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帝国神霊学院 第一章 道頓堀激闘編 奇形の復讐
月が雲に隠れている。
月下には墨汁を落としたようなどす黒い闇、その闇がまるで拡散していくウィルスのように満遍なく広がっていく。
黒、黒、黒、漆黒の黒。
見渡すかぎり黒い色に染まっていく。
その刹那
ーーーー微かに風がそよいだ。
邪馬台国徳島説を吟味する
一
我々日本人の心を捉えて離さない古代の王国・邪馬台国、そしてその国を治めていたのが女王・卑弥呼である。卑弥呼は鬼道を使うシャーマンと言われ、弟が実務を取り仕切ったという。かなりロマンチックな話だが、ご存知のとおりこの邪馬台国の場所はいまだ特定されていない。現在のところ、畿内説と九州説が有力ではあるが、確定証拠は出ていない。最近では邪馬台国を「やまたいこく」と読まず「やまとこく」と読む動きが主
帝国神霊学院 第五章 敗れし武者の、怨念の日々
吹き荒ぶ雪山の中、足を引きずる植芝盛平と若干顔に疲れが出ている瀧少年。二人を励ますように星天学が歩みを進めていく。もう二日間も雪中行軍をしている。
「先生、もう休みましょうよ」
瀧少年が情けない声を出す。
「まだまだ、戦いはこれからじゃて」
植芝盛平が口を開けて笑った。
「本当にこの辺りに彼奴ら拠点があるんでしょうかなあ」
星天学は腕を組んで首を傾げた。
吹雪はますますひどくなっていき、三人の息を
帝国神霊学院 第四章 八咫烏、散る
その瞬間、虚空を再び閃光が駆け巡った。
闇に包まれた柳ケ瀬商店街が昼間のようになった。
「ぐぐぐっ」
異形の群れを指示していた土蜘蛛の動きが止まった。
一世攻撃に身構えていた星天学、瀧少年、植芝盛平の三者は思わず息をのんだ。
すると、天空の彼方から五月雨のように光が降り注いできた。
「ギョエー、ギョエー」
悲鳴を上げる異形たち。光の雨は容赦なく異形たちの上に降り注いでおり、彼らの肉体を溶かしていく
帝国神霊学院 第三章 復活する日本の怨霊たち
山口は自らの携帯電話を手に取った。
「ちかみつさん、昭和初期の星校長に令和の現在から援護射撃の念を送れませんか」
本業の合間、社長室で電話をとったちかみつは穏やかな口調で答えた。
「山口さん、それはなかなか面白い事ですね。どこまで出来るか解りませんが、皆で念を送ってみるのは必要かもしれません」
この言葉に山口がすぐさま反応する。
「やっぱり令和から昭和初期まで念を飛ばすというのは、難しい事ですかね
徳島不思議百物語 第16回 仙道を使う剣山の仙人
第16回
マジカルパワー仙道を使う剣山の仙人
最近筆者の周囲には、仙人めいた人が多くなって来ている。ある友人などは肉類を一切摂らず、野菜だけの菜食主義を貫いている。この菜食主義の徹底ぶりが半端ではない。牛乳やチーズなど動物性タンパク質が少しでも含まれている食品さえも完全にカットしているのだ。ここまで厳格にしたら、精神に悪影響を及ぼさないだろうか。
また、ある知人は“不食(ふしょく)”に挑戦
千葉妖怪伝説「その十二 ヤマトタケルは一体誰と戦ったのか」
その十二 ヤマトタケルは一体誰と戦ったのか
ヤマトタケルの妖怪退治について今回は述べてみたいと思う。タケルは、本来景行天皇の第二皇子で、正式には小碓皇子と呼称するのが正しい。だが幼少時からタケルは粗暴で、皇位に近い身でありながら自分の兄を殺害するという事件を起こし、父である天皇から疎んじられることとなった。
厄介払いとばかりに地方勢力の討伐を命じられるが、タケルは武勇にものを言わせ、熊襲、出
徳島不思議百物語 第15回 夜歩く鬼「夜行さん」
第15回 夜歩く鬼「夜行さん」
徳島の妖怪と言えば「こなき爺」を思い出す人が多いのだが、実は「夜行さん」も意外と他県人に知られている徳島妖怪である。メジャーになったきっかけは、やはりアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」である。「夜行さん」は鬼太郎の良き友人であり、悪役妖怪に追い込まれているピンチの時には、応援に駆けつける頼もしい妖怪である。ある意味、鬼太郎より強いのではないかと思えるほどの実力者として描か
徳島不思議百物語 第13回「山の民の浪漫 やまんば」
昭和30年頃までは日本各地にサンカという山々を流浪する非定着民がいた。このサンカと呼ばれる人々は、ある程度の移動ルートが決まっており、山の川べりに仮設小屋を作り、箕作りや川魚の販売を生業とした。
この謎の民・サンカは、戦国期に忍びや乱破・すっ破と呼ばれたゲリラ戦を得意とした連中と関係あるとも、古代の賤民であり、坂道での車運搬業務に従事した“坂の者”と関連があるとか、江戸期の飢饉の際に、田畑を
帝国神霊学院 第二章 社への生贄
その日、星天学はそこぶる機嫌が良かった。晴天のもと、弟子の一人、瀧晴也を連れて電車で岐阜駅に降り立った。ホームには大勢の客がたむろっている。心地よい初夏の風が天学の頬を撫でていく。
「ふわーぁ、眠いなぁ、でも、瀧くん気持ちが良いね」
眠たげに両手を高く伸ばす星。瀧と呼ばれた少年が不満そうに呟く。
「もう、先生!しっかりして下さいよ。今日は昭和時代に残った人身御供の調査なんですから」
この瀧は若干1
徳島不思議百物語 第11回 怪火「大火」とUFOの類似点
第11回怪火「大火」とUFOの類似点
不思議談として「怪火を見た」という体験話はよく聞く。怪火とは、正体不明の移動する火の玉であり、亡霊の怨念による「鬼火」、死者の魂が飛び出た「人魂」、狐が操ると言われた「狐火」や「狐の嫁入り」、鳥と一緒に飛ぶ「ふらり火」、二つの火が大きさを競い合う「くらべ火」、川天狗が操る「川天狗の火」、じゃんじゃんという不思議な音を立てて飛行する「じゃんじゃん火」など全国