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11013の手紙に寄せて

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11013でなければならない理由も、ないのだけれど。
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#ことわざ

犬もアイス食えば棒に〈当たり〉

犬もアイス食えば棒に〈当たり〉

「犬も歩けば棒に当たる」の「棒に当たる」というところは、いまいちいいことなのか悪いことなのかピンと来ませんね。「いいか悪いか」で二極化してとらえようとしている、いまのわたしの姿勢がそもそも疑問視すべきかもしれません。いいか悪いかで語っていいことなんて、わたしが思うよりも少ないかもしれません。

「でしゃばると叩かれる」というのが、「犬も歩けば棒に当たる」の本来の(当初の)意味なのですね。そうす

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てつがくのポーズ

てつがくのポーズ

へたの考え休むに似たり という慣用句? があるのですね。へたに考えるのは無駄であるとか、へたに考えて何もできない・実らないくらいなら、まず何か行動してみてから考えて軌道修正するなり方向転換するなりしたほうが良い結果をもたらすよ、といったようなことをさとすことば……といった感じでしょうか。

休むことはすごく、有効・有用であるように思います。へたに考えるくらいなら、休んだほうが良い結果をもたらすで

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失敗は成功の友

失敗は成功の友

失敗は成功の母、ということばを聞いたことがあります。偉人のことばだったと思います。言い放ったのはどなただったかしら、エジソンさんでしたかしらね。

「母」は、よく見ています。よくことばをかけます。はたらきかけもするでしょう。そのままではあぶないとか、とりかえしのつかないことになるとかいったときの分岐点にある子を守る存在、という「母親像」について思います。

「失敗は成功の母」と表現する際、

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旅せよ愛子(まなご)

旅せよ愛子(まなご)

わたしには息子がおります。上(2歳)、下(3か月)の2人です。可愛いです。

でも、ほっとくわけです。もちろんいつでもそうではありません、世話をすることもあります。妻がたくさん(常に)接してくれているので、わたしがそんな程度の意識でいられます。

「可愛い子には旅をさせよ」という言葉がありますが、この「ほっとく」意識が、息子たちに旅をさせることにつながるのではないかと思います。いつもそんな

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素数のフック

素数のフック

豚が木に登るなんて光景は想像しにくい。そんな光景を目の当たりにしたら、驚くかもしれない。豚が木に登るなんてことが現実に起こるなんて、おそらく私は予想しないであろうから。その、予想の範囲内の現実と、実際に起こった現実とのあいだの差異、落差に驚き、視線が釘付けになるだろう。

現実の豚が、おだてれば本当に木に登るかどうかは、試したことがないのでわからない。きっと、その豚個体の能力・個性にもよるだろ

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七度探して人を疑え

七度探して人を疑え

対面関係において、ことわざを聞く機会がそう多いわけじゃない。一対多という、例えていうなら先生と生徒のような関係で、教室だとか体育館だとかでたまに聞いたことがあったっけという具合である。ことわざには、話のネタに困った先生や上司の好物、という側面があるかもしれない。

「七度探して人を疑え」ということわざは、初めて聞いた。なるほど、他人を疑う前にやることがある。それは尽きることがないほどに大きい。

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運命の主「体」性

運命の主「体」性

承認欲求なんてことばを、かつてこれほど聞くことはなかった。SNSに放り投げた一塊の情報のはしっこに設けられた「いいね」とかいうボタンにどれだけの人が触れたかということでその解決をはかるなんて、とても回りくどいことなんじゃないかと思う。

目と目が合う体験とは、強烈なものである。言葉の介在なんて要さずに、その場その瞬間でお互いの認知が成立する。対面を基本とした生活をしていたら、そもそも承認欲求な

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Andanteで回り道

Andanteで回り道

音楽において「走る」という言葉が意味するのは、望ましいテンポよりも速くなってしまっている状態のことだ。どちらかといえば、悪い意味でつかうことの方が多いのではないかと思う。

走らずに歩くと、よくものが目に入る。いろんなことに気づくのである。車より電車、電車より自転車、自転車より徒歩、といった具合に、景色から得るものが多くなるような気がする。ここに飛行機がないのは、僕が滅多に乗らないからだ。地上を

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98 or 99?

98 or 99?

失敗は成功のもと、ということばがある。失敗の積み重ねが成功に辿り着くために有効なものだとしたら、どんどん失敗すればいい。

やる前から明らかに、そりゃ失敗するよな、というようなやり方をわざわざ試したところで、99パーセントダメだろうというところが100パーセントダメなやり方だ、というのがわかるだけかもしれない。いや、100パーセントダメということがわかるというのは、なかなかに重大な発見かもしれ

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良薬口に余し

良薬口に余し

おのれにとってためになることほど、素直に聞き入れにくい……これは、結構思い当たるふしがある。

だが、良薬がみな苦しとは限らない。 現在の自分と距離がある、乖離している、ギャップがあるものほど良い薬になるとすれば、おもしろいもの、楽しいもの、オドロキなもの、そうした明るく受け入れやすいイメージの種々の事物もまた、薬になるはずである。その瞬間の自分とギャップがあるからこそ、そうしたおのれの外側の

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焼け石に洪水

焼け石に洪水

ことわざをおのれの口から発することがあまりない。それでいて、知っていることわざ、聞いたことのあることわざがいくつもある。「焼け石に水」も、そうしたことわざのひとつである。

〜第1部〜

いま、あなたの目の前に、火がある。野外で、焚火をしているのだ。ブロックやらレンガで囲った、簡素なかまどが設置されている。その中心で、火が燃え上がっているのだ。

鉄の棒を何本か渡して、その上に、ずんぐりとし

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窮鼠必勝の理り

窮鼠必勝の理り

狸穴、という名前のラーメン屋さんがあった。今もあるだろうか。池袋にあった。僕は大学生時代を池袋で過ごしたので、何度かそのお店に行った。美味しいつけ麺を出すお店だった。

落語に『鼠穴』という演目があるのか。知らなかった。ぼくは、寅年だ。子年はあるが、狸年はない。あってもいいのに。

おのれを弱いものに喩えると、いろいろとロックな気持ちが湧いてくる。窮鼠猫を噛むとは、なかなかロックだ。どうせ

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プロフェッショナルの処世術

プロフェッショナルの処世術

下手だからこそ、その分野が好きだということがあるだろうか。上手な人に対して、下手な人が憧れを抱くというのは、ありがちなことである。

漫画を読むのが好きであっても、自分で漫画を描けない人の方が多いだろう。いや、厳密には「描かない」だけであって、下手でも何かが描けるはずだ。つまり、漫画を描くのは下手(あるいはまだ描いたことすらない)だが、漫画を読むのは好きだという人が、多かれ少なかれ存在すること

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