【現代詩】『マーチング・バンド』
『マーチング・バンド』赤黄緑紫
害虫の様に省みず
一面を這い回る
5メートルを8歩と信じて
訳も分からず行進をした
それを見た誰かが
異様な光景だよ、と呟き
丘の上では
カラーガードが一斉に、救済の旗を振る
ご覧、理解できない音楽の
アルコール漬けになった己の姿をー。
夕日をバックに吊るされ高鳴る心臓を
奪還する責任がまだ、俺達にはあるー!
ほら、次のフォーメーションが
どれほどに憎いのか、言ってごらん?
操り回される躯(からだ)を
生きた頭脳に=ぎゅう=と手繰り寄せ
その感触を誰にも言わずに生きる理不尽さを
君は痛い程に、知っているだろうー
唯一呼吸のできる裏拍に
魔物が住んでいようともー俺達はー
次の自由を奏でなければならない
あかきみどりむらさき
2024ねん
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