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福祉の仕事

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2023年10月の記事一覧

納品に間に合わなかった日

納品に間に合わなかった日

私が担当している某下請け作業の会社には様々な種類の作業がある。

契約をしてからまだ1年経たないが、今まで 
に50種類はやってきただろう。
しかもまだそれが全てではない。

 
納品には1~2週間に一回行っているのだが
下請け作業の種類はほぼ毎週変わる。
続いてせいぜい三回までだ。

 
だから正直、どのくらいの作業量が妥当かを読むのが難しかった。
初めての作業だと、やってみたら思ったより簡単だ

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職員は善人じゃない

職員は善人じゃない

とある利用者は対応がなかなかに難しい。
すぐに怒るし、口が悪い。

前施設長曰く、思春期の男子みたいなものだという話だが
それが分かっていても難しい。

 
新しい作業のやり方を説明しても「分かってるんだから俺に口出しするな。」と言う。
そして我流でやる。間違えを指摘すると「俺に指図するな。」と怒って、作業資材を投げ置く。

任せた作業内容が気に入らなくても作業資材を投げ置く。

やり慣れている作

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社会人のひとりごと

社会人のひとりごと

社会人はできて当たり前。

だからできることはいちいち褒めることではない。
言われないということは、できているとみなしていいこと。

 
できないところは一つ一つ言う。
できて当たり前だから。
上はそれを下に言う権利があるから。
私が劣っていれば、上は私に何を言ってもいいのだろう。

 
上は教えているつもりなのだろう。
でも、私にとっては言われたくないことばかりで
言い方を考えてほしいことばかり

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仕事をしくじった時の思考回路

仕事をしくじった時の思考回路

土曜日勤務が続く。
疲れがとれない。
仕事が終わらない。

持ち帰り仕事。
朝早く来て仕事。
サービス残業。

そんな日々。

 
週明けの月曜日も、いつもより早く出勤して仕事をしていた。
空は晴れていたけど、心は疲れていた。

 
月曜日は利用者とグループごとにお昼を買いに行く。

私はAグループ担当だった。
新施設長からお昼を買いに行く前に車で別のお店で買い物をしてほしいと頼まれた。

利用者

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売上が低い日の販売

売上が低い日の販売

私は障害者施設で働いている。
施設では色々なものを作ってイベントで販売している。

 
普段は月1~2回くらいの頻度で出店するが
10~12月は月3回出店することになりそうでなかなかにハードだ。
初めての場所での販売もいくつも予定している。

 
販売イベントだけではない。

毎月の行事に加え、ダンス発表会、マラソン大会と大きな行事もあり
下請け作業も製品作りも今はかなり量がある。
更に秋は特別支

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ステージで初めてのダンス発表

ステージで初めてのダンス発表

私はコロナ禍の中、障害者福祉施設に転職した。

転職先では毎年、障害者アートコンクールに参加していて
夏ぐらいから絵の練習をし、秋に作品を出展し、とある日にコンサートが行われるような大きな会場で飾られていた。

 
私含め同僚は今年も利用者と色々なモチーフを描く練習をした。
その練習の一環で職員が描いた絵はリーダーにより施設に飾られた。
利用者の絵を飾るならまだしも、職員の絵を飾るとは恥ずかしい。

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最高気温26度、朝は18度

最高気温26度、朝は18度

10月に入り、朝夕は冷えてきた。
長かった酷暑がようやく終わりに近づき、秋になりつつある。

だが、相変わらず最高気温は25度くらいの日がある。
日中は半袖で十分なことがある。

 
その日は最高気温26度の晴れ予報だった。
私は半袖にパーカーを合わせ、生地の薄いズボンをはいた。

 
だが、朝の送迎時、私は異変に気づいた。
寒いのである。

なかなか太陽は出てこなく、車内は寒いままだ。
気温は1

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値札紛失事件

値札紛失事件

夏に販売用ディスプレイや値札を新たに作り直したのに
ある日値札が半分以上ゴソッとなくなってしまった。

 
販売当日、私は焦った。
値札をしまう場所はいつも決まっているので油断した。
誰だ。何故だ。どうして半分なくなっているんだ。

備品チェックを怠った私が悪いから
仕方なく販売当日は余っていた紙で適当に値札を作った。

 
販売の次の日、私は販売に関わる同僚に値札を知らないか確認した。
だが、な

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藤井さん八冠のニュース

藤井さん八冠のニュース

前の職場で担当だった利用者は将棋が好きだった。

「ともかちゃん、羽生さん知らないの?すげぇ人なんだよ。」

そう言って羽生さんの本を見せてくれた日を私は覚えている。
数年前の遠い日なのに、あの日の利用者の目の輝きや声のトーンは熱がこもっていて印象的だった。

 
私は将棋に関して駒の名前や簡単な動きや役割くらいしか知らなくて
将棋を指したことはなかった。

その利用者は誰かと将棋をやりたがってい

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ハゲとカッパ

ハゲとカッパ

年齢と共に分け目が薄くなってきた。
分け目に白髪も増えた。

以前は髪の量に悩まされた私も
気がつけば毛の量に悩まなくなった。
段々と量が減っているのだろう。

 
「ともかちゃん、ハゲてる。」

利用者が私の分け目を見ながら軽々しく言う。

 
バセドウ病の影響で髪をかき分けると円形脱毛が五つもある私は
ハゲの言葉に一瞬ドキリとする。洒落にならない。

 
「バレては仕方ない。秘密だよ、秘密……

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出禁になった背景

出禁になった背景

休みの日、利用者Aさんはとあるお店に一人で出掛けていたらしい。

そのお店に買い物に行くのではなく
どうやらお気に入りの店員さん目当てで遊びに行き
その店員さんにとって嫌なことをしたらしく
出禁の通知を渡されたらしい。

その通知書を部屋で見つけた保護者はお店と警察に行ったらしい。
警察にも通達したと書いてあったからだ。

Aさんには知的障害と聴覚障害がある。
親しみを感じる異性には笑顔で何度も手

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いつもの朝のはずだった

いつもの朝のはずだった

それはいつもの朝だった。 

 
予定通りに利用者を迎えに行き
そしたら車内で利用者が不穏になり
運転手である私に後方から本を投げてきた。

下手したら怪我をしたし
下手したら事故になりかねない。

私は利用者を怒った。
それに対して利用者がまた怒ったり、泣いて謝ったりをした。

 
始まりはいつもの朝のはずだった。
だけど始まってみれば朝から大変な朝だった。

不穏になったからといって何もかもを

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初出店のスポーツ大会イベント

初出店のスポーツ大会イベント

一年に一回、障害者スポーツ大会がある。

  
私は今から10年以上前の学生の頃、ボランティア参加したが
それからは関わりがない日々を過ごしていた。

就職してからは
利用者何人かが毎年参加していてメダルを見せてもらったり、話を聞くくらいの繋がりだった。

 
転職し、コロナが第5類になった今年
初めてそこで出店販売することになった。

 
会場は近年できたての場所で
外観は見たことがあるが
中に

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常楽寺(栃木県鹿沼市)

常楽寺(栃木県鹿沼市)

今から10年前くらいのことだろうか。

 
私が当時勤めていた施設の某送迎ルートは、彼岸花がよく咲いていてキレイだった。

 
私はそのルートでは送迎補助として乗っていて
利用者さんを迎えに行くまでの道中
運転手であるAさんとよく話していた。

年齢は40歳くらい違ったが
Aさんとはよく日帰り旅行の話で盛り上がった。

 
私が滝や湖等水が好きなことや人がいない自然豊かな散歩道を探していることを伝

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