黒鳥社|blkswn publishers Inc.

黒鳥社はコンテンツ・レーベルです。いまの当たり前を疑い、あらゆる物事について、「別のあ…

黒鳥社|blkswn publishers Inc.

黒鳥社はコンテンツ・レーベルです。いまの当たり前を疑い、あらゆる物事について、「別のありようを再想像(Re-Imagine)する」ことをミッションに、雑誌、ウェブ、映像、イベント、旅などメディアを問わず、コンテンツをプロダクション(制作)しています。

マガジン

  • 第七の男

    黒鳥社初の翻訳書、ジョン・バージャー著『第七の男』(2024年5月15日刊行)。本マガジンでは、書籍に掲載された「序文」「訳者あとがき」に加えてえスペシャルコンテンツを公開。

  • NGG_Research

    黒鳥社noteの新シリーズ「NGG Research」は、ムック『NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』で共有した前提の上に現在進行形で積み上げられている世界の行政府、そして関連機関の動きを紹介します

  • 働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話

    コクヨ野外学習センターの人気ポッドキャスト〈働くことの人類学〉の単行本『働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話』から、【第1部】働くことの人類学の全6話を特別有料公開。 もっと自由で人間らしい「働く」を、貝殻の貨幣を使う人びと、狩猟採集民、牧畜民、アフリカの零細商人、アジアの流浪の民、そしてロボット(!)に学ぶ。文化人類学者による目からウロコの対話集。仕事に悩めるすべてのワーカー必読!絶賛発売中です!

  • 五〇〇書店

    蔦屋書店と若林恵率いるコンテンツレーベル黒鳥社が贈るポップアップブックストア「五〇〇書店」. 毎回変わる「店主」(個人、または集団)が、新刊書を中心に、再読したい本も含めて「これから読む本」を500冊選出し(古本はNGとします)、それを期間限定で販売するプロジェクトです (選書リストは無料公開はせず、オンラインで有料販売いたします)。

  • 月刊ブラックスワン・ジュークボックス

    日々の新譜を紹介するソーシャルコンテンツ〈blkswn jukebox: daily〉でとりあげた作品を総まとめ!と、そのなかから注目作をランキング!さらに、紹介しそびれたシングル曲などをもセレクトした「その月に気になった曲」プレイリストに、〈blkswn jukebox: daily〉編集委員ふたりによる総括談話ポッドキャスト〈blkswn jukebox: monthly playback〉をパッケージした、音楽総まとめ。

記事一覧

読み終わることのない本|斎藤真理子 【『第七の男』を読んで #3】

20世紀英国文学における孤高の“ストーリーテラー”ジョン・バージャーは、日本ではあまり知られていないものの、韓国では著作だけでなくその生き方まで、とりわけ広く愛さ…

レベッカ・ソルニット、アリ・スミス、キム・ソヨン、LE SSERAFIMが敬愛する英国人作家は、いかに移民問題を描いたか|若林恵 【…

移民問題は、アメリカをはじめ世界各国で今や最大とも言える政治課題となっている。移民労働者の増加は、雇用はもとより、国内の住宅、医療、教育、治安をめぐる社会制度を…

これは「私たち」の物語である|松村圭一郎 【『第七の男』を読んで #2】

英国孤高のストーリーテラー、ジョン・バージャーと写真家ジャン・モアによる伝説のルポルタージュ『第七の男』。移民労働者の実存に迫る半世紀前の名著が、現代を生きる私…

アンゲロプロス『旅芸人の記録』やカサヴェテス『こわれゆく女』に匹敵する|藤井光 【『第七の男』を読んで #1】

英国を代表するストーリーテラー、ジョン・バージャーと写真家ジャン・モアによる1975年の知られざるルポルタージュ『第七の男』。欧州の移民問題の核心に迫った半世紀前の…

みなが愛すべきストーリーテラー|キム・ソヨン特別インタビュー 【『第七の男』刊行に寄せて】

英国文学界における孤高のストーリーテラー、ジョン・バージャー(1926-2017)は、日本での知名度は低いが、韓国では広く読まれ、折に触れて参照するべき重要な現代作家と…

本はときおり、歳月とともに若返ることがある |ジョン・バージャー 【『第七の男』より】

ジョン・バージャー(1926-2017)──小説家であり、美術批評家、ジャーナリスト、詩人でもあった20世紀英国文学における孤高の"ストーリーテラー"が、欧州の移民労働者に…

なぜいつの時代も移民は「調整弁」として扱われるのか |金聖源 【『第七の男』より】

移民労働者の実存に迫り、新自由主義の悪夢を暴いた、英国孤高のストーリーテラーによる美しき“告発の書“『第七の男』。およそ50年前に書かれたノンフィクション作品であ…

黒鳥社より2024年年始のご挨拶 【blkswn CEO土屋繼】

Photo by Sven Creutzmann/Mambo Photography/Getty Images このたび、能登半島地震で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。少しでも早い復興を祈念申し上げます…

きっとあるはずのコミュニティ|『Like The Wind』日本版創刊に寄せて 【若林恵】

Like The Wind 日本版#01  特集「New Running 新しいランニング」 パンデミックを経た世界でいま走ることはどういうことなのか。トレイルランニングやロード、トラック…

「K-POP」や「マインクラフト」から民主主義を考えてみる|若林恵『実験の民主主義』あとがき

新しい時代には、新しい政治学が必要である──。政治思想史の大家である宇野重規と黒鳥社の若林恵による縦横無尽の対話から、民主主義の未来を見いだす『実験の民主主義:…

犯罪王トランプの肖像:マグショットをめぐる小史 【若林恵|深夜特報#02】

2023年8月24日。組織的な選挙妨害を行った容疑で、トランプ前大統領がジョージア州で逮捕された。トランプはアトランタ市内にあるフルトン郡拘置所に赴き、その場で「逮捕…

ラハイナの水:マウイの山火事と災害資本主義をめぐる点描 【若林恵|深夜特報#01】

マウイ島で起きた山火事についての情報は錯綜している。錯綜しているのは、情報が少なく断片的だからだ。多種多様なニュースをソーシャルメディアで眺めながら、点と点をつ…

黒鳥社より年始のご挨拶|blkswn CEO土屋繼

今年も早速年始のご挨拶を。 (一昨年と昨年はこちら) 人間、歳を重ねれば多少は落ち着いてくるものだと勝手に思っていたが、とんでもなかった。公私共に予想だにしない…

お詫びと書籍絶版のご報告(2022年10月18日)

この度、弊社刊行書籍『それを感じているのは私だけじゃない こんにちは未来 ジェンダー編』(佐久間裕美子+若林恵・著)の第1刷(2020年8月発行)におきまして、一部の…

B Corpと「承継」|『B Corpハンドブック』編集者・矢代真也が本をつくりながら考えたこと

「B Corpムーブメント」に関する日本初の本格的な入門書『B Corpハンドブック:よいビジネスの計測・実践・改善』で監訳者に名を連ね、編集を担当した矢代真也は、フリーラ…

メッセージ・イン・ア・ボトル|『B Corpハンドブック』日本語版あとがき 【文=若林恵】

よき「市民」であることと、わたしたちの「仕事」や「ビジネス」は、暮らしのなかでいったいどのように結びつきあっているのか? 「賃労働」と「市民であること」は、本当…

読み終わることのない本|斎藤真理子 【『第七の男』を読んで #3】

読み終わることのない本|斎藤真理子 【『第七の男』を読んで #3】

20世紀英国文学における孤高の“ストーリーテラー”ジョン・バージャーは、日本ではあまり知られていないものの、韓国では著作だけでなくその生き方まで、とりわけ広く愛されている。新自由主義の洗礼をいち早く受けた国において、バージャー作品はどのように受容されてきたのか。韓国で最も人気のある作品のひとつ『第七の男』(黒鳥社|2024年5月刊行)を読む体験とその重要性について、韓国文学ブームを牽引する翻訳家・

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レベッカ・ソルニット、アリ・スミス、キム・ソヨン、LE SSERAFIMが敬愛する英国人作家は、いかに移民問題を描いたか|若林恵 【『第七の男』刊行に寄せて】

レベッカ・ソルニット、アリ・スミス、キム・ソヨン、LE SSERAFIMが敬愛する英国人作家は、いかに移民問題を描いたか|若林恵 【『第七の男』刊行に寄せて】

移民問題は、アメリカをはじめ世界各国で今や最大とも言える政治課題となっている。移民労働者の増加は、雇用はもとより、国内の住宅、医療、教育、治安をめぐる社会制度を圧迫する。けれども移民労働なくして、わたしたちの経済はもはや回らない。議論はずっと平行線をたどる。そして、それはいまに始まった話ではない。移民問題の不正義を問うだけでなく、それを指摘し告発することの矛盾や困難と向き合った本が、いまからちょう

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これは「私たち」の物語である|松村圭一郎 【『第七の男』を読んで #2】

これは「私たち」の物語である|松村圭一郎 【『第七の男』を読んで #2】

英国孤高のストーリーテラー、ジョン・バージャーと写真家ジャン・モアによる伝説のルポルタージュ『第七の男』。移民労働者の実存に迫る半世紀前の名著が、現代を生きる私たちに提示するものとは──。文化人類学者の松村圭一郎が綴る。

Cover Photo: 移民労働者のための受付センター。ジュネーブ。『第七の男』より
© JEAN MOHR, 1975/JEAN MOHR HEIRS, 2024

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アンゲロプロス『旅芸人の記録』やカサヴェテス『こわれゆく女』に匹敵する|藤井光 【『第七の男』を読んで #1】

アンゲロプロス『旅芸人の記録』やカサヴェテス『こわれゆく女』に匹敵する|藤井光 【『第七の男』を読んで #1】

英国を代表するストーリーテラー、ジョン・バージャーと写真家ジャン・モアによる1975年の知られざるルポルタージュ『第七の男』。欧州の移民問題の核心に迫った半世紀前の名著が、2024年の日本で初めて翻訳されることの意義、そしてそれを読む体験の鮮烈さを、現代美術家・映像作家の藤井光が綴る。

Cover Photo: スニオン岬の観光客。ギリシャ。『第七の男』より
© JEAN MOHR, 1975/

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みなが愛すべきストーリーテラー|キム・ソヨン特別インタビュー 【『第七の男』刊行に寄せて】

みなが愛すべきストーリーテラー|キム・ソヨン特別インタビュー 【『第七の男』刊行に寄せて】

英国文学界における孤高のストーリーテラー、ジョン・バージャー(1926-2017)は、日本での知名度は低いが、韓国では広く読まれ、折に触れて参照するべき重要な現代作家と見なされているという。バージャー作品をこよなく愛し、「ひとりの人間をひとりの人間として見つめさせてくれる」と語り、日本で初翻訳されたバージャーの代表作『第七の男』に帯文を寄せた韓国の詩人キム・ソヨンに、韓国におけるジョン・バージャー

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本はときおり、歳月とともに若返ることがある |ジョン・バージャー 【『第七の男』より】

本はときおり、歳月とともに若返ることがある |ジョン・バージャー 【『第七の男』より】

ジョン・バージャー(1926-2017)──小説家であり、美術批評家、ジャーナリスト、詩人でもあった20世紀英国文学における孤高の"ストーリーテラー"が、欧州の移民労働者について語った鮮烈なドキュメンタリー『第七の男』。イスタンブールのスラムで、ギリシアの港で、ダマスカスの路上で密かに読み継がれ、グローバルサウスの労働者を奮い立たせてきた名著を、黒鳥社初の翻訳書として刊行します。発売を記念して、バ

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なぜいつの時代も移民は「調整弁」として扱われるのか |金聖源 【『第七の男』より】

なぜいつの時代も移民は「調整弁」として扱われるのか |金聖源 【『第七の男』より】

移民労働者の実存に迫り、新自由主義の悪夢を暴いた、英国孤高のストーリーテラーによる美しき“告発の書“『第七の男』。およそ50年前に書かれたノンフィクション作品でありながら、グローバルサウスを中心に多くの読者に読み継がれてきた知られざる傑作。刊行に先駆け、翻訳を務めた金聖源さんが本書に寄せたあとがきを特別公開。

Photos by Hiroyuki Takenouchi

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『第七の男

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黒鳥社より2024年年始のご挨拶 【blkswn CEO土屋繼】

黒鳥社より2024年年始のご挨拶 【blkswn CEO土屋繼】

Photo by Sven Creutzmann/Mambo Photography/Getty Images

このたび、能登半島地震で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。少しでも早い復興を祈念申し上げます。

元日から大きな事件が続き、挨拶文を公開するかどうか悩んだ。

しかしながら、意外とこの挨拶文を毎年読んでいる方々がいらっしゃるようで、「読みましたよ」みたいな感じで初見の方々に言

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きっとあるはずのコミュニティ|『Like The Wind』日本版創刊に寄せて 【若林恵】

きっとあるはずのコミュニティ|『Like The Wind』日本版創刊に寄せて 【若林恵】


Like The Wind 日本版#01 
特集「New Running 新しいランニング」
パンデミックを経た世界でいま走ることはどういうことなのか。トレイルランニングやロード、トラックを問わず走る人/ランナーの声を、インタビューを通して。走る喜びやメンタルヘルス、歴史、人種、都市と格差、チャリティ、コミュニティをいったテーマを、レポートや論説記事を通して表現した、英国発の次世代ランニングカ

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「K-POP」や「マインクラフト」から民主主義を考えてみる|若林恵『実験の民主主義』あとがき

「K-POP」や「マインクラフト」から民主主義を考えてみる|若林恵『実験の民主主義』あとがき

新しい時代には、新しい政治学が必要である──。政治思想史の大家である宇野重規と黒鳥社の若林恵による縦横無尽の対話から、民主主義の未来を見いだす『実験の民主主義:トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ』。刊行に先駆け、若林が本書に寄せたあとがき「聞き手をつとめて」を特別公開。

Cover Photo: 「マインクラフト」の3D世界
Iurii Vlasenko / Alamy Stock Ph

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犯罪王トランプの肖像:マグショットをめぐる小史 【若林恵|深夜特報#02】

犯罪王トランプの肖像:マグショットをめぐる小史 【若林恵|深夜特報#02】

2023年8月24日。組織的な選挙妨害を行った容疑で、トランプ前大統領がジョージア州で逮捕された。トランプはアトランタ市内にあるフルトン郡拘置所に赴き、その場で「逮捕され、指紋を採取され、身長・体重などを報告し、顔写真を撮影された」とBBCは報じている。

トランプ前大統領が逮捕されるのは今回で4度目、罪状は90を上回るとされる。すでにして珍しくなくなりつつある逮捕劇が大きく世間を賑わせたのは、逮

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ラハイナの水:マウイの山火事と災害資本主義をめぐる点描 【若林恵|深夜特報#01】

ラハイナの水:マウイの山火事と災害資本主義をめぐる点描 【若林恵|深夜特報#01】

マウイ島で起きた山火事についての情報は錯綜している。錯綜しているのは、情報が少なく断片的だからだ。多種多様なニュースをソーシャルメディアで眺めながら、点と点をつないで線にしてみる。そうやってわたしたちは、この惨事の全貌を透かし見ようとする。錯綜しているのは、わたしたちが情報をつなぎあわせてつくりだした線だ。

山火事の原因は不明だ。行方不明者は1000人を超えるとされるが、死者の数は今日の段階では

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黒鳥社より年始のご挨拶|blkswn CEO土屋繼

黒鳥社より年始のご挨拶|blkswn CEO土屋繼

今年も早速年始のご挨拶を。
(一昨年と昨年はこちら)

人間、歳を重ねれば多少は落ち着いてくるものだと勝手に思っていたが、とんでもなかった。公私共に予想だにしない出来事の連続で、全くもって気が休まらない2022年だった気がする。ただ、理由は分からないが、ちょうど1年前に感じていた、社会や共同体に対するある種の徒労感というか諦め感というか、そのようなものはこの1年で吹き飛んでしまったようだ。

コロ

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お詫びと書籍絶版のご報告(2022年10月18日)

この度、弊社刊行書籍『それを感じているのは私だけじゃない こんにちは未来 ジェンダー編』(佐久間裕美子+若林恵・著)の第1刷(2020年8月発行)におきまして、一部の読者を傷つける不適切な内容があるとのご指摘を読者の方からいただきました。

該当箇所は、以下の部分となります。

いただいたご指摘は、上記箇所において3つありました。

1.
文脈的にはトランスジェンダー女性によるトイレの利用に関する

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B Corpと「承継」|『B Corpハンドブック』編集者・矢代真也が本をつくりながら考えたこと

B Corpと「承継」|『B Corpハンドブック』編集者・矢代真也が本をつくりながら考えたこと

「B Corpムーブメント」に関する日本初の本格的な入門書『B Corpハンドブック:よいビジネスの計測・実践・改善』で監訳者に名を連ね、編集を担当した矢代真也は、フリーランス編集者であると同時に、実家の跡取りとして京都の老舗呉服問屋「矢代仁」の経営にも携わっている。「家業をB Corp企業に」という密かな想いを胸に『B Corpハンドブック』の制作にあたった編集者/事業承継者が、「B Corp」

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メッセージ・イン・ア・ボトル|『B Corpハンドブック』日本語版あとがき 【文=若林恵】

メッセージ・イン・ア・ボトル|『B Corpハンドブック』日本語版あとがき 【文=若林恵】

よき「市民」であることと、わたしたちの「仕事」や「ビジネス」は、暮らしのなかでいったいどのように結びつきあっているのか? 「賃労働」と「市民であること」は、本当に共存しうるのか──。「B Corpムーブメント」に関する日本初の本格的な入門書『B Corpハンドブック:よいビジネスの計測・実践・改善』の監訳者を務めた黒鳥社の若林恵が本書に寄せた「日本語版あとがき」を特別公開。

text & pho

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