日々、繰り返される食事は、異文化との接点のはじまり。食事やそれを取り巻く環境ひとつ、ひとつに、実は、智慧や文化、歴史が詰まっていることに気づいた時、当たり前に口にしていたものを見…
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#フードエッセイ
おいしいと感じるメカニズム。食文化の一致とダシが秘訣
「あっ、これいけるかもしれへん」
クアラルンプールに住みはじめて、半年が経った頃、ようやく口に合うものを見つけて、嬉しかった。
苦痛だったランチの時間から解放された瞬間だった。
マレーシアの甘くて、こってりした食事がどうも苦手だった。日本人はたいてい好きなバクテー(角煮みたいな)も、甘くて漢方くさくて、おいしいとは思わなかった。
しかし、ひとつ口に合うものがみつかると、不思議なことに、ひと
味噌汁さえあれば、世界のどこにいても生きていけると確信した日
「味噌汁って、なんでこんなに、胃腸が落ち着いて、心にしみわたるんやろうか」
その日、わたしは身も心も、ずたぼろだった。10月は出張が多くて疲労困憊。大阪にはじまり、バンコク、ホーチミン、そして、ジャカルタと目が廻る
ジャカルタから、クアラルンプール市内にある自宅に到着した瞬間、肩から力抜けた。すぐにでもベッドに倒れこみそうになった。しかし、おなかもすいた。 なにか、体と心が落ちくつものを口にし