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#風

かの國|詩

かの國|詩

「かの國」

伸ばした指さき
すり抜けゆく風の影
追い果てたどるや
薄紅の微睡みに抱かれて

健やかであれ
唄い流れる水の音

懐かしさに類義した
温もり愛しさと名付けて

風と共に|詩

風と共に|詩

「風と共に」

影ゆらし離れてく渡し舟
見つめる瞳の虚ろに溶けてゆく

霞みな岸辺はいつかの浜辺
まちがい探しなどしなくてもいい

荒れ狂う波から逸らさずに
限りを尽くして睨んでこその
あの、
水の境の美しさ聴こゆ
風と添い寝する海鳥のように

根なし草の幽鬱|詩

根なし草の幽鬱|詩

「根なし草の幽鬱」

弧をかく落ち葉の憂鬱しらず
水面じゃアメンボが影踏み遊ぶ

根なし草の想い出いくつ
指折りかぞえて言葉があまる

明日は
天気になるのだろうか……

遠くに映る名もなき丘には
名もなき風が吹いていた

君は知っていた|詩

君は知っていた|詩

「君は知っていた」

小さな笑い声と涙たちが
長い時をかけひとつの物語になる

あの日、君と出会った姿で
僕はひとりこの街へと帰ってきた
朽ち果てた換気扇の下
脳裏に転がる路地裏の風

ピン刺したポイントを指でなぞると
妙に全てのことが腑に落ちた
君が託した願いの意味と
僕を待たずしてこの街を去った理由

あの頃と同じ空に手をのばす
独り、此処から……