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2023年1月の記事一覧

アイス・レモンティー

ロックンローラーが
雪を吐き出す季節に
私と貴方は
知らない世界を目指す
アイス・レモンティーを
何となく飲みながら
不安な事など
何処にも無いのと
貴方は静かに話す
マジック9の様な
美しく透き通った瞳で

フィルムカメラ

ピントのずれた
フィルムカメラを
大切に持つ少年
誕生日に
父が買ってくれた
素敵な機械で
世界を切り取る様に
写し続ける彼は
何かに為れるだろうか
未来はその手から
空へ向かうならば
飛び立てるだろうか
迷わない酉のよに

マガツヒ

異国の地から
マガツヒが放たれ
この国を焼き尽くす
街も人も平等に
人の形を保てずに
皆骨すら残らない
何時かこの憎しみを
返そうとする
見えない力が
異国の空を包み込む
私達と同じ苦しみを
再び与える為に

過去と毒薬

隠し続けたい秘密を
気に掛ける富豪の老人
知人から依頼され
彼を調べるマーロウ
人は潔白では生きれない
そう分かっていても
現実は何時も冷たく
老人の過去は暴かれ
彼は静かに落ちて逝く
底の無い奈落まで

スパイラル

螺旋の時の中で
貴方を探すけど
その哀しみすら
見つけられない私は
彷徨い続けて
灰に為るだろう
息を吐き時に
揺れ惑いながら

ルドルフ

人生に退屈している
金持ちの詩人は
友や恋人と距離を置き
自殺する事にした
生まれ落ちた刹那から
不自由な物など何も無く
今まで生きて来た彼は
何もかもに飽きていた
心を埋め切れない日々に
彼は耐えられず病んで逝く
人は脆く弱い物だと
知ってしまったから

ヌードカルメン

真冬に裸で街を歩く娼婦が
心から涙を零しても
誰も気にはしない
皆が見えない何かに追われ
今にも壊れそうだから
ラッコの毛皮を着て
街を闊歩する修羅が
何も言わず彼女の素肌に
ラッコの毛皮を掛けて消えた
直ぐに溶けて無くなる
生まれ故郷の初雪みたいに

神の居ない季節に

神の居ない季節に
悪魔と歌おう
手を取り合って
神の消えた季節は
悪魔と踊ろう
分かち合って
神の死んだ季節に
悪魔と踊ろう
世界が血に見えても

B・ガーデン

血で染まる過去を
隠そうとしても
暴かれてしまうなら
落ちて逝きましょう
美しい庭の様な
生き方は出来ないから
灼けた砂の道を
私は延々と歩いて
何時か咲き乱れるの
黒薔薇に生まれ変わって

リムーバー

私の酷い傷痕を
全て消してくれたなら
蝶にだって
花にだって
私は為れたかしら
そんな事を
思いながらも
誰かを広く深く
憎みながら
生きてしまう私は
醜い女なのでしょうね

ガーリーコレクション

貴方は冷たい人だと
囁いて私の前から
消えた優しい貴方を
私は直ぐに忘れるだろう
閉じ込めて置きたい
思い出など私には
初めから無かったの
本当に何も無かったのよ

マインスター

マインスターから来た
魔女を探す
左目のジュリー
全ての人には希望が
必要だと話す
悪魔のブルーズマン
混沌は何時だって
お前の側で
渦巻いていると
嗤うニャルラトホテプ
自分の罰に抗おうと
孤独な戦いを続ける
別の世界から来た少年
社会のレールから外れたら
奈落へ落ちて逝くだろう
貴方も私も変わらず等しく

行き場の無い鳥

行き場の無い鳥は
遺書を渡す為
空を羽搏き続ける
暗闇の中を
毒の河を
絶望の因果さえ
越えながら
彷徨い続ける
罪は拭えやしないと
知っていても

フロッグ狩り

酸性雨が
振り止まない街で
フロッグを狩る
メタルハンター
改造したブルドッグ銃で
強化ボディを撃ち抜く
限り無く人に等しい
彼らに人権は無く
そして法も通らない
時に死神と揶揄されても
メタルハンターは
フロッグを狩り続ける
彼らに断罪される日が
訪れたとしても