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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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#日々の暮らし

トレルナプロジェクトのせまい裾野

トレルナプロジェクトのせまい裾野

何ヶ月かぶりにイオンに行った。

どうしてもイオンにしかないような日用品が必要になり、いつもの私の行動範囲とは反対方向にぶらぶらと散歩がてら歩いて行く。
一駅くらい歩くとイオンモールがある。
買い物を終えてトイレに行きたくて女子トイレの個室に入ったら、トイレットペーパーの上の方に通常のトイレにはない何やら見慣れない箱が設置されている。なんだろうと思って見つめる。
『OiTr』と表示があるその箱は女

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眠れない夜に、ほろ苦いわたし。

眠れない夜に、ほろ苦いわたし。

もう日付が変わって夜中の1時をまわったところだ。
あまりよく眠れないのはいつものことだが、今回ははっきり目が覚めてしまって、もう体が眠ることを受け付けなくなったようだ。
横になっても不快感しかない。
『眠れない時は無理に寝ようとすると余計に眠れないので、いっそのこと起きて好きなことをすればいい』と、誰かが言っていたのでそれを実行する。
起き上がって、喉が渇いていたのをいいことにビールを開けて、そし

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わたくし的、丁寧なくらし

わたくし的、丁寧なくらし

2021.12.20(月曜日) daily life

捨て駒を考える。

『わたくし的、丁寧なくらし』は、SNSや雑誌などで話題のいわゆるお金のかかる『丁寧な暮らし』とは対局にあるのではないかと思う。
流行りの丁寧な暮らしには良い素材の生活用品と良い素材の食材など、そして何より丁寧さをアピールする空間作りなど、お金のかかることばかりだ。
本来の丁寧な暮らしとは、『質素なものでも手をかけて丁寧に心

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批判は情報

批判は情報

非科学的な占いの話で申し訳ないのだが、今日の私の占いが『誰かに怒られたらそれは運が良いと思いましょう。怒られるということは期待されているということです』となっていた。常にそう思えたら良いのだが、なかなかそこまで人間できていない。以前読んだ本(何の本だったか忘れた)で「批判は情報」という言葉が出てきたのを鮮明に覚えている。批判を「悪口」と受け取るか批判を「教え」と受け取るかでずいぶん違うということが

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リコ と リタ

リコ と リタ

リコとリタ...イタリア人の愛称か?はたまたディズニーの新しいキャラクターか?みたいなタイトルだが、『利己と利他』と漢字で書くとピンとくるだろう。漢字ってこういう時にすごく便利だ。字面を見ただけで「ははぁ〜ん」と納得する。

利己とは、利己主義という言葉でもわかるように自分のことしか考えていないことで、利他とはその正反対で自分を犠牲にしてでも他を助けることをいう。あなたはどちらだ?と問われてもなか

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「ネ」の行方と、「わ」の未来

「ネ」の行方と、「わ」の未来

以前にもたぶん書いている。このnoteだったか以前のブログだったかは忘れたが、確かに書いた記憶がある。「ネ」の行方については誰かの(誰だったかそれも忘れた)のエッセイを読んで、なるほど...と考え込んでそれ以降気をつけて「ネ」の行方を見守っている。

そもそも「ネ」とは何かというと、手紙や文章の語尾に「ネ」とカタカナで書くことを言っている。『頑張りましょうネ』『また会いましょうネ』『すっかり秋らし

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望むのは、未来永劫若いわたし

望むのは、未来永劫若いわたし

「私、もう80歳なんですよ」

その男性はエレベーターの中で私に突然話しかけてきた。その男性のことは顔だけは知っている。時々エレベーターで一緒になったりエントランスで一緒になったりする。その男性に対しては好きでも嫌いでもなくただ同じマンションに住む住人で時々見かける人というだけの感情しか私にはない。たぶん向こうもそうだろう。同じマンションに住むどこかの奥さんって感じなんだろうと思う。

「はぁ..

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だからさぁ、やっぱりワイン通は嫌われる

だからさぁ、やっぱりワイン通は嫌われる

『セレブ気取りですね』『気取ってる感じがします』『なんか上から目線』

インスタグラムのストーリーにその日に飲んだワインを投稿すると、好意的なコメントもあるが、少なからず上記のようなコメントをもらう。セレブ気取りでもなく、気取り屋さんでもなく、上から目線でもないと自分では思っているが、中にはそうは思ってくれない方もいるようだ。以前から思っていたことだが、例えばビールや酎ハイや日本酒などを投稿した時

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時として正義は滑稽さを増幅させる

時として正義は滑稽さを増幅させる

狭い道の十字路で、自転車と自転車が軽くぶつかった。ひとりは若い男子で、もうひとりはおじいさんと呼んでもいいくらいの年配の男性だ。私はちょうどぶつかるところに居合わせてすべてを見ていた。結論から言うと悪いのは年配男性だった。若者は十字路の角に差し掛かった時、一時停止して左右を確認してから再度漕ぎ出した。そこにちょっとスピードを出して突進してきた年配男性とぶつかったのだ。双方倒れるほどではなかったが、

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貧乏とは、かくなるもの。

貧乏とは、かくなるもの。

朝起きてキッチンに入ると、ぽわ〜んと文旦のいい香りがする。先日、高知県の方から頂いた。食べる楽しみもあるが、この香りがなくなると思うとなかなか食べきれないでいる。根が貧乏性なのだろう。なくなれば自分で買ってくればいいではないかということになかなか行きつかない。その砲丸投げほどある丸いものを手に取って鼻にくっ付ける。恍惚感が一気に溢れ出す。

食べきれないものは他にもある。深谷のネギだ。ネギの香りも

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うどん屋のゆくえ

うどん屋のゆくえ

少し長い散歩をした。
ここ数年におけるこの街の変化が著しくて、こんなところにこんな店が...とか、あれここにあった店はなくなったのか...とか、変化を感じながら歩く。ほとんどがお洒落な店に変わっていて古くからやっていた店などは数えるほどしか残っていない。今はこの街のグルメ本が出るくらいに発展し賑わっているけれど、長年住んでいる者からすると思い出をちょっとずつ削り取られていくようで寂しくもある。過去

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忘却の潮時

忘却の潮時

母の形見の時計の金具が壊れた。時はちゃんと刻むが腕にはめることはできない。時を刻まない時計も役立たずだが、腕にはめれない腕時計も役立たずだ。誰のせいでもない。時間が経ちすぎたのだ。

これは「もうそろそろ母親の柵から離れなさい」という誰かからのメッセージだと思い、修理には出さないことにする。この時計はクローゼットの中の思い出箱に入れておこう。いつか時を刻むのもやめて静かに眠り続けることだろう。

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12月の喪失と解放

12月の喪失と解放

誰もが浮き足立つ12月に入った。すでに街にはクリスマスツリーが飾られ、クリスマスケーキの予約受付や「クリスマスプレゼントはもう用意されましたか?」というお節介なメールが知らないサイトからこれでもかとやってくる。こうなると浮き足立つなと言う方が難しい。

私は先日クリスマスケーキを予約した。

これは私にしてはとても珍しいことである。何でもかんでも斜めから見るという捻くれた性格の私はクリスマスは20

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かつて板上で泣いた日、今夜も変わらぬ目で泣く。

かつて板上で泣いた日、今夜も変わらぬ目で泣く。

今、真夜中の1時半を回ったところ。眠りたいのに眠れない。芝居を観た夜はいつもそうだ。それは若い時から変わらない。人の芝居というのは自分がやる芝居よりも脳が興奮してしまうらしい。数時間前まで客席の喧騒の中にいて、役者と同じくらいのテンションで、笑い、泣き、考え、台詞ひとつひとつを噛み砕いていく。そんな作業を無意識にしているのだから寝れないのも当然と言えば当然なのだけど。

設立当初から愛してやまない

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