ダンスの創作過程


(動画を拝借します。)


この曲も自分の未発表作品の一つ。



こういう曲で「ダンスを魅せる」のは

とてつもなく腕がいる。

生半可では決して踊れない曲。

素人はよく

「ゆっくりなテンポのほうが踊りやすい」と言う。

たしかに「踊りはしやすい」

しかし「ダンスで魅せる」レベルになると

あらゆる面でのチカラが必要になる。




ひとつの音楽には様々な楽器の音色が入っている。

ビッグバンドJAZZのように沢山の楽器の音色が聴こえるものもあれば

打ち込み音楽のように電子音と複数の楽器が融合しているものもあれば

ロックンロールのように4楽器の音色がハードに聴こえるものもあれば

トリオ・デュオのように3楽器2楽器のものもあり

ソロピアノのように1楽器だけのものもある。

ある程度キャリアのあるダンサーならわかると思うけど

基本的に「音色の数が少ないほど、難しい」

理由は「誤魔化しが一切きかなくなるから」

だからソロピアノ・ボーカルだけの曲なんか死ぬほど難しい。

それ以外の音色が一切ないから、表現を絶対にごまかせない。

逆に、音色の数が多いということは”ある意味”簡単なことで

例えば1つか2つぐらいの音色だけをダンスで表現しても

他にも音色が複数あるので勝手に味付けがされ

「全体的にそれっぽくはなりやすい」

どういう音色を選択しても「それっぽく」はなる。

それもあって

そんなに腕のないダンサーに「ダンスで魅せる」ことを要求する時に

複数の音色が入った音楽をセレクトすることがよくある。

先生をやっている人間が生徒に対してよくやる手法である。

「ド派手な曲」のセレクト。

この時点で「音楽とダンスは対等ではない」のだけれども

発表会やコンペだとかに出品する場合

「一応」ダンスを魅せるカタチを作らないといけない。

そのため、「曲のド派手さ」で「客の気分を高揚させる」という効果を狙い

ある種の逃げの選択をする。

まともに「ダンスで魅せる」ことが出来ないからである。

ド派手さに加え、キャッチ―な流行りの曲なんか使うと

それだけで客が喜ぶので

「なんとなくダンスもいいもののように見えてしまう」

実際これをやると盛り上がるので

ほとんどの人間はこれで良しとするんだけど

本当にダンスがわかっているプロ

この人間の目だけは絶対にごまかせない。

だから、いくら会場が盛り上がったとしても

こういうプロだけはまったく別の反応をすることがある。

「ダンスを観る」というのは、そういうことである。







この音色の捉え方とダンス作品ひとつあたりの人数も考え方は同じで

人数が多ければ多いほど簡単で

人数が少ないほど難しくなる。

人数が多いほど誤魔化しがききやすく、

少なくなればなるほど誤魔化しがきかなくなる。

なので人数が少ない集団というのは

「一人のダンサーのダンス力」が物凄く高いことが普通である。

そうでなければ「ダンスで魅せる」ことは不可能である。






「 どの音色を選択し  何人で   どう表現するか 」

これがダンスの創作の原点の考え方である。

音色の選択にあたっては大まかに2パターン

①リズム・ビート  をとる

②メロディーライン  をとる

細かいことを言うともっともっとあるけれどだいたいこの2つ。

自分の場合は、上半身と下半身をバラバラに動かすので

①と②を同時に行うこともよくあった。

この選択した音色を

「何人」で「どう表現するのか」

人数が多いときは

「全員が同じ音色を選択して表現する」

「数人ごとに別々の音色を表現する」

なんてことも出来るようになるし

ダンスを魅せるカタチとして、フォーメーションを組むことも出来る。

基本的にフォーメーションについては

自分のようなたった1人のソリストだと、

点が1つしかとれないので直線表現の前後左右の4パターンのみ

2人の時も点が2つしか取れないので基本的に直線表現しか出来ない。

前後左右の4方向に加え、2人の立ち位置が2通りあるので

4×2=8パターン

3人になると、点が3つ取れるようになるので三角形も組めるようになる。

直線表現の前後左右が4方向

直線においての3人の立ち位置は6通りあり、

その立ち位置のバランスで三角形を作ることができる。

したがって、4×6=24パターン

というカンジで、人数が増えれば増えるほど

フォーメーションのパターンが増えることとなる。

上に書いたものは本当に基本的なフォーメーションの考え方なので

これに条件を加えるほどさらにパターンは増えていくこととなる。

また、「直線表現」だけでなく「円表現」についても

円の進行方向が時計回りか反時計回りかの2方向に

立ち位置が何通りあるかをかければパターンが出てくることになる。







上のようにあれやこれやと手法をとった上で

最終的に「何を表現するのか」をハッキリさせる。

これがダンス作品創作の仕上げになる。

結局「何を表現するのか」

これをハッキリさせないと「お金を取れる」ダンスには絶対にならない。

自分の場合、創作過程として

曲を聴いた瞬間にほぼオンタイムで即興で振り付けて

「最後に何を表現するか」をハッキリさせるパターンと

逆に、あらかじめ最初に「これを表現する」とハッキリさせておいて

その裏付けをするべく詳細を詰めていくパターンと

主に2つあった。

数学で言う演繹と帰納のようなもの。

いずれにせよ、ダンスで「何を表現するのか」をハッキリさせる。

「何」を表現するか

「具体的」なのか、「抽象的」なのか

「直線的」なのか、「曲線的」なのか

「硬い」のか、「柔らかい」のか

「強い」のか、「弱い」のか

創作過程である程度仕上がった細部について、よりハッキリさせる。

そうすることで「何」が伝わりやすくなる。

これも、ある程度キャリアのあるダンサーしか分からないと思うけど

表現することにおいて

上に書いた前者

「具体的」「直線的」「硬い」「強い」という表現のほうが簡単で

後者の

「抽象的」「曲線的」「柔らかい」「弱い」という表現のほうが

圧倒的に難しい。

「抽象的」というのは「曲全体のテイスト」の表現のことで

それを一人のダンサーが表現するというのは

非常にチカラがいること

洗練された技術と幾重にも積み重ねた経験を要する。

また、「弱い」表現というのはピアニッシモを表現するという意味で

これも同様に、技術と経験が必要となる。

その、ただでさえ難しいものの細部を詰めるというのは

至難の業となる。

また、曲がスローであればあるほど、これもまた誤魔化しがきかない。

例えば、「歩くだけ」という動作をするときに

歩くスピードが速いほど躍動感があるように見え

スピードが遅いほど動作としてはつまらないものに見える。

ダンスもこれと同じで

スローなテンポでダンスをしたときに

「きちんとダンスで魅せる」ことが出来ないと

一瞬でつまらないものとなる。

だから、スローテンポで「ダンスを魅せる」のもまた

至難の業となる。




だから、上の曲を「ダンスで魅せる」には

相当なダンスの腕を要することとなる。

ダンスはとても、難しいのである。






拙い文章お読みいただきありがとうございました。





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