室生犀星のこと:川は羊羹のように流れてゐる
朗読を始めてから、よくもまあこんなに次から次へと読みたい作品に出会えるなぁと日本文学の素晴らしさに驚嘆しているが、なんと先ほど2023/7/21(金)の朗読配信にて、60作品目に到達しました🎉室生犀星『蛾』を読んだよ。
犀川へ魚を獲りに行ったきり帰ってこなかった川師・堀武三郎だが、四十九日目に突然家へ帰ってきて、どうも様子がおかしい。妻・おあいは堀の荷物の中に立派な塗櫛を見つける。そこへ「このあたりで落とし物をした」という女が家を訪ねてきて…といったあらすじ。
なんだこの奇妙な、それでいて美しい不思議な話は?ぐんぐん読み進めていくと、ラスト数行で言葉を失う。読者も結末と同じ状況へと導かれていたのだ…まあ、まだの方はぜひ読んでみてください。めっちゃ面白いから。
室生犀星 蛾 (aozora.gr.jp)
👆ここで毎月朗読してる📚
室生作品は過去にも『不思議な国の話』を2022.07.22に朗読配信していた。去年も今年も7月は室生犀星だったんだ。全然覚えてなかった。
幽玄へと誘う摩訶不思議な文体とヒンヤリした美しい情景、そしてつかみどころのないジワジワ迫ってくる怖さは夏にぴったり!
せっかくnoteを始めたので、これからは朗読した作品や作家について書いてみようと思う🖌
ちなみにずっと「むろお さいせい」だと思っていたのだけど、むろお、と打ち込むと変換候補に室生犀星が出ない。「むろう」と打つと出てくるので、「むろう」なの~?と調べてみたら…
よかった合ってた~。今後も自信をもってムロオでいきます。
室生犀星は金沢生まれ。
『蛾』に登場する犀川(さいがわ)や、『不思議な国の話』で登場する医王山(いおうぜん)は実際に金沢にある場所だそうで。
街並みは当時とは随分変わってしまっただろうけど、川や山は見て思いを馳せてみたいなあ。と、ついつい旅行サイトを熟読。
自伝的な小説『幼年時代』にも医王山、そして犀川の堀武三郎というワードどちらも出てくる。長いので配信では読まないと思いますが、好きな作品。良かったらぜひ読んでみて。
室生犀星 幼年時代 (aozora.gr.jp)
ところで羊羹が好きらしい。犀星が愛したどこどこの羊羹、とかがあったら食べてみたい~と調べていると、金沢ではなく京都創業の老舗和菓子屋「とらや」のホームページに「菓子資料室 虎屋文庫」というめちゃくちゃ良い読み物シリーズを見つけてしまった。これはしばらく夢中やわ。
室生犀星と幼少時代の菓子の思い出 | 歴史上の人物と和菓子 | 菓子資料室 虎屋文庫 | とらやについて | 株式会社 虎屋 (toraya-group.co.jp)
室生犀星と羊羹 | 歴史上の人物と和菓子 | 菓子資料室 虎屋文庫 | とらやについて | 株式会社 虎屋 (toraya-group.co.jp)
夜の隅田川見て「羊羹のように流れてゐる。」とつぶやいたエピソードが面白い。突飛なようだけど、ありありと川の様子が目に浮かぶよう。
さあ室生犀星が一体どんな人だったのか、プロフィール的な事ではなくより深いエピソードが知りたくなってきましたよね?
私も気になり色々読んでいたところ、萩原朔太郎が書いた『田端に居た頃 室生犀星のこと』が物凄く好きだったので、次回8/25(金)21:00~の朗読配信で読みます!
初挑戦の萩原朔太郎作品がエッセイとは…詩にも挑戦したい。
まずは、室生犀星が書いた萩原朔太郎についての文章を読んでみよう。
え…めっちゃ仲良いやん…。この短い文章でここまで伝わる?
今、映画を半分見た頃合いくらい感情移入してる。この状態で『田端に居た頃 室生犀星のこと』を読むと本当に胸がギュ~~となるんですよ。
というわけで、是非聴きにきてね。
ああ、金沢行きたいなあ。今度行ったら、犀川にも医王山にも室生犀星記念館にも行ってみたいな~。とりあえずは、とらやで羊羹を買ってこよう。
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