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妄想1週間

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記事一覧

【エッセイ】妄想1週間 土

【エッセイ】妄想1週間 土

 土曜日には希望がある。
 その希望にすがって日々を過ごす。

 1週間分の洗濯をする間に掃除機をかけた。
 せっかく床を掃除したのに、洗濯物を干すときに髪の毛や糸くずが落ちて、フロアワイパーをかけ直す。

 多少むだな時間の使い方をしても許される。
 土曜日は寛容だ。

 今週の忍たま乱太郎を一気に見た。しばらく見ていないうちに新しいキャラクターで出ていた。
 それにしても、利吉さんはいつもスマ

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【エッセイ】妄想1週間 金

【エッセイ】妄想1週間 金

 水辺が好きだ。
 川や湖や海に強いあこがれを抱いている。なぜかは知らない。いつからかもわからない。
 とにかく水には私を惹きつける何かがある。

 高いところが好きだ。
 高いところを見上げるのも、高いところに上って見下ろすのも好きだ。
 ただ遠くを見るのが好きなだけなのかもしれないが、視界が広くなるところがいい。なぜか胸がざわざわする。そのざわめきの正体は知れない。
 ばかは単純でいいよな、高

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【エッセイ】妄想1週間 木

【エッセイ】妄想1週間 木

 このごろは、先のことを考えて旅の計画をしたり、宿の予約をするのがとてもつらくなった。まずエネルギーがないし、予約したあとにやっぱり行けなくならないかとか、天気はどうかとか、そんなことを心配して疲れてしまう。
 でも出掛けたり宿に泊まるのは好きなので、思い立ったときに今日や明日の予約をして出掛けることが多くなった。

 湖に行くことにした。天気は気にしていなかったが、目が覚めてみると快晴だった。背

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【エッセイ】妄想1週間 水

【エッセイ】妄想1週間 水

 ニャギ(猫)がきている。馬房の裏の戸のところで日向ぼっこをしている。
 上着を着こんで近づくとひょいと立ち上がり、馬屋の奥のほうへ引っ込んでしまった。それなら、と入り口から入っていくと、廊下に座っていたくせにまたひょいと立ち上がって、元の場所に戻る。
 話が違うじゃないか。姉が言うには、休憩用のベンチに座っていたら勝手に膝に乗ってくるから抱っこし放題とのことだったのに。
 面倒になって、抱っこす

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【エッセイ】妄想1週間 火

【エッセイ】妄想1週間 火

 天気予報によると、昼前から雨が降るようだ。広がった傘のマークってことは、それなりの降り方だ。
 かすかに期待して、でも期待しすぎないように、丁寧に眉を描いた。いそいそとおしゃれをする。

 昼前、カーテンのすき間から外を伺ううちに、予報のとおり雨が降りだした。強弱はあるものの、夜まで止まないらしい。
 頃合いをみて、実家にて姉を拾う。あとは2時間のドライブだ。

 1年ぶりの札幌も、雨。
 雨が

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【エッセイ】妄想1週間 月

【エッセイ】妄想1週間 月

 律儀なことに、休みでもいつもの時間に一応目が覚める。少しだけ目を開けて、まぶたが重いのでまた閉じた。
 うつらうつらとし、天井やカーテンのひだを見てまた目を閉じる。今日は起きても起きなくてもいいと思っていたが、さすがに寝ていられなくなり、それでも少し布団の中でねばってから伸びをして起き上がった。昼過ぎだった。
 お茶を飲みながら、いつか誰かにもらった焼き菓子をつまむ。そのままたまった録画を見た。

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