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フランス映画・絵画とカルチャー

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『フォリー・ベルジェールのバー』byモネ:都会の喧騒のさなかの憂鬱

『フォリー・ベルジェールのバー』byモネ:都会の喧騒のさなかの憂鬱

パリのフォンダシオン・ルイヴィトンで、コートールド(Courtauld)展を見た。コートールドは、画家ではなく、20世紀前半に活躍した、イギリスの実業家でコレクター。

繊維会社で、シルクの代替になるヴィスコースという繊維で儲かって、成功した。実業で儲かった金で文化に寄与するという、博愛主義的精神の人物として、知られる。エライ。

コートールドは、まだ印象派の評判があまり良くなかった時代に、特にセ

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ボナール:しあわせな絵を描くのは、しあわせであるからとは限らない

ボナール:しあわせな絵を描くのは、しあわせであるからとは限らない

テート・モダン(Tate Modern)でボナール展をやっている、というポスターを、最近地下鉄の駅で見るようになった。ボナール好きなわたしは、これは見に行かなければとおもっていたのだが、たまたまロンドンに友人が来たので、一緒に見にいくことにした。

ボナールはポスト印象派と現代絵画の中間に位置する画家で、ナビ派に分類される。かなりいろいろな絵をみて、趣味の範囲が広がったのち、わたしが結局もどったの

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サザビーズ(Sotherby's):どこの美術館でも見れない名画を、タダで見る方法

サザビーズ(Sotherby's):どこの美術館でも見れない名画を、タダで見る方法

むかし、イギリスに六年半住んでいたのだが、その間に、じっさいに人生が変わるような経験をした、とおもう。そのすくなくともひとつは、芸術一般に対する経験値と感性が、ぐぐっと上がったことだった。

なにしろイギリスからヨーロッパ諸国へは、日本でいえば国内旅行の感覚でいける。ロンドンからパリへ行くのにかかる時間は、東京から新大阪まで行くのにかかる時間と、まったく同じである。

だからパリへは、しょっちゅう

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創造とは、自分の世界観に新しい地平線をうちたてること

創造とは、自分の世界観に新しい地平線をうちたてること

「フェリーニがピカソに憧れたとき」という展覧会を観てきたので、岡本太郎の『青春ピカソ』という本を読んでいたら、岡本太郎の言葉(そしてかれが引用するピカソの言葉)の方に、ぶっ飛んでしまった。

ピカソは自分の過去の芸術をつねに脱皮しつづけ、新しい芸術に進化させつづけた、偉大なるアヴァンギャルドである。ここには名人の持ち味である自足感はなく、不協和に躍動する圧倒的な凄みがあふれている。これがピカソ芸術

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永遠の門 ゴッホの見た未来:感覚に直接訴えかける世界を描いた画家の身体に、入り込むという経験

永遠の門 ゴッホの見た未来:感覚に直接訴えかける世界を描いた画家の身体に、入り込むという経験

Eternity's Gate (2018).

1853年にオランダに生まれた、ファン・ゴッホ(以下ゴッホ)。若いころは、画商や書店勤め、教師と何をやってもうまくいかず、父と同じ聖職者を志した。しかしそれにも挫折し、自分には絵を描くことしかないと悟る。

1886年、パリにやってきてゴーギャンに会い、南へ行け、と勧められる。自分でも、灰色の色彩のパリではなく、新しい光が欲しい、と思い、南仏のアル

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セザンヌと過ごした時間:セザンヌの絵に霊感を与えた、光と色彩の中につつまれる僥倖

セザンヌと過ごした時間:セザンヌの絵に霊感を与えた、光と色彩の中につつまれる僥倖

フランス近代絵画の父ポール・セザンヌと、自然主義を定義した小説家エミール・ゾラ。セザンヌは裕福な銀行家の息子。父親が亡くなったゾラは、貧乏だった。いじめられていたゾラをセザンヌは理解し、かれを助けた。二人は、かれらの不安や反抗心や夢や希望を共有し、熱い友情をはぐくんだ。

先鋭な才能を持つ個性のぶつかりあい。その友情の軌跡に、尋常ならぬ浮き沈みがあったのは、いうまでもない。幸福な結婚をし、金のため

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見えない太陽:栗毛のカトリーヌ・ドヌーヴと、テロリストになった孫

見えない太陽:栗毛のカトリーヌ・ドヌーヴと、テロリストになった孫

アンドレ・テシネ監督の『見えない太陽』(L'Adieu à la nuit, 英語 Fairwell to the Night, 2019)のプレビュー(前夜上映 avant première)に、監督や主演のカトリーヌ・ドヌーヴ他のキャストが来るというので、観に行った。プレビューで隣に座っていたおじさんは、監督が喋っているというのに、ドヌーヴをアップにして、動画を撮っている。

ドヌーヴといえば

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ルネ・クレールの『空想の旅』は、ナイトミュージアムのもとネタ

ルネ・クレールの『空想の旅』は、ナイトミュージアムのもとネタ

『ナイトミュージアム』(Night at the Museum, 2006)という映画は、博物館の展示物である歴史上の人物や動物などが、夜中になるとあたかも生命を吹き返して、博物館が異次元世界みたいな空間になる話である。

原作はミラン・トレンクというひとの書いた絵本である、というのだが、ルネ・クレールの『空想の旅』(Le Voyage imaginaire, 1925)には、まったく同じモチーフ

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ラブ・セカンド・サイト:パラレルワールドに入りこんでしまったら、そこには何が見つかるだろう?

ラブ・セカンド・サイト:パラレルワールドに入りこんでしまったら、そこには何が見つかるだろう?

フランスで劇場公開されたばかりの、ユーゴ・ゲラン監督の『ラブ・セカンド・サイト』Mon inconnueを観た。タイトルのつじつまが合っていないのが、もちろんこの映画のひねりである。ぼくのものなのに、見知らぬひととは?

空想好きの高校生だった、主人公のラファエル。卒業し、結婚して、今ではファンタジー作家として、大成功している。妻は、同じ高校で知り合った、ピアニスト志望のオリヴィア。彼女のほうは、

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映画そのものにも、ライフ・ストーリーがある

映画そのものにも、ライフ・ストーリーがある

IMECというアーカイブで、せっせと草稿を読んでいる。わたしが研究しているエリック・ロメールという映画作家は、なんでも残しておくひとで、かれの遺志を受けたおそらく奥さまが、それをごっそりここのアーカイブに寄贈したのである。

その数はじつに膨大で、厚さ10cmくらいのファイルに、くわしい目録がごっそり綴じられている。つまり、「目次」だけで、何百ページもある、ということ。

火曜から金曜までしか空い

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危険なプロット:文学という血縁が、孤独な他人を父子にする

危険なプロット:文学という血縁が、孤独な他人を父子にする

Dans la maison(原題), In the House(英語題名)(2012).

フランスのフローベール高校(リセ)に赴任してきた、国語(フランス語)教師のジャーマン(ファブリス・ルッキーニ)は、生徒が書いた週末に何をしたかという作文を採点しながら、その内容のなさに辟易していた。ピザとスマホのことばかりなのだ。

かれらが少しでも本を読むように仕向け、かれらの文学的教養を向上させ、それ

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アメリ:パリの小粋なエピソードがいっぱいに詰まった、キュートな思い出の小箱

アメリ:パリの小粋なエピソードがいっぱいに詰まった、キュートな思い出の小箱

モンマルトルに行ったので、学生時代に観たきりの、モンマルトルを舞台にした映画『アメリ』を、また観ることにした。アメリが働いているカフェ・デ・ドゥ・ムーランCafé des 2 Moulinsは、混んでいたので入らなかったが、いまも盛況である。

アメリはクレーム・ブリュレのカラメルをパーンと割るのが好きなのだが、日本でもクレーム・ブリュレがはやったのは、この映画の影響とか。豆の中にザクッと手を突っ

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フランス人は各人各様にご意見番。コピー機の前の弁論大会

フランス人は各人各様にご意見番。コピー機の前の弁論大会

パリの国立図書館でのこと。ここの視聴覚資料(映画)は、原則すべてデジタル化されて保存されている。ネットのカタログで注文すると、目の前のパソコンに映画がダウンロードされてくる、という仕組み。なかなかハイテクである。

ここにある雑誌を、コピーしようとしたときのこと。最初にコピーセンターへ行くと、係の女のひとが、USBメモリがあれば、スキャンイメージを持ってかえれる、という。USBメモリが買える場所ま

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ブレグジット抗議でユーロスターが大混乱:実録!

ブレグジット抗議でユーロスターが大混乱:実録!

夜8時半のユーロスターで、パリからロンドンに戻る予定にしていた。フォンダシオン・ルイヴィトンでコートールド展を見たあと、7時くらいに、北駅に着いた。

パスポートチェック、荷物チェックがあるため、30分から45分くらい前に来い、とチケットには書いてある。わたしははやめにチェックインして、中で1時間くらい、メールを書いたり何かするのが、いつものことだった。

今日もはやく入って、中で今日買ったコート

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