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帝国神霊学院 第三章 復活する日本の怨霊たち

山口は自らの携帯電話を手に取った。
「ちかみつさん、昭和初期の星校長に令和の現在から援護射撃の念を送れませんか」
本業の合間、社長室で電話をとったちかみつは穏やかな口調で答えた。
「山口さん、それはなかなか面白い事ですね。どこまで出来るか解りませんが、皆で念を送ってみるのは必要かもしれません」
この言葉に山口がすぐさま反応する。
「やっぱり令和から昭和初期まで念を飛ばすというのは、難しい事ですかね」
ちかみつがゆっくりした口調で答えた。
「それは確かに難しい事かもしれません。ですが、やってやれない事は無いと思いますよ」
二人の間に、一陣の風が吹いた。
「そうですか、念というものに時間と場所の制限が加わらないとしたら、十分にその可能性がありますね」
「そうですね、星天学さんを皆で応援しましょうね」
「そうですね、皆でやれば時間を飛び越える事も可能じゃないですか。昭和初期の星校長に対して皆で援護射撃をしましょう。星天学さんは歴史的にもう少し評価されてもいい存在です。しかし、実際には歴史的な評価が上がっていない。晩年はもっと幸せな人生を送ってもらいたかったですね。二人で、いや、皆でやりましょう」
その夜、ちかみつと山口の電話会談は好調のまま幕を閉じた。

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