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記事一覧

固定された記事

【随筆】 余毒を余得へ

 とある女性が「付き合うってことはその後結婚するか別れるかの2つしかないよね」と言っているのを聞いた。恋愛的に付き合うということは現在多種多様になり一概にそうと…

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【短篇集の雑感】 たらちね芙蓉「歓楽街のアリス」

歓楽街のアリス 母と母娘二人でラウンジを営んでいる主人公アリス。日常の社会生活からはみ出した夜の世界を、ラウンジで働きながら垣間見るのを好み、「昼の世界なんて、…

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【詩的実験】 雨を待つ

あなたのプシュケーはもっともらしい正義でわたしを縛りつける。 凛々しい浄玻璃がするような眼の反射で屋根を焦がす。 わたしはその熱々の屋根の上で体育座りをし平然と空…

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【自由律俳句】 vol.1

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【随筆】 エンターテインメント試論

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【詩的実験】 告白と決意

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【詩の雑感】 ボオドレエル「幽霊」(堀口大學訳)

 今回の詩の雑感で取り上げる詩はボオドレエル「幽霊」(堀口大學訳)である。  私はまず、最初の「褐いろの眼せるかの天使等の如く、」で躓いた。褐色の目をした天使ら…

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【数学コラム】 コーシー・シュワルツの不等式

 2回目の数学コラムです。今回は大学数学以降によく出てくる「コーシー・シュワルツの不等式」を取り上げます。ですが、コラムではまず最初にコーシー・シュワルツの不等…

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【随筆】 フェミニズムに対する雑感

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【随筆】 エッセイが書けない

 最近、エッセイを書く頻度が減少した。なかなかエッセイを書くことができていない。  「エッセイ」という言葉を辞書で調べてみると次のように書いてあった。  また、…

憂
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【詩の雑感】 西脇順三郎「手」

 今回「詩の雑感」で取り上げる詩は西脇順三郎の詩集「ambarvalia」(1933)から「手」である。  この詩「手」はギリシア的抒情詩と題された詩の集まりのうちの一つであ…

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【随筆】 嫌いな本に出会ったとき

 本を読んでいて嫌いな本に出会うことがある。主張が独りよがりだったり、小説だとメッセージ性が強く見え過ぎたりする場合である。そのとき、その本を読むのを途中で辞め…

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11日前
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【詩の雑感】 瀧口修造「レダ」

 今回の「詩の雑感」で取り上げる詩は瀧口修造「レダ」(1937)である。  タイトルの「レダ」は、ギリシア神話で、スパルタ王テュンダレオスの妻「レダ」のことを指して…

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【掌編小説】 女のコート

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【詩の雑感】 加藤周一「四つの四行詩」

 今回の「詩の雑感」で取り上げる詩は加藤周一「四つの四行詩」(1942)である。  「野の径の尽きる彼方に / 山裾に 白壁かげる」というセンテンスで1つ目の四行詩は始…

憂
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【詩的実験】 蒸されるわたし

橙色の日射にも似た香りだかい箱 わたしはその箱に遊びに行く 思考が麻痺して心地よくなる 皆の感覚を裏返し凍りつかせるような箱 わたしはその箱に遊びに行く ただただ研…

憂
4週間前
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【随筆】 余毒を余得へ

【随筆】 余毒を余得へ

 とある女性が「付き合うってことはその後結婚するか別れるかの2つしかないよね」と言っているのを聞いた。恋愛的に付き合うということは現在多種多様になり一概にそうとは言えないが、その女性にとってはそうなのであろう。そのように、付き合うということを目的である結婚の手段と捉えてしまうと、その交際は無味乾燥なものになりかねない。
 恋愛における交際は、普通における人との交際とは異なり、お互いが深く関わる。よ

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【短篇集の雑感】 たらちね芙蓉「歓楽街のアリス」

【短篇集の雑感】 たらちね芙蓉「歓楽街のアリス」

歓楽街のアリス 母と母娘二人でラウンジを営んでいる主人公アリス。日常の社会生活からはみ出した夜の世界を、ラウンジで働きながら垣間見るのを好み、「昼の世界なんて、取り繕っている人間の世界にしか見えなくて何もよく思えない」と思っている。
 ある夜、道で大学生と思われる男に「君はなにを追いかけてるの?」とアリスは問われる。アリスは自分が鳥籠の中の鳥であることに気付かず、その質問には何も答えずに意気揚々と

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【詩的実験】 雨を待つ

【詩的実験】 雨を待つ

あなたのプシュケーはもっともらしい正義でわたしを縛りつける。
凛々しい浄玻璃がするような眼の反射で屋根を焦がす。
わたしはその熱々の屋根の上で体育座りをし平然と空を見上げるように強いられる。
わたしはただただじっと、雨が降るのを待ち続ける。
ここは規則的に雨が降る地域なのでそんなに長く待つ必要はない。
雨が降るとあなたは、濡れてしまうから家に入ろう、と優しい顔をして言う。

わたしは雨の日だけにあ

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【詩の雑感】 ボオドレエル「幽霊」(堀口大學訳)

【詩の雑感】 ボオドレエル「幽霊」(堀口大學訳)

 今回の詩の雑感で取り上げる詩はボオドレエル「幽霊」(堀口大學訳)である。

 私はまず、最初の「褐いろの眼せるかの天使等の如く、」で躓いた。褐色の目をした天使らとはどのようなことか。原文を見てみると「褐いろ」の部分は"fauve"の訳で、"fauve"は他に「野獣のような。荒々しい。」という意味もある。後者の方がしっくりくる気がするが、「褐いろ」と訳した堀口氏の意図は如何に。それにしても、荒々し

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【数学コラム】 コーシー・シュワルツの不等式

【数学コラム】 コーシー・シュワルツの不等式

 2回目の数学コラムです。今回は大学数学以降によく出てくる「コーシー・シュワルツの不等式」を取り上げます。ですが、コラムではまず最初にコーシー・シュワルツの不等式の簡単バージョンをみていきます。これを理解することで、拡張されたコーシー・シュワルツの不等式の雰囲気も掴むことができると思います。

 今回、まず証明する不等式は以下の不等式です。

 この不等式の成立は高校1年生で習う数Ⅰの範囲で証明す

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【随筆】 エッセイが書けない

【随筆】 エッセイが書けない

 最近、エッセイを書く頻度が減少した。なかなかエッセイを書くことができていない。

 「エッセイ」という言葉を辞書で調べてみると次のように書いてあった。

 また、「随筆」という言葉を調べると次のようなことが書いてあった。

 辞書によるとエッセイ・随筆は「自由な形式」で書いたり、「筆にまかせて」書いたりするものである。そう言われると気は楽になるが、とはいえ、なかなか書けない。

 そもそも、最

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【詩の雑感】 西脇順三郎「手」

【詩の雑感】 西脇順三郎「手」

 今回「詩の雑感」で取り上げる詩は西脇順三郎の詩集「ambarvalia」(1933)から「手」である。

 この詩「手」はギリシア的抒情詩と題された詩の集まりのうちの一つである。この詩の全体を通して感じるのはギリシアにおける人類の歴史である。つまり、この詩の主人公は人類である。

 まず一行目の「精霊の動脈が切れ、神のフイルムが切れ、」について考える。「精霊」とは草木、動物、人、無生物、人工物な

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【随筆】 嫌いな本に出会ったとき

【随筆】 嫌いな本に出会ったとき

 本を読んでいて嫌いな本に出会うことがある。主張が独りよがりだったり、小説だとメッセージ性が強く見え過ぎたりする場合である。そのとき、その本を読むのを途中で辞めてしまう。それでいいのか、という気持ちが私の頭の中を漂う。

 きっと二度とその作家を読むことがない。なので、その作家について論じる資格は私にはない。

 嫌いだと感じる作家でも、どうして嫌いと感じるのか調べるためにある程度その作家の本を読

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【詩の雑感】 瀧口修造「レダ」

【詩の雑感】 瀧口修造「レダ」

 今回の「詩の雑感」で取り上げる詩は瀧口修造「レダ」(1937)である。

 タイトルの「レダ」は、ギリシア神話で、スパルタ王テュンダレオスの妻「レダ」のことを指していると思われる。ギリシア神話に全く詳しくない私は、ただただ詩に書かれていることから感じたことを書く。

 最初に「突風は貝殻をコップのように空虚にする」ときて、読者に理解の出鼻をくじく。「貝殻」が登場するということは舞台は海辺か。「貝

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【詩の雑感】 加藤周一「四つの四行詩」

【詩の雑感】 加藤周一「四つの四行詩」

 今回の「詩の雑感」で取り上げる詩は加藤周一「四つの四行詩」(1942)である。

 「野の径の尽きる彼方に / 山裾に 白壁かげる」というセンテンスで1つ目の四行詩は始まる。これは自然豊かな村で日が暮れてきて影が伸びてきていることを表わしていると思われる。
 次に「村は瞻る」とくる。「瞻る」とは「目を見張ってよく見る。注視する。見つめる。」という意味である。夕暮に訪れる穏やかではないきりっとした

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【詩的実験】 蒸されるわたし

【詩的実験】 蒸されるわたし

橙色の日射にも似た香りだかい箱
わたしはその箱に遊びに行く
思考が麻痺して心地よくなる

皆の感覚を裏返し凍りつかせるような箱
わたしはその箱に遊びに行く
ただただ研ぎ澄まされる身体を感じる

これまでの一切を拭き取り、噴出したすべてを取り戻すかのように水を飲む
椅子に座り、翻ったからだを受け入れる

心地良い空虚

そしてまた、スタート地点に戻る