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#本

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気になった本をただただ読む。そのまとめ。
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#読書メモ

この世界には確かなことなんて無いかもしれない。けれども、何かを信じることはできる。「騎士団長殺し」/村上春樹

この世界には確かなことなんて無いかもしれない。けれども、何かを信じることはできる。「騎士団長殺し」/村上春樹

『騎士団長殺し』面白く、不思議で、洞察深い物語でした。

『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』『街とその不確かな壁』に続き、村上春樹は3作目です。『騎士団長殺し』の前に読了した2冊で、村上春樹の『手腕』的なものと『文章技巧』的なものと『軸』みたいなものが、概ね把握できたのは、『騎士団長殺し』を読むうえで有益でした。

今回は読みながらその瞬間に思ったことをツイートし書き留める作業をしてみまし

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三島由紀夫の『金閣寺』をスライド形式で振り返る 

三島由紀夫の『金閣寺』をスライド形式で振り返る 

先月に三島由紀夫の「金閣寺」を読了してからその衝撃を忘れることができず、一スライド一題目の「1対1対応」で振り返ってみました。

振り返るとわかる、内容の密度と、その文言の壮麗さ。

何度でも読んでその内容を噛みしめたい、そう思わせてくれる作品です。

※スマホを横にして任意の画像をタップすれば、あとは横にスライドして画像を流れるように閲覧できます。

現実はなぜひとつなのだろう 『ゆるく考える』/東浩紀

現実はなぜひとつなのだろう 『ゆるく考える』/東浩紀

「意味」に居る私『黒い正方形』という、無対象を志向した絵画がある。

「約束事」とはつまり、絵画そのものが持つ《写実性》である。つまりは、絵画は何かを「再現」するプラットフォームであり続ける限り絵画的リアリズムは絵画に存在していない、と逆説的に示してしまうような事実のことを〈規定性〉のある「約束事」として保持している、ということだ。

いつでも私たちの視野は「中心となるもの」と、その「中心の周囲の

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『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.2

『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.2

以下の〈vol.1〉の続きです。
引用した文章をササっと読むだけでも気付きが多いと思います。

第3章 家族・資本主義・アヌスP79¶1
「資本主義というイデオロギーの最強の武器は、オイディプスをある社会的自然、ある心追を再構成させるがままにしておく。」

ホモセクシュアリティを弁明するために、古代ギリシア時代の文献をさかのぼることが多く、その迂回によって説明されうる。今となっては幻想的となった物

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『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.1

『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.1

1993年刊行の『ホモセクシュアルな欲望』には、一貫した《異性愛規範の問いただし》があります。
「問い直されるべきなのは、ホモセクシュアル側ではなくヘテロセクシュアル側である。」という主張です。

当時、この視点には目新しいものがありました。
しかしながら、それが今の我々の「無意識的な何か」になっているとは言えません。

30年前の著作ですが、そのような意味において(非常に残念であるという意図も込

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1日1個!認知バイアス! 『認知バイアス辞典』/情報文化研究所

1日1個!認知バイアス! 『認知バイアス辞典』/情報文化研究所

「認知バイアス」として日頃よく目にするワードとしては、《同調バイアス》などが挙げられると思います。

【同調バイアス】
周囲の複数他者による同調によって、他者の行動が自身の規範となること。

《どのような認知バイアスが存在して、それぞれがどのように作用し合うのか知りたい》といった要望に応えられるような、《認知バイアス》に関した助走的著作と言えると思います。

60もの認知バイアスに関して、自分の解

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童貞が世の中を退屈にし、退屈な世の中は「普通」を「普通じゃない」ものにする。

童貞が世の中を退屈にし、退屈な世の中は「普通」を「普通じゃない」ものにする。

童貞とは、性にまつわる特性を示す言葉ではない。この世の中に対し、情報知覚的に《挿入》していない(参画していない)人の比喩である。
知らないということが、いったいどういう状況なのか、何が問題なのか、明確にさせてくれるのがこの本だ。

異質的存在として写る著者だが、異質という存在を「異質」という言葉によってゾーニングすることは、全く問題がないことなのか?

異質だとゾーニングするのは、《ゾーニングしな

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