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#創作大賞2024

夢を見る、父と私の諦め【創作大賞2024エッセイ部門】

夢を見る、父と私の諦め【創作大賞2024エッセイ部門】

アヤコちゃんが自殺した。私が20歳のときだった。
アヤコちゃんはお父さんの「彼女」だった。

その5年後、お父さんが精神科病院に入院となった。
拘束もされた。
借金が1500万円あると発狂した。
子どもたちも支払い義務がある、と。

社会人3年目を迎えた春、父から留守電が入った。

「ユキちゃん、もうお父さん死ぬ、今救急車呼んだとこ、さっき血便が出たんよ、大腸ガンで、父さん、もう何日もうんち出てな

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ボクたちが自信を持って言えること

ボクたちが自信を持って言えること

いつも通り、21時過ぎに僕は二人より先に自分の寝室に入ったのだけど、しばらくしたら台所から妻の語気を荒げた声が聞こえてきた。

少し様子を伺っていたのだけど、一向に息子の声が聞こえてこないから、これはマズイと思って、彼がいるはずのリビングに向かった。

そしたら、じっーと下を向いて直立不動で必死に何かに耐えているような息子の姿があった。

その彼に向かって、妻がまた声を荒げる。

どうやら今週の学

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【2分小説】私は今日もきっと

【2分小説】私は今日もきっと

明日、世界が悲しみに覆われる。

地獄の大魔王と悪魔サタンが仲良くなり

すべての国で悲しみの曲が流れ

人々は、ずぶ濡れになるほど涙を流す。

…あーあ
そんなふうになってくれればいいなぁ。

でも、
私が死んでも明日は、
きっといつも通りに回るんだろうな。

この世界は私がいなくなっても
何一つ変わらないんだろう。

明日も
郵便のお兄さんは、眠そうな顔で自転車に乗ってるだろうし

左隣の家の

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自分語りが良くないならエッセイってなんだ。

自分語りが良くないならエッセイってなんだ。

先日書いた記事とマガジンを
猫と本とコーヒーさんが記事の中で
紹介してくださいました♡

先日わたしの記事でも紹介させていただいた

麻央さんも、猫と本とコーヒーさんも、
「いつも記事を楽しみにしている」と
書いてくださっていて、
なんだかもう…胸がいっぱいに。

noteを毎日書き始めてもう少しで10ヶ月。
真面目なことも辛かったこともふざけたことも
本当になんてことないただの日常も、
たくさん

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言葉には魂が宿るので。

言葉には魂が宿るので。

言葉そして言葉の持つ力、
それから、わたしが怖いと思うこと。

言霊とは

色んな解説を要約すると、
こういった意味があるそうで。

言葉通りの結果を表すかは別として、

例えば放たれた酷い言葉などに対して
後々、言い過ぎた悪かったごめんなさい
というように、放った人間が謝ったとして
その相手との関係性や理由においては
"許す"ということは可能かもしれないが、
言われたという出来事そのものや、

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地上100センチメートルの世界から

地上100センチメートルの世界から

カメラを手にお散歩することがグッと増えた。
これは私にとっては画期的でレボリューションともいえる出来事だ。
なぜかといえば、病の身になり闘病生活を送るようになって10年。
ほとんどが"寝たきり"に近い暮らしだったからである。

そんな私が闘病11年目にして、立ち上がったのだ。
寝たきり生活にピリオドを打つべく、カメラを持って出掛けるようになったのだ。ただし、あくまでも車椅子でのお散歩である。

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すっかり忘れてしまっていた、水と油だった母と私、とお雛様。

すっかり忘れてしまっていた、水と油だった母と私、とお雛様。

昨日みなさんが、
記事や、記事の内容に関係なくても
見出し画などを「お雛様」にしていて
突然思い出したんです。

わたしが幼い頃、
実家には7段のものすごく豪華な雛人形があった

ことではなく、

わたし、すごくちっちゃなお雛様持ってる!

ということを。

その昔、もともとうまくいかない
関係だった母と決定的な仲違いをし縁を切り、
当時わたしは離婚した直後でしたが、
実家を出ました。

その後1

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繋ぎとめるもの、思いとどまらせるもの

繋ぎとめるもの、思いとどまらせるもの

 インドカレーが好きである。
 特に好きなメニューはバターチキンカレーだ。チーズナンとサフランライス、そして野菜にオレンジ色のドレッシングも添えてあるのが最高である。
 ああ思い浮かべるだけで唾液が分泌されてくる。ここ数年食べていないから、無性に食べたくなる。

 東京に住んでいた頃、隣の駅近くに行きつけのインドカレー屋があった。
 そこへ友人や恋人をよく連れて行き、夜遅くに一人で食べに行くことも

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