AI見守りシステム『hana-an』。あおむけ寝で、乳幼児突然死症候群(SIDS)を防げ!
こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気をご存知ですか?
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、それまで、すくすく元気に育っていた赤ちゃんが、ある日、眠っている間に突然死に至る病気です。
赤ちゃんが突然亡くなることは、先天性の病気や窒息事故、感染症などによっても発症する場合がありますが、乳幼児突然死症候群(SIDS)はそれら3つとは違い、既往歴や予兆も何もない赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなる、原因の分からない病気です。
日本での乳幼児突然死症候群(SIDS)が発生した件数は減少傾向ですが、2022年は47人の赤ちゃんが乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなっていて、1歳未満の赤ちゃんの亡くなった原因としては第4位となっています。
発症するのは、乳児期の赤ちゃんに多い傾向ですが、極めて稀に1歳以上でも発症する場合があって、その大半が寒い時期に起きています。
この様に突然起きて、赤ちゃんが亡くなる、乳幼児突然死症候群(SIDS)。今それを防ごうと、あるAIシステムが導入されつつあります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息のリスクがある赤ちゃんのうつぶせ寝を予防しようと、睡眠中の見守りにAIシステムの活用がスタートしました。保育士とのダブルチェックで予期せぬ事故から幼い命を守りたいと思っています。
保育園などの業務の効率化で事務作業の負担が減って、赤ちゃんと向き合う時間を増加できる期待もあります。
AI見守りシステムは、国立研究開発法人理化学研究所(理研)発のベンチャー企業「リケナリシス」が開発しました。AIシステム名は『hana-an(はなあん)』で、2023年8月、首都圏の各地で導入がスタートしました。
今回は、乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐことに大いに繋がるかもしれない、『hana-an』を発信します。
『hana-an』ができること。実際に検知したケースも
東京都港区にある「にじのそら保育園芝浦」で、0~2歳の赤ちゃん9人が横になって寝息を立てていました。天井からAIシステムの小型カメラが、様子を撮影していました。
AIシステムには、1億枚超の赤ちゃんの画像を学習させていて、撮影した寝ている姿は、横向き、うつぶせ、あおむけなどと即時に分析します。うつぶせ寝が50~60秒続くと、アラームで保育士にアナウンスし、1台で同時に12人までの見守りが可能だといいます。
こども家庭庁によりますと、2015~2022年の8年間で赤ちゃんが保育園などで睡眠中に亡くなった事故はトータル41件で、食事中や水遊びなどを含めた亡くなった事故全体(計65件)の6割を占めています。
国などは保育園などに、医学的な理由で医師がうつぶせ寝を推奨する場合以外は、あおむけ寝の徹底を要求しています。睡眠中は、保育士が赤ちゃんのそばで顔色などを観察し、記録をつけなければなりませんでした。
東京都は、睡眠中の赤ちゃんの顔色や姿勢、呼吸の有無などに関して0歳児は5分置き、1~2歳は10分置きの記録と確認を保育施設に推奨しています。従来、保育士が手作業でタブレット端末にそれぞれの項目を入力していましたが、AIを活用できれば自動的に記録することも可能です。
画像引用・参考:hana-an
『hana-an』は、タブレット端末やカメラ、工事費を含めて初期費用はおよそ50万円かかります。月額利用料は赤ちゃん12人まで1万円です。国・自治体の補助金が使用しています。遠隔管理で、「リケナリシス」は、将来日本各地への『hana-an』の普及を図りたいといいます。
実際にこの『hana-an』を導入した保育施設では、なかなか寝付けない赤ちゃん1人のために保育士が絵本を読み聞かせていたところ、うつぶせ寝を知らせるアラームが鳴りました。
ほおづえをついて絵本を見ていた赤ちゃんはいつの間にかうつぶせで寝ている状態になっていました。保育士は赤ちゃんと横並びで絵本を読んでいたため、眠ったことにすぐに気付きませんでした。AIの警告が役に立った参考ケースです。
「リケナリシス」の代表取締役の男性Aさんは、「保育士の方が子ども達にもっと寄り添える環境を構築したいです」と説明しました。
『hana-an』のデメリットはあるのか?
一方で、AIに頼りっ放しではいけないと危惧する声もあります。
保育学が専門の大妻女子大学の准教授の男性Bさんは、
「AIはヒューマンエラーを予防することに役立ちますが、あくまで保育士をサポートする道具であり、人間の代わりにはなり得ないでしょう」
と危惧しました。
にじのそら保育園芝浦の園長も、
「AIに任せきりにするのでなく、職員とのダブルチェックで、睡眠中の事故を阻止したいです」と、述べました。
乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防する方法として、国は、
①なるべく母乳で育てる
母乳育児が赤ちゃんには、様々な点でメリットがあることはよく知られています。母乳で育っている赤ちゃんの方が乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が低いということが専門家の実態調査から明らかとなっています。できるだけ母乳育児をしていきましょう。
②1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、あおむけ、うつぶせのどちらでも発症しますが、うつぶせに寝かせた時が乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が高いことが専門家の実態調査から明らかです。
医学上の理由でうつぶせ寝を推奨されている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。
あおむけ寝は、睡眠中の窒息事故を予防する上でも有効な寝かせ方だといえます。
③喫煙はやめる
タバコは乳幼児突然死症候群(SIDS)を発症する大きな危険リスクです。
妊娠中の喫煙はお腹の赤ちゃんの体重が増えづらくなって、呼吸中枢にも鮮明に良くない影響を及ぼします。
妊婦自身の喫煙はもちろん、パートナーは妊婦や赤ちゃんの近くでの喫煙は止めてて下さい。これは、パートナーなどの理解も大事なので、日頃からタバコを吸う人に協力を求めていきましょう。
と、公式サイトにて告知しています。
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、本当に何も前触れもなく、起こる病気です。まずは、家でAIシステムの導入は難しいと思うので、うつぶせに寝かせないなど、できることから予防していきましょう。
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