【エッセイ】妄想1週間 火
天気予報によると、昼前から雨が降るようだ。広がった傘のマークってことは、それなりの降り方だ。
かすかに期待して、でも期待しすぎないように、丁寧に眉を描いた。いそいそとおしゃれをする。
昼前、カーテンのすき間から外を伺ううちに、予報のとおり雨が降りだした。強弱はあるものの、夜まで止まないらしい。
頃合いをみて、実家にて姉を拾う。あとは2時間のドライブだ。
1年ぶりの札幌も、雨。
雨が私たちを安心させる。時間をくれる。
なんだかおいしいものを食べて、都会の空気を吸って、キラキラしいものを見るだけで、自分が充たされる気がする。高揚する。
前から欲しかったちょっといい腕時計を買った。通勤カバンも買ってしまおうか(今使っているのはインクがついて黒く汚れてしまった)。
ああ、生きている。時どきこんな思いをしないと、生きながら死んでいくようだ。
金魚鉢の水面で口をぱくぱくさせる金魚はこんな気持ちなのかもしれない。
夜の高速道路を走る。
ほんとうにたのしかっね、また来ようと言いあったあと、姉は黙り込んだ。ちらりと見ると、口を開けて寝ている。姉は今日、気に入った上着を買った。
手元のコーヒーを飲む。車線変更、アクセル、ワイパー。ライトは遠目。対向車がくる。近目。雨はほとんど止んでいる。
帰りが遅くなったが、気にしない。だって、気が済むまで(疲れるまで)街を歩いたのだ。お土産はシュークリームとフルーツサンド。
今日は、札幌に行った。
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