水澄まし

うらにほん、の平らなところ

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うらにほん、の平らなところ

記事一覧

明日はまたゴリゴリの日にすんで🦍

水澄まし
3日前

線を引っ掻くことと歴史

前回の記事よりだいぶ間が開いた。 文章を書いていなかったわけではないが、宛先のあるものばかりだったのでもっと自由に連想しながらnoteを残したい。 いまノートPCのキ…

水澄まし
1年前
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カタクチイワシの身投げ

ほんの2週間前と打って変わり、とても蒸す。 湿度が上がると、気温がそれほど高くなくても汗をかきやすいし、暑い。車に長時間乗ったり便座に座った時、じんわり汗が滲むの…

水澄まし
1年前
4

死んだものを送る

ついに梅雨入りだ。 6月に入ってもそれほど気温があがらない日が続いて、空気も乾いていた。日中は止めた車のドアノブで静電気を食らうこともあったくらいだが、朝方の曇天…

水澄まし
1年前
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北西海岸インディアンの「ハマツァ」と折口信夫の花祭、そしてふゆめ。

暦の上では立春もすぎ雨水も目前である。二月に入ってしばらく凪のような日々が続いていたが、落雷のあと雨風にやられ、その後霰や雪に突入、裏日本名物の荒天となった。 …

水澄まし
2年前
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朝鮮のホランイ(虎)と戦争🐅

朝鮮では虎のことを「ホランイ(호랑이)」という。ちょんぴょんしるさんという方の書いた「民話で知る韓国」(NHK生活人新書)によれば、昔話のなかで韓国人がもっとも親…

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水澄まし
2年前
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向こう岸の虎🐅

浜を歩いているとよく、海の向こうから渡ってきた漂流物を拾う。漢字だけで書かれたスポーツ飲料のペットボトル、ハングルで説明書きのある洗剤の容器や瓶詰め、そしてキリ…

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水澄まし
2年前
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イヨボヤとは「魚のなかの魚」の意

鮭の遡上を見に北越へ。 この辺りでは鮭を「イヨボヤ」という。イヨは魚(ウオ)の古い発音で、ホヤもまた広く魚介をあらわす。ホヤの語源については今ひとつ分からないの…

水澄まし
2年前
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白鳥の飯集い

すでに先月の夏みたいな暑さの日から、コーンコーンと鳴く空をよく眺めてみると白鳥をはじめとする冬鳥がシベリアやカムチャツカから渡って来ていた。 鳥は日照時間を図る…

水澄まし
2年前
4

少しずつ冬支度

先々週辺りから急に気温が下がり、朝布団から這い出るのが辛い冬の入り口が見えてきた。エアコンのない部屋の暖房のため、ファンヒーターとハロゲンヒーターの試運転を開始…

水澄まし
2年前
5

実りと収穫、または収奪

週末、快晴でかなり暑かった。秋晴れというには気温の上がり方と陽射しがきつい。帽子を被っていても日に焼けたのか、首筋から扁桃腺にかけて痺れるような感じがあった。こ…

水澄まし
2年前
6

野生と家畜、飼い慣らされる兆しについて

思い立って山際の道を延々車を走らせる。道端には稲穂よりも蕎麦の白い可憐な花が点々咲いている。 牧草地に放し飼いにされている牛が草陰に埋もれながら、ブヨや蝿を尻尾…

水澄まし
2年前
6

鹿と鹿踊り🦌

 身近に見かけることのある大型哺乳類の代表格といえば、鹿だろう。自分からそう遠くない背丈と、一目で「あ」となる存在感。しかし当地では、カモシカや猿、下手をすると…

水澄まし
2年前
5

マムシへの備えとかわいい青大将、あと縄文

湿った用水路でマムシを見かけた。 壁の高さで這い上がれないのか、小さくうずくまったまま身じろぎしない。最初、小柄なシマヘビかと思ったので網ですくったが、近づけば…

水澄まし
2年前
6

縄文人は、今よりも暑い夏をどう過ごしていたんだろう

梅雨明けしてから連日の快晴でとても暑い。 フェーン現象のため日本海側は気温の上がり方も例年に比してなお暑い日が続き、庭木の葉が日焼けで枯れてしまいそうなほどだ…

水澄まし
2年前
6

石つぶてを割って作った槌(つち)

 河原でちょうどいい大きさの石つぶてを握ると、どうしても石を割ってみたくなる。手になじむ感覚と、その強度、帰ってくる振動を肩に感じたくてぎゅっと握り、勢いよく振…

水澄まし
2年前
4

明日はまたゴリゴリの日にすんで🦍

線を引っ掻くことと歴史

線を引っ掻くことと歴史

前回の記事よりだいぶ間が開いた。
文章を書いていなかったわけではないが、宛先のあるものばかりだったのでもっと自由に連想しながらnoteを残したい。

いまノートPCのキーボードを打ち込んで書いているが、自宅にいると大抵このnoteを書こうとする前に、他の誘惑に負けてしまう。個人的にはキーボードの打鍵感から来る気持ちよさは五感を刺激する素材の解像度に欠け、受動性の快楽に劣る。手っ取り早くメモを残すの

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カタクチイワシの身投げ

カタクチイワシの身投げ

ほんの2週間前と打って変わり、とても蒸す。
湿度が上がると、気温がそれほど高くなくても汗をかきやすいし、暑い。車に長時間乗ったり便座に座った時、じんわり汗が滲むのが不快だ。

夕立というか、夜が老けてから降ってくる雨は気持ちがいい。そういう晩はよく眠れる。

旅先で眠れるのと似たように、ほどよく部屋の外へと気が向くような。

雨が水面を叩くと魚の活性もあがる。海水温もここ数日どんどん高くなり、浅瀬

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死んだものを送る

死んだものを送る

ついに梅雨入りだ。
6月に入ってもそれほど気温があがらない日が続いて、空気も乾いていた。日中は止めた車のドアノブで静電気を食らうこともあったくらいだが、朝方の曇天がやや多い気がする。
生きものを飼っていて外に出ることが多いので、虫が増えて来たなと感じるようになった。雨上がりで日差しが強くなる瞬間に虫たちは動き出す。日差しがなくても、気温があがる、蒸してくるときにどこからともなく湧いてくる。
蛍の羽

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北西海岸インディアンの「ハマツァ」と折口信夫の花祭、そしてふゆめ。

北西海岸インディアンの「ハマツァ」と折口信夫の花祭、そしてふゆめ。

暦の上では立春もすぎ雨水も目前である。二月に入ってしばらく凪のような日々が続いていたが、落雷のあと雨風にやられ、その後霰や雪に突入、裏日本名物の荒天となった。
低気圧で鈍った頭でぼんやりしていると、すこし前のnoteで塞の神に触れつつ、「たまふゆ」についてちょっとだけ書いたことを思い出す。そうだ、これは折口信夫のタマ論から生まれた発想なのであった。
「カイエ・ソバージュ」中沢新一(講談社)によると

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朝鮮のホランイ(虎)と戦争🐅

朝鮮のホランイ(虎)と戦争🐅

朝鮮では虎のことを「ホランイ(호랑이)」という。ちょんぴょんしるさんという方の書いた「民話で知る韓国」(NHK生活人新書)によれば、昔話のなかで韓国人がもっとも親しみを覚えるのがこのホランイだという。「ホランイが煙管を吸っていた頃」といった語りだしではじまる民話はとても多く、聞き分けのない子供に「ホランイが来るよ」と言ったり、怖い先生に対して「ホランイソンセム二ン(虎先生)」と言ったりするそうだ。

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向こう岸の虎🐅

向こう岸の虎🐅

浜を歩いているとよく、海の向こうから渡ってきた漂流物を拾う。漢字だけで書かれたスポーツ飲料のペットボトル、ハングルで説明書きのある洗剤の容器や瓶詰め、そしてキリル文字で書かれたウォッカ瓶や缶。この海の向こうに北朝鮮を含めて四カ国もの外国が広がっているのだとその度に思い出す。写真の缶は、おそらくはウラジオストクやナホトカ、沿海州の街から流れ着いてきたのだろう。
年が明けてどんよりとした雪の日々が断続

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イヨボヤとは「魚のなかの魚」の意

イヨボヤとは「魚のなかの魚」の意

鮭の遡上を見に北越へ。

この辺りでは鮭を「イヨボヤ」という。イヨは魚(ウオ)の古い発音で、ホヤもまた広く魚介をあらわす。ホヤの語源については今ひとつ分からないのだが、寄生木(やどりぎ)の古名だった「ホヤ」が寄生する原索動物としてのホヤを指すようになったといわれている。して、なぜ魚介全般に?
またアブラハヤやタカハヤなどの「ハヤ」と語源は異なるのだろうか。
私の勝手な解釈では、ボヤは「坊や」みたい

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白鳥の飯集い

白鳥の飯集い

すでに先月の夏みたいな暑さの日から、コーンコーンと鳴く空をよく眺めてみると白鳥をはじめとする冬鳥がシベリアやカムチャツカから渡って来ていた。
鳥は日照時間を図る体内時計で季節を感じとっているらしい。日の出とともに動き出し、日が暮れると寝床へ帰る1日の生活環から渡りの機会を伺っているのだろう。
毎年同じ頃遡上するはずの鮭は、今年はどうも遅れているそう。三面川は種川にほとんど遡上が見られない。海中では

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少しずつ冬支度

少しずつ冬支度

先々週辺りから急に気温が下がり、朝布団から這い出るのが辛い冬の入り口が見えてきた。エアコンのない部屋の暖房のため、ファンヒーターとハロゲンヒーターの試運転を開始。久しぶりに嗅いだ灯油の匂いが記憶を刺激する。

高校の頃通った駅の待合や、商店の土間に置いてあったダルマストーブ。雪を溶かして水滴が丸こい玉になって直に蒸発するまで、弾けるように動く様をよくながめた。錆びた重たい鉄板の上で踊る水玉の軽やか

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実りと収穫、または収奪

実りと収穫、または収奪

週末、快晴でかなり暑かった。秋晴れというには気温の上がり方と陽射しがきつい。帽子を被っていても日に焼けたのか、首筋から扁桃腺にかけて痺れるような感じがあった。この季節に冷たいシャワーが気持ちいい。
朝晩は涼しいんだけど、とみな枕のように口にする。

金魚といえば夏の風物詩だが、じつは冬越しのために池上げするこれからの季節が本番だ。飼い込まれた魚が市場に出回りはじめる。親しんでいる者には常識だが、一

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野生と家畜、飼い慣らされる兆しについて

野生と家畜、飼い慣らされる兆しについて

思い立って山際の道を延々車を走らせる。道端には稲穂よりも蕎麦の白い可憐な花が点々咲いている。

牧草地に放し飼いにされている牛が草陰に埋もれながら、ブヨや蝿を尻尾ではたきつつ日向ぼっこしていた。距離を詰めていくと、こちらに注意を向けるもの、視線を合わせず耳だけで様子を伺ってくるもの、無関心に背を向けるもの、さまざまだ。息を潜めるようにすると、むしろ緊張感を帯びてしまう。適当さを装うには、こちらから

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鹿と鹿踊り🦌

鹿と鹿踊り🦌

 身近に見かけることのある大型哺乳類の代表格といえば、鹿だろう。自分からそう遠くない背丈と、一目で「あ」となる存在感。しかし当地では、カモシカや猿、下手をすると熊の方が傍にいる存在、という気もする。豪雪地帯の山間部と穀倉地帯の平野部を中心としたエリアのため、西日本のようにイノシシは多くないし、鹿も特定の場所にしかいない。いつも見かけるのは、公園のなかで餌付けされた鹿だ。

 以前群馬県は赤城山へ訪

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マムシへの備えとかわいい青大将、あと縄文

マムシへの備えとかわいい青大将、あと縄文

湿った用水路でマムシを見かけた。

壁の高さで這い上がれないのか、小さくうずくまったまま身じろぎしない。最初、小柄なシマヘビかと思ったので網ですくったが、近づけば模様に特徴のある列記とした日本の毒ヘビ代表格。マムシの毒は出血毒といわれ、放っておけば血管をめぐってタンパク質が壊れ、臓器をやられてしまう。血清があるのですぐに病院に駆け込めば亡くなることは少ないらしいが、噛まれてしばらくたってからの激痛

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縄文人は、今よりも暑い夏をどう過ごしていたんだろう

縄文人は、今よりも暑い夏をどう過ごしていたんだろう



梅雨明けしてから連日の快晴でとても暑い。
フェーン現象のため日本海側は気温の上がり方も例年に比してなお暑い日が続き、庭木の葉が日焼けで枯れてしまいそうなほどだ。
昨夜の台風のおかげでようやく涼しさを取り戻した。

少し遡るが、はじめて上川にある郷土資料館を訪れた。ヘッダーの岩偶と、下記の土偶たち目当てだったのだが、土器や複式炉の再現模型も素晴らしく、質問への答えをポップ

に現した展示の見せ方

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石つぶてを割って作った槌(つち)

石つぶてを割って作った槌(つち)

 河原でちょうどいい大きさの石つぶてを握ると、どうしても石を割ってみたくなる。手になじむ感覚と、その強度、帰ってくる振動を肩に感じたくてぎゅっと握り、勢いよく振り下ろす。幼少の時分、叩きつけた石の破片が飛び散り、よくつるんでいた友達に鼻血を負わせてしまったこともあった。欠けた破片は鋭利で、勢いがつけば肉を切り裂いてしまうとその時に学んだ。

 人が残した最も古い痕跡のうち、そのバリエーションや量で

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