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結婚ってコスパもタイパも悪い。それでも一緒に居たいって思えることが幸せだなと感じた17回目の結婚記念日の話

こんにちは、水無瀬あずさです。近所のマンションになぜか1本だけ河津桜があるのですが、昨日たまたま前を通りかかったときに見てみたら、つぼみが膨らんでいました。もう春は間近なんだなあ。

さて、3連休の中日だった2/11は建国記念日であり、夫の誕生日であり、私と夫の17回目の結婚記念日でもありました。入籍からまる17年が経ち、出会ってから数えるともう20年を超えました。実家を出て一人暮らしを始めたのが18歳なので、もう親より長く一緒に居ることになります。「え、そんなに一緒にいるの!?」とびっくりしたんですが、「きっと20年、30年の時も同じことを言うんだろうね」と二人で笑い合いました。

ふと世の中に目を向けてみれば、やれコスパだタイパだとパフォーマンスばかりが重視される傾向があります。考えてみれば、結婚なんてコスパもタイパも極めて悪いもの。若者が忌避しがちになるのも頷けます。とはいえコスパ・タイパにばかり気を取られていたら、人生における本当の豊かさの意味さえ見落としてしまうんじゃないかなと、昨今の世の中を見ていると心配にもなります。

そこで今回、結婚18年目を迎えた私が結婚に対して思うこと、昨今のコスパ・タイパ重視時代における結婚の位置づけについて考えてみました。「無駄な時間を極力減らしたい!」とかよく言われますが、その減らした時間にYoutubeを見たりゲームをするくらいなら、多少無駄でも自分の頭であれこれ考えながら時間をかけたほうが、人間として成長できるんじゃないかしら。結婚ってたぶんそういう類のこと。

既婚・未婚、結婚に肯定的・否定的な方さまざまだとは思いますが、「人生の、心の豊かさ」という観点で、長い時間をかけて人間関係を育む結婚という制度自体について考えるきっかけにしていただければ嬉しいです。


二人で歩んだ17年

私も夫もリモートワークなので、四六時中家にいて、休憩になればどちらからともなく話をします。子どもの話、親の話、お金の話、体調の話など、たぶん今「隠し事は一切ない」と言い切れるくらいあらゆることをさらけ出していると思います(夫の方は知らないけど)。それもこれも、17年もの長い時間を一緒に過ごし、お互いがお互いのことを理解しようと努力し、人間関係を深めてきた結果だと思います。

思えば結婚当初は今のように夫のことを信頼していたわけではなく、思ったことはいろいろあるけど飲み込み、一人でモヤモヤしていたこともありました。とくに私の場合、夫の両親との距離感がつかめずイライラすることが多く、そこが夫に対する不信感につながっていたように思えます。

今はといえば、義母や義姉と会った時「んー???」と思うようなことが無いとは言いませんが、(でもこういう人だしな)(適当に返しておこう)みたいに考えられるようになり、ほぼイライラすることがなくなりました。昔は義母から「〇〇要る~?」と聞かれても、気を遣って「要りません」というのがどうしても言えなかったんですが、今では「あ、要りません、たぶん使わないんで!」とはっきり言えるようになりました。慣れたと言われればそれまでなんですが、結婚当初は「頭では分かっていてもどうしても許せない!」と思えることが多かったので、年を取って私の許容範囲が広がったということなのかなと理解しています。年を取るのも、それほど悪いことじゃない。

子どもが生まれて生活が一変し、夫は仕事が忙しかったので日中基本的にワンオペ育児でしたが、それでも夫は夜の寝かしつけを毎日やってくれました。毎日終電帰りでフラフラだったのにね。おかげで私は育児疲れでも夜ガッツリ寝れたので、そこまでストレスなく過ごせたのでした。寝れるって超大事なことだから!

当時のことを夫に聞いてみたら「あの時はほんっっっとうにしんどかった!若かったからできたけど今は絶対ムリ」と語気強く言っていたので、本当に限界ギリギリだったんだろうなあ。育児を「母親の仕事」と押し付けず、自分事として考えてくれたからこその行動だと感じました。ありがたいことです。

この時のことがあるから私は夫に対して、本当につらい時は何とかして助けてくれる人だと思っているし、だからこそ私も困ったときには絶対に助けたいって思えます。もしあの時夫が「俺だって仕事で疲れてるんだ!」って私を放置して寝てしまっていたら、今みたいな関係性にはなっていなかったでしょう。人間関係は積み重なって層になっていくもの。支えてくれたことが、巡り巡っていくものなんだなあと夫を見ていて思います。

結婚から17年、お互いめっきり年を取りました。すっかりババアとジジイです。結婚当初のような若さやフレッシュさはないけど、ともに過ごした時間と、年を経て出てきた味や深みがあります。そうした変化をお互いが楽しめるのは、結婚ならではなんじゃないかなあ。この先子どもたちが巣立っても、20年、30年と支え合いながらともに時を重ねられていけることを嬉しく思います。まだまだたくさん思い出を作っていきたいな。

私が結婚相手に求めたもの

内閣府の調査によると、日本人が結婚相手に求めるものの上位は「価値観が近い」「一緒にいて楽しい」「一緒にいて落ち着ける・気を使わない」なんだそうです。

出典:男女共同参画白書 令和4年版 全体版(HTML形式)|内閣府

経済力を重視するのは女性が多く、要旨・ルックスは男女ともにそこそこ気になる・・・といったところでしょうか。なかなか興味深い結果ですよね。

自分が結婚相手に求めたものといえば、やっぱり「価値観が近い」と「一緒にいて気を遣わない」だったのかなと思います。とくに私は人生において働くことが最も重要と考えている人なので、仕事に対してポジティブで、かつ要領よく仕事がこなせる人っていうのが絶対条件でした。でも今の夫を見ていると、仕事もさることながら「やさしい」ことが決め手だったかも。私が付き合った男性の中で夫ほど私に優しかった人はいません。優しさは私自身におそらく一番欠落している要素だったのですが、夫がそれを補ってくれたということなのでしょう。

結婚するうえではルックスもある程度大事ですよね。四六時中一緒に居るのに、嫌いな顔なんて辛すぎますし。ここで重要なのは「好きな顔」であることで、決してイケメンである必要はありません。ちなみに夫を見た私の初対面の印象は「イケメンじゃないけど何となく好きな顔の人だな」でした(大変に失礼)。いや、だってイケメンと美女は3日で飽きるって言いますし。

結婚ってコスパもタイパも悪い、でも

少し前に流行ったコスパ(コストパフォーマンス)、そして今Z世代を中心に流行っているタイパ(タイムパフォーマンス)の観点から見れば、結婚ってどちらも最悪だと思います。若い人が結婚に前向きになれない、希望を持てないのも仕方ないというものです。

日本財団が2023年に実施した18歳意識調査では、将来結婚を「したい」と回答した人は男女とも4割を超え、これに対して実際に将来結婚を「必ずすると思う」と回答した人は男性で2割弱、女性では1割強にとどまりました。

出典:第52回18歳意識調査「価値観・ライフデザイン」調査|日本財団

自分が結婚できると考えている若者が少なすぎることは驚きでしたが、それよりも「結婚したい」が半数以下であることにビックリしました。結婚手もう当たり前のものじゃないんだという事実を改めて実感した形です。

ちなみに「結婚できないと思う理由」がこちら。

出典:第52回18歳意識調査「価値観・ライフデザイン」調査|日本財団

男性1位・女性2位の「恋人・パートナーが見つからないと思うから」、なぜそんなに自分に自信がないんだいと心配になります。もし今いなくても「将来絶対したい!」とは言えない世の中ってことでしょうか。「1人でいるほうが精神的な負担が少ない」「自由を失いたくない」は典型的なタイパ思考ですし、「経済的に難しい」はコスパ思考の現れですかね。

確かに結婚して子どもでも生もうものなら時間もお金も無尽蔵に必要になりますし、自分ひとりですら先行きが不透明なのに考えられないよっていうのが今の世の中なのかなと思います。なんて世知辛いんだ。

でも結婚17年目、育児のために今ものすんごくお金が必要なオバサンからすれば、世の中パフォーマンスだけで片付くものじゃないよとも思うんです。いやお金は溢れるほど必要なんだけど、まさに今そのためにゴリゴリに働いているんだけど、結婚とかパートナーシップとかって不自由でめんどくさい人間関係があるからこそ、本当の意味での信頼関係が築けるし、人生に彩りと余裕が生まれます。要は、「思っているほどたぶん無駄じゃないし、悪いもんじゃないよ」ってこと。

人間って、「自分はこうだ!」って思っていても、人とのかかわりや時間に連れて流動的に変化するものです。私も昔は凝り固まった頭でっかちな人間でしたが、結婚生活を経てかなり丸くなったと思います。そして、そんなふうに変化した今の自分がとても好きです。結婚やパートナーシップに限った話ではないですが、何でもかんでもパフォーマンスにこだわる観点をちょっとだけ外して、長い目で見て心から信頼できる人間関係を築くことが、私たちが本当の意味で豊かに生き続けるために必要なんじゃないかなあ。

タイパ重視のZ世代に思うこと

Yahooニュースを見ていたら、こんな記事が目に入りました。

デジタルコミュニケーションに慣れているZ世代は、メールも極力返さないのが普通らしいです。従来のビジネスマナーでは、「お願いします」→「ちょっと無理です」→「分かりました」という、「一往復半」のやりとりが普通だったけど、Z世代は最後の「分かりました」を返さないということ。確かにチャットならリアクションすれば済むのに、わざわざ返信するのもなあって思わなくもない。けど礼儀ってあるよね?って思っちゃう昭和世代。

同じようなことが最近副業であって、ある仕事で若いデザイナーさんからメールで指示書をいただき、「〇日までに納品してください」と言われたので、あれこれ考えて1日早く「できました」とメールで納品しました。が、その後ぱったりと音沙汰ナシ。普通なら一言「受領しました」とかあって然るべきだと思うんですよね。もしかしてメールが届いていない?と心配になったので確認したところ、「先方(クライアント)の確認待ちなのでもう少しお待ちください」と言われて、いやそれをまずメールで報告しろや!!と思いました。果たして担当者がZ世代で返事をしないのが普通だからだったのか、単純に仕事ができない人だっただけなのかは定かではありませんが(実は後者な気がしている)。

このことから、パフォーマンスだけ意識していると、大切な人間関係が実は失われてしまうことさえあるのかなとも思いました。仕事をしていると、どうしても「言ったほうが良い?迷惑かな?」って悩むシーンはあるものですが、そこで迷惑かもしれないけど一言あるかないかで、その後の関係性が大きく変わることだってあるんじゃないかなあ。

とはいえ、SlackやChatworkとかのコミュニケーションでは極力リアクションだけで済ませる方がいいとされている昨今、一言を返すべきかそうでないかって非常に判断が難しいことは確かですね。

もっと教育にゆとりが必要じゃない?

Z世代が何でそんなにタイパ重視思考になったかといえば、子どものころから塾だ習い事だで時間に追われて生きてきたからじゃないのかなと思います。なんでも首都圏の中学受験者数は例年より減ったそうですが、私の周辺でも受験熱は過熱していると感じます。

お受験をしている家庭を批判するつもりは全くありませんが、みんな小学校からそんなに勉強ばっかりで疲れない?と心配になります。自分なんて小学生の時ってひたすら遊びまわっていて、勉強なんてほとんどしなかったものです。子どものうちって、いや子どものうちだからこそ、何も予定のない自由な時間がとても大事な気がするんですけどね。今日は何をしようかな?○○もいいな、でも△△も興味あるし、どうしよう?ってね。だって大人になったらそういう時間の使い方、絶対できないし。

私は中高一貫の私立校に行き、高校になってたまたまぐんと成績が伸びたほうなのですが、中学校から成績が良かった友達って高校になるほど下がっていく傾向が強かったんですよね。そりゃ6年間ずっと続けるのはしんどいよなあって思います。頑張るのって続けるのが難しくて、そうするといざっていうときに力を出せなくて、却ってよくない気がします。

だから我が子には、「小中学校なんてそんなに頑張って勉強しなくていいよ」って言っています。個人的には思春期の時期、なにもない時間にぼんやりといろんなことを考えるのってとても大切だったと感じているので、我が子には時間に追われる生活をしてほしくない。受験とかのことを考えるとそこそこの成績は維持した方がいいけど、本人が必要だと思わないなら塾とか習い事も行かなくていいかなって思います。ただでさえスマホがあって四六時中友達と繋がっていたり、いやでも情報が入ってくる時代なんだから、今だけは自由な時間のなかでのびのびと生きて欲しいです。どうせ数年後には、いやでも時間に追われる生活になるんだし。

とか思ってたら、たまたま読んでいた文春オンラインでまさに私の意見を代弁するような記事があったのでご紹介しておきます。

2歳から幼児教室に行かせたり、英会話を習わせる家庭もあります。習い事を4つ5つしている小学生もざらにいる。「子どもがやりたいと言うので」と親御さんは言いますが、そもそも子どもは目新しいことをやりたがるものです。
 ですが、睡眠や友達と遊ぶ時間を削ってまで習い事に塾にと奔走させるのは有効どころか、子どもの脳の発達に悪影響を及ぼします。身体と同じように脳にも育つべき順番があります。5歳くらいまでは「からだの脳」、すなわち寝る、起きる、食べる、身体を動かすなどの基本的な機能を司る部分を育てなければなりません。朝になれば目を覚まし、お腹が空いたら泣き、夜になったら自然と眠くなる。そんな「原始人」のような子どもを育てることがこの時期の親の最大の役割と言っても過言ではない。それなのに、睡眠を削って習い事に行かせて生活リズムを崩せば、脳の発達に深刻な影響をもたらしてしまいます。

引用:文春オンライン

お受験や習い事をする家庭を批判するつもりはないんですが、子ども時代にもっと余裕のある生活を送れないと、これからどんどん若者たちはタイパ重視の傾向を強めていくことになるんだろうなと予想しています。

結び

結婚からかなり脱線してしまったのですが、昨今のタイパ思考にはいろいろと思うところがあったのでヒートアップしてしまいました。つまり何が言いたいのかと言えば、結婚18年目に際して、コスパとかタイパとか関係なく一緒に居たいって思えることが幸せだよねって思ったって話です。

少し前まではコスパ重視だった我が家、お洋服でも家具・家電でも、とにかく安くてそれなりにいいものをと買っていました。が、詰まるところ安いってことは、すぐに使えなくなるってことと背中合わせであることを実感。結局「そこそこいい値段のものを買って、長く使う」ことが正解だという結論に至りました。持続可能な社会って、たぶんそういうことなんだよね。タイパも同じだと思います。パフォーマンス重視じゃなく、時間をかけたほうが良いことはしっかりと念入りに時間をかけるというほうに、世の中の傾向がちゃんと変わっていってくれるといいなと思います。みんなもっと心と時間にゆとりを持とうぜ。

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