えびはらあつし

メーカーのプロダクトマネジャー | チェンマイ大学→バンコク在住9年→クアラルンプー…

えびはらあつし

メーカーのプロダクトマネジャー | チェンマイ大学→バンコク在住9年→クアラルンプール3年目 | 食から見えるアジアの暮らしを書いています

マガジン

  • フードエッセイ• SUGER & SPICE

    9年住んだタイ、今住んでいるマレーシア、旅や出張で訪れたベトナム、インド、シンガポールなどの食と人間模様と歴史と

最近の記事

  • 固定された記事

住みはじめた場所が好きになる瞬間

なかなか好きになれなかったクアラルンプール「やっぱり、なんだかんだバンコクの方がええよな」 妻と話をするたびに、口をついて出てくるのは、8年も住んだバンコクのことばかりだった クアラルンプールに住み始めて、もうすぐ8ヶ月が経とうとしている。仕事も、生活も慣れてきたものの、慣れ親しんだバンコクに、未だに心が奪われつづけている。はやく、クアラルンプールに馴染みたいと思えば思うほど、バンコクが私の気持ちを離してはくれない バンコク生活との比較がとまらない留学もしていたこともあ

    • 私たちは、なんのために食べるのか?インドのカレーから学んだこと

      ほんのりとスパイスの香りが漂う食堂 わたしは、さつま芋のカレーとチャパティを目の前にして座っている お腹を空かせたわたしは、ゴクンと唾をのみこんで、日々の食事のあり方について考えていた ここはインド、リシケシにあるヨーガニケタンのアシュラム、すなわちヨガの道場 私は、定期的にここにやってきて1週間ほど滞在する。目的は、日々の暮らしの見直し、そしてカレーである 栄養と消化優先。アシュラムの食事アシュラムの1日は、鐘の音とともに、はじまる。眠気眼を擦りながら、朝6時から

      • 大嫌いなはずだったタイランド

        こんな国、2度とくるもんか。 飛行機の窓から見えるバンコク市内の景色を眺めながら、わたしは、強く確信した。 トランジットで2日間立ち寄っただけなのに、史上最悪の印象をわたしに植えつけたバンコク。はやく立ち去りたくて仕方がなかった。 大学一年生の夏休み、わたしは、友人とベトナムはホーチミンを訪れた。当時、関空からホーチミンの直行便がなかったため、タイのバンコク帰りに2泊したのだった。 ホーチミンの旅は、とても素晴らしかった。現地で日本語教師をしているゼミの先輩が案内して

        • デング熱とポテトチップス

          デング熱を患ってしまい1週間ほど、地獄の日々を過ごしていた。 デング熱は、熱帯地域特有の風土病である。デングウィルスを持つ蚊に刺されることによって発症する。 40度ちかい高熱と、頭がわれそうになる頭痛、そして、骨がひんまがりそうな関節痛が容赦なく襲いかかってくる。 あとで、デング熱のニックネームが、Break bone fever だと聞いて、言い得て妙だなと納得した。 効果的な治療法はないらしく、とにかく、解熱剤をのんで、水をのみまくって、ウィルスを外にだすしかない

        • 固定された記事

        住みはじめた場所が好きになる瞬間

        マガジン

        • フードエッセイ• SUGER & SPICE
          12本

        記事

          ポルトガルで生まれ、アジア育ったスイーツの歴史

          「サクサクのパイ生地につつまれたとろけんばかりのカスタードがたまらんわ」 ここはクアラルンプールのセントラルマーケット。風が激しく吹き荒れ、スコールが降ってきた。 たまたま見つけたポルトガル料理のカフェバーで雨宿り。わたしと妻は、エッグタルトをほおばっていた。 日本でも、一時期はやったポルトガル発祥のスイーツは、マレーシアにかぎらず東南アジアでも大人気。というより、暮らしの中にがっちり入り込んでいる。 マレーシアやシンガポールのホーカーズにある飲茶屋台にも、香港の飲茶

          ポルトガルで生まれ、アジア育ったスイーツの歴史

          斬新なのになつかしい。かばん屋から転身したタイ料理店

          「こんな、食材の組み合わせってありなんや!」 食に保守的なタイ人が、こぞって通う革新的なタイ料理店があると聞いて、友人と行ってみた。 5年前に一号店がオープンしてから、口コミで広まった人気は、衰えしらず。今や、バンコク市内に8店舗をかまえる。 アメリカや日本からも声がかかっている勢いのある店だ。 その店の名前は、Phed Phed タイ語で、辛いを意味する。その名のとおり、スパイシーな東北料理(イサーン料理)が売りである。 東北料理は、タイ料理の中でも、個性が際立

          斬新なのになつかしい。かばん屋から転身したタイ料理店

          タイらしいホスピタリティ。なごんだひととき

          BBQの店、定休日やったわ。場所決まったら、またら連絡する。 タイ人の友人から電話がかかってきた。 日が沈んだにもかかわらず、うなだるような暑さと渋滞。わたしは、バイクタクシーで待ち合わせ場所に向かっていた。 無秩序に入り乱れる車。そのすきまに、車体をねじ込むバイクタクシー。それでも、なかなか進まない。 渋滞と暑さで、頭がどうにかなりそうだ。 しばらくするメッセージが届いた。どうやらホテルのブュッフェへいくらしい。 えらい、グレードアップしたなと思いつつ、目的地変

          タイらしいホスピタリティ。なごんだひととき

          限りある時間。年老いた両親と過ごした春のひととき。

          「あと何度、両親と桜を見ることができるんやろか」 2年ぶりに日本に帰国した。偶然にも、桜は満開。桜を最後に見たのは、7、8年前だっただろうか。 海外ではたらきはじめてから、桜を目にする機会がほぼくなくなり、いつしか桜の存在を、気に留めなくなっていた。 風が吹くと花びらが、ひとつふたつと舞い踊る。花びらは、川の流れにのってどこか遠くへ消えてゆく。今、咲き誇る桜たちも、あと数日で散りさってゆくだろう。 そんな儚いいのちを眺めていると、「親との限りある時間」という現実に、胸

          限りある時間。年老いた両親と過ごした春のひととき。

          おいしいと感じるメカニズム。食文化の一致とダシが秘訣

          「あっ、これいけるかもしれへん」 クアラルンプールに住みはじめて、半年が経った頃、ようやく口に合うものを見つけて、嬉しかった。 苦痛だったランチの時間から解放された瞬間だった。 マレーシアの甘くて、こってりした食事がどうも苦手だった。日本人はたいてい好きなバクテー(角煮みたいな)も、甘くて漢方くさくて、おいしいとは思わなかった。 しかし、ひとつ口に合うものがみつかると、不思議なことに、ひとつふたつ食べられるものが増えてくる。 タイに住んでいた時も、おなじようなプロセ

          おいしいと感じるメカニズム。食文化の一致とダシが秘訣

          旅の視点が日常をもっとおもしろくする。

          「日常をもっと愛する旅ってなんなんだろう?」 旅を旅でおわらせるのではなく、帰ってきてから、日常を、そしてその先の未来をもっとおもしろくしていくための旅ってなんだろう? 車を運転しながら、ポッドキャストを聞き流していたら、その問いかけにピクっと反応した。 クアラルンプールに住みはじめて、もうすぐ3年目。マンネリ気味なわたしの習慣に風穴を開ける問いだった。 普段見過ごす扉を開けてみるあくる日、いつものように近所を散歩していた。 可愛がっている野良犬が、歩いて15分くら

          旅の視点が日常をもっとおもしろくする。

          学生も政治家もみんなとりこ!バンコクの昔ながらの中華麺

          やっぱり、あの店しかないよね。 プロイさんとオーさんは、互いの顔を見合わせてそう言った。 友人にさそわれて、パーティに参加した。知らない人ばかりのパーティでいささか緊張したが、優しいご夫婦からおいしいヌードル屋を教えてもらい緊張の糸がほどけた。 人見知りな私は、初対面の人たちと何を話そうかこまっていた。そうすると、友人がいきなり、タイのヌードル、すなわちクイッティアオについて話しはじめた。 クイッティアオは、タイ人にとっての国民食で、日本人におけるラーメンやうどんみた

          学生も政治家もみんなとりこ!バンコクの昔ながらの中華麺

          タイのバレーボール通訳体験記

          1月28日は大事な試合なんだ。通訳お願いできる? タイ•バレーボールリーグの予選終盤 ダイアモンドフーズ VS ナコンラチャシマ 現在1位と2位のチームがぶつかる大事な試合。予選通過1位を狙うナコンラチャシマの監督からの依頼だった。 チームには、井上琴絵選手という元日本代表のリベロがプレーしている。彼女の通訳をしてほしいとのことだった。 わたしは、42歳。通訳を生業とはしていないし、通訳経験もほとんどない。 一旦は、断ったが、ギリギリになってオファーをうけることにし

          タイのバレーボール通訳体験記

          ちくわのグリーンカレーと大阪のタイ人

          えっ、グリーンカレーにちくわはありなん? 本場のタイ料理が食べられると思っていたわたしは、がっつり日本の食材が入った、なんちゃってタイ料理にがっかりしたのだった。 さかのぼること20年前。わたしは、大阪は堺市にあるとあるタイ人の家にお邪魔していた。 その方の名前は、ヤイさん。友人のタイ語の先生であった。当時、わたしは、大学のフィールドワークで、在阪のタイ人の暮らしを調査していたのだ。 インタビューが終了すれば、おいともする予定だったが、なんと本場のタイ料理をご馳走し

          ちくわのグリーンカレーと大阪のタイ人

          バンコクのミシンおばちゃん。そのリメイク術に惚れた話

          このシャツ、ダボダボやんか! 柄に一目ぼれして買ったブロックプリントのシャツ。店で試着した時は、サイズもぴったりだと思いこんでいた。 お気に入りの柄を見つけたことに興奮していたのと、暑すぎて、冷静な判断ができなかったのだろう。 別のサイズに交換してもらう手もあったが、1000店以上もの店が立ち並ぶバンコクのウィークエンドマーケットである。 どこに店があるかも覚えていない。それに、気づいたのは月曜日。週末はクアラルンプール。万事休す。 ああ、なんか悔しい。 このまま

          バンコクのミシンおばちゃん。そのリメイク術に惚れた話

          近所のインド料理屋でカレーとロティの相性を教えてもろた

          カレーとロティにも、相性があるんだよ。 店員さんにそういわれて、ちょっとビックリした。 カレーだったらなんでも合うと思っていたからだ。 つい先日、 インドの旅が急遽、キャンセルになった。 仕事がはいってしまい、5年ぶりのインドも、泣く泣くキャンセル。 行けないとなると、ますます行きたくなるのが、人間の性。仕方ないので、あることを思いついた。 ---- 近所のリトルインディアへいこう! Google mapでおもしろそうな場所がないか検索。 目に留まったのは、イン

          近所のインド料理屋でカレーとロティの相性を教えてもろた

          自己紹介

          人生おもろかった 死ぬ前に、そう思えたらええな 縁のあった土地での暮らし、出会い 口にしたもの、見たこと、聞いたこと、 気づいたこと、発見したこと 異なる価値観、異なる視点 自分の暮らしにとりいれたらおもしろいかも そんなことを書き留めておいて、読み返そう そう思い、noteをはじめました。 蛯原篤史。42歳 大阪府生まれ クアラルンプールで妻と暮らしています。 2003年〜1年間、タイのチェンマイ大学に留学。 2013年~ 9年間、タイのバンコクではたらく 仕