が出てくる文学のテーマで尚清らかさを感じるのは、そこに横たわる世界の捉え方がとても冷静だからだと思う。 読み手を意識した読みやすい文章もまた親切心をどこか感じてならない。
「恐ろしいものは殺人行為ではなくて、各人の持っている殺人意志だ。みたまえ、刃物を持ち得ないものは、舌や筆をもって人を殺そうと計画するではないか。だからこの世に悪人はめったにないよ。つまりみんなが悪人なのだから」 小酒井不木著『疑問の黒枠』河出文庫 p92