マガジンのカバー画像

ちえのかたまり

213
運営しているクリエイター

#医療

プライマリ・ケアって何?――松田晋哉先生、草場鉄周先生との鼎談

プライマリ・ケアって何?――松田晋哉先生、草場鉄周先生との鼎談

「勿凝学問410」2017年に刊行し、翌年に増補版を出した『ちょっと気になる医療と介護』の重版出来の連絡が届く。第3版にしようかと思い、新企画の一つとして、プライマリ・ケアに関する鼎談を思いつく。産業医科大学の松田晋哉先生と日本プライマリ・ケア連合学会理事長の草場鉄周先生との鼎談は、とてもおもしろいものになったので、オンラインでの公開も行うことにした。
(写真は草場先生提供)

日本プライマリ・ケ

もっとみる
これはほぼ、医療者たちと私の物語だ

これはほぼ、医療者たちと私の物語だ

昨年夏には書こうと思っていたのに、温めすぎてしまった。
2014年のがん治療から5年が過ぎた。

入院治療の7日間、さまざまな人が、できごとが、私のベッドの脇を忙しく通り過ぎて行った。
その人たちとの短い交流、たくさんあったできごとたちを忘れたくなくて、物語のようにここに記しておきたい。

一応書いておくが、これは闘病日記ではない。

静かな診察室入院初日は、術前の診察があった。
外来とは違う、病

もっとみる
すごい本を読んだ話

すごい本を読んだ話

すごい本に出会った。大塚篤司先生が書かれた「世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方」という本だ。

この本は、皮膚科医の大塚先生が一般の方向けに、アトピーの治療方法を丁寧に解説した医療本です。

私は今までたくさんの医療本を読んできましたが、ここまでハイレベルの本に出会ったことは今までなかったです。ぜひ、多くの方に読んでもらいたいと思ったので、ここで少し紹介し

もっとみる
「ジャッジする前に背景を考える」想像力ある社会を目指す、精神科医 松本俊彦先生

「ジャッジする前に背景を考える」想像力ある社会を目指す、精神科医 松本俊彦先生

精神科医師の立場から、日本の薬物依存症の問題を、犯罪としてではなく病気の回復プロセスへと方向転換させるために活動されている国立精神神経医療研究センター病院・薬物依存研究部部長の松本俊彦医師。リアルな医療現場の話をお聞きするためnClinicの岩田千佳医師にもご同席いただき、お話をうかがいました。

松本俊彦(まつもと としひこ)さんプロフィール
出身地:神奈川県
活動地域:日本
職業:精神科医、

もっとみる
認知症のおばあさんの「まだご飯食べてない!」という言葉と、医師の「今すぐ薬を開始しないと大変なことになります」という言葉は同じ仕組みから発せられる。

認知症のおばあさんの「まだご飯食べてない!」という言葉と、医師の「今すぐ薬を開始しないと大変なことになります」という言葉は同じ仕組みから発せられる。

私が人工知能に興味を持ったのは、人工知能に対する興味ではなく、人工知能という「自然知能に近づこうとする意志と方法論」を見つめることで、自然知能が持っている芳醇な魅力を対比的に知ることができるからです。この2019年の段階においては、人工知能は自然知能ができる能力よりもはるかに高い能力を部分的に持つことができることが証明されています。それは、例えば記憶のプールと抽出とか、ベイズ理論に基づいた推

もっとみる

「人生会議」で思うこと。

吉本芸人の小藪さんを採用した「人生会議」のポスターの発送中止を、厚労省が決定した。

私個人としては、炎上だろうがなんだろうが、そういった考え方や取り組みがあることが人の目について、まず知ることができる機会を作ったということにおいて、大成功だと思う。人の目について話題にならなきゃ、何も始まらないんだから。

ただ、死を目前にした人の心というのは想像以上に壮絶な過程を経る。それは本人だけでなく家族も

もっとみる