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徳島不思議百物語 第15回 夜歩く鬼「夜行さん」

第15回 夜歩く鬼「夜行さん」

 徳島の妖怪と言えば「こなき爺」を思い出す人が多いのだが、実は「夜行さん」も意外と他県人に知られている徳島妖怪である。メジャーになったきっかけは、やはりアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」である。「夜行さん」は鬼太郎の良き友人であり、悪役妖怪に追い込まれているピンチの時には、応援に駆けつける頼もしい妖怪である。ある意味、鬼太郎より強いのではないかと思えるほどの実力者として描かれている。

 「夜行さん」の姿は馬に乗った一つ目の髭面の鬼として描かれることが多く、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の中では「輪入道」がタイヤとなっている妖怪カーを運転している。馬に乗ったり、車に乗ったり「夜行さん」は乗り物好きかもしれない。

 このようにアニメで一躍有名になった妖怪「夜行さん」だが、伝承上では人間が外に出ない“忌み日”に野外を徘徊し、出会った人間に悪戯をすると言われている。この“忌み日”とは、大晦日、節分、庚申の日などがあり、人間が夜間に外を歩くことを禁じられている日である。

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