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トレルナプロジェクトのせまい裾野

何ヶ月かぶりにイオンに行った。

どうしてもイオンにしかないような日用品が必要になり、いつもの私の行動範囲とは反対方向にぶらぶらと散歩がてら歩いて行く。
一駅くらい歩くとイオンモールがある。
買い物を終えてトイレに行きたくて女子トイレの個室に入ったら、トイレットペーパーの上の方に通常のトイレにはない何やら見慣れない箱が設置されている。なんだろうと思って見つめる。
『OiTr』と表示があるその箱は女性用整理ナプキンが入った箱で、必要な人が登録すれば無料で使えるようになっていた。
何かのニュースでこいういうプロジェクトが複数の企業で動き始めているってことは聞いていたが、いろんな商業施設や駅でトイレを借りることがある私でさえこれに巡り会ったのは初めてだった。
初めて...というのがミソである。
一年ほど前に見聞きしたニュースなのにそんなに広まってないということだ。もっといろんな会社が導入しててもいいはずなのに。

このプロジェクトの発端は、突然の事態に備えるという便利なサービスということでもあるのだが、その裏に潜んでいる問題は貧困でナプキンが買えない女性が増えていることもあるらしい。
ある年齢に達した女性には生活必需品でありながら、それさえ買えない人がいるという問題。
そのニュースを聞いた時は「貧困で?」とびっくりしたのだが、今の日本は以前の先進国のイメージは薄れてきている。すでに後進国だと問題提起する経済学者もいるくらいだ。
確かに貧富の差が激しくて、貧困で苦しんでいる人は見えないところで増えている。
ニュースの中に出てきた女性は、「何度も使い回ししてます」という人もいた。そういう一環として生理用品くらい清潔なものを使って欲しいということだと思うのだが、裾野は狭いなと感じる。
私でさえこのトイレに入る前まではそのニュースのことなんてすっかり忘れていたのだから。

これはスマホにアプリダウンロードして登録すればすぐに使えるようになっている。
スマホを持ってなければ使えないというのはちょっとした疑問でもあるが、もっと普及すれば助かる女性は多いのではないかと思う。

『この一枚を、あたりまえに。』

普段イオンモールは私の買い物テリトリーには入ってないのだけど、
なかなか素敵なことをやってくださる。
これからもっと利用してみようと思ったし、応援したい企業になった。
それに引き換え、都会の商業施設の方々は何をなさっているのだろう。
お洒落や流行を提供しているのにこういうことには無関心。
先端の企業こそ率先してやってほしい。

日本は我々の知らないところで、発展もしているが後退もしている。
自分が見ている日本だけが日本の本質ではないなと今回のことで思った。
裾野、広がるといいな。




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