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少しずつ冬支度

先々週辺りから急に気温が下がり、朝布団から這い出るのが辛い冬の入り口が見えてきた。エアコンのない部屋の暖房のため、ファンヒーターとハロゲンヒーターの試運転を開始。久しぶりに嗅いだ灯油の匂いが記憶を刺激する。

高校の頃通った駅の待合や、商店の土間に置いてあったダルマストーブ。雪を溶かして水滴が丸こい玉になって直に蒸発するまで、弾けるように動く様をよくながめた。錆びた重たい鉄板の上で踊る水玉の軽やかさ。ブルブルしている運動体が消え、湯気が立ち上る。
仰々しい装備の頼れる暖房は準備も大変だった。中学の頃は吸排気用の煙突掃除で、よくスズメやツバメの死骸が出て来た。生き残っていた連中が教室の中に飛びてて来た記憶もぼんやりとあるが、嘘かもしれない。

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長期予報によると来月末らへんから本格的な寒気が来るらしい。だいたい一発目の初雪時にはそれほど積もらないので、それを見届けてからタイヤを替えよう。灯油も補充しんばなのだが、トランクに積んだ20lポリを直接ガソリンスタンドの人に給油してもらうようにしてから楽になった。シュポシュポする回数を稼げるタカギの手動式ポンプを刺したまま注いでもらっているので、いちいち灯油で汚れることもない。

除雪用具は去年の大雪もあって揃っている。たて続いた停電に備え、もうひとつトヨトミのストーブも新調した。炎をたくさん見ていれば、冬場の鬱々とした暗い気持ちもやや紛れる。雪のけ以外でもなるべく屋外で活動することもかなり大事だ。そういうことを昔は当たり前のように知っていたから、塞の神のような行事をしたのだろう。

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冬キャンプや焚き火がブームらしいが、藁人形やでかい藁のオブジェに火柱が上がるのをみんなで眺めるのはもっと愉しい。昔の人は、炎の暴れる力を底抜けにあっけらかんと性と重ねる。命が生まれる原理がめらめらと燃えさかる炎のなかで再演される。冬(ふゆ)は、むかし「たまふゆ」と言ったそうだ。魂(たま)が増え、燃えたぎった後にしか、命のはじけだす春(はる)は来ない。

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(写真はアマメハギの面。秋田のなまはげと似た行事で、冬場のめしをこいて囲炉裏にばっかあたってっと、足に低温やけどの「あまめ」ができる。それをはぎに来る来訪神だ)

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