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小説・詩

98
ショートストーリーがメインの妄想小説&詩のコーナー。 5分以内で読めちゃいます。
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記事一覧

爆発

爆発

なんだか
爆発したい
そう思った

こみあげるものが
あるのだけれど
出し方がわからず

どろどろ
渦巻いている

五、四、三、ニ、一

レモネードスタンド

レモネードスタンド

ぼくは、レモネードスタンドを始めた。キッカケはYouTubeを見て楽しそう、というありきたりな理由だった。特にお金が欲しいとかそんな目的はない。ただやってみたかったのだ。

10歳のぼくジェームスがテントで始めた小さなお店のメニューは数量限定10本のレモネードのみ。最初は、両親に親戚、近隣の人たちが来てくれて完売することができた。皆んなからの評判は上々だった。これも、レシピ動画を見て作ったので、簡

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宙をみつめて

宙をみつめて

ほつれた糸
小指を絡めては
溜息混じり

愛おしい
こんな
しおらしく
秘めた蜜の味

宙吊りの蜘蛛が
見つめていた

からっぽ

からっぽ

急にからっぽに
なってしまった

こんな寒い夜に
こんな月が綺麗な夜に

ほしいものがない
それがこわい
とてもこわい

照子の一生

照子の一生

て〜るこの一生は
うたかたの〜
花〜のごとく
咲きわた〜る

私の祖母花江が歌う子守唄は、広く一般的に知られている子守唄とは違っていた。私を寝かしつけるときは決まって、祖母のオリジナルの子守唄を聴かされていた。

普通なら、歌の意味やなぜ、てる子なのかとか疑問に思うかもしれないが、不思議とそういうことを尋ねることはなかった。例え、疑問に思ったとしても、いつもきつく私たちを叱っていた祖母からささやく

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はざまの詩たち【10】

はざまの詩たち【10】

○石つぶて

天井のシミを見つめていたら

怠惰だと飛んできた石つぶて

傷は癒えることなく
日が暮れる

ようやっと起き上がり
外を歩く
いつまでも
すれ違う人はいなかった

○肯定と否定

肯定と否定の繰り返し

挫折を枕にして横になる
乾いた涙が頬を伝う

それはだれにも
見えはしない

○欲とは

ほしいものなんてない
なにを得たわけでもない
いや、甘いチョコレートケーキは食べたい

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はざまの詩たち【ひさしぶり】

はざまの詩たち【ひさしぶり】

○赤

血の色
サイレンの色
情熱の色

生きている証
危険を知らせる
恋焦がれる気持ち

赤が
伝えるものは
生きること
そのものだ

○心変わりをつくったひと

心変わり

昨日と言ってること
やってることがら
ちがう

心変わりって
いうけど

その言葉を作ったひとは
なにが
変わったんだろうね

○ケツイヒョウメイ

機械を
コントロール
できてるうちはいい

気づかずコントロ

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メダカ

メダカ

畦道で
採ってきたメダカ 
右往左往
縦横無尽
桶の宇宙を
踊っていた

そう昨日まで

起きてみれば
目は開いたまま
魂はどこかに
流されてしまった

小さなお墓を
立ててみた

遊び疲れて 
帰ってきた
ときのために

降り注ぐ

降り注ぐ

それぞれの
時間が流れる

雷が鳴って雨が
稲光が降り注ぎ

傘におさまる昼も
濡れる夜も悪くない

水溜まり
映る街の灯り

不思議が
鳴っている
今日はなんだか
音を聴いてたい

繋がれて

繋がれて

手を合わせる
おばあさんに
刻まれたシワ

微笑みは
優しい
色をしていた

いのちは
ずっと
ちゃんと
繋がれてきた

先約

先約

仕事を終え
帰り支度を済ませ
外に出る

駐車場
ボンネットの上には
先約がいた

犯人は
悪びれもせず
尻尾を優雅にふり
麗しく夜の闇へ
消えていった

Rain

Rain

天気予報は晴れのはずだった。

約束の19時まであと3時間。
仕事は順調に進んでいるから
定時には終われそうだ。

1時間の余裕がある。
久しぶりに会えるから
彼女の好きなケーキを
買って行こう。
いちごのいっぱい乗った
タルト。

3ヶ月ぶりの再会。
旅行代理店の仕事は
昼夜問わず忙しく、
なかなかまともな
休みが取れずにいた。

久しぶりに
ゆっくり食事ができる。
彼女の嬉しそうな
顔がモニタ

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弾ける

弾ける

つまずいて
転がっていく
炭酸の缶

開けたら弾ける
それでもいい

いまは
兎に角
弾けたいんだ

変わるもの変わらないもの

変わるもの変わらないもの

通過する電車
踏切で立ち止まり
見届ける

先頭車輌にいる
1人の青年の顔が
はっきりと見えた

大きくなっても
好きなものが
変わっていなくて
なんだか
嬉しかった