白昼の海、夢を見ていた。
いつからここに居るんだろう?
あぁ そうだ。
わたし…。
あなたに伝えたい言葉があった。
あなたに届けたい想いがあった。
あなたにひとこと伝えたくて。
あなたに少しだけ近付きたくて。
「引き換えに『ナニカ』を。」
あの人の声が聴こえてきた。
差し出された、色とりどりの宝石で飾り付けられた、魔法の貝殻。
反射する光に、目がくらみそうになる。
誘うような、その言葉。
貝殻がわたしを見て、カラカラと嗤う。
答えは、簡単。
迷いはなかった。
わたしは君に近付くために、「力」を手に入れた。君とわたしは違う「イキモノ」。
これがなきゃ、君は振り向いてくれないでしょう?
だけど、「声」を失った。
あの、ギラついた魔法の貝殻に閉じ込められてしまった。
わたしは、歌うのが好きだった。
歌を歌っている時は、わたしが「わたし」で居られる時間。身体中に血液が廻って『生きている』を感じられる。
まるで『ここにいるよ!』って外側の世界に叫んでいるみたいな、そんな感じ。
ジリジリと灼ける音が聴こえそうな、あの夏の日。
夕陽が沈もうとする浜辺に、寂しそうにギターを奏でる君を見付けた。
君は毎日まいにち、空が宙になるまで、ギターを奏でていた。ギターの音色は次第に力強くなり、君は時々、震えるような声で詩を歌った。
その『生きている』声が、この場所まで届いたんだ。
そしていつか、君の隣で歌うことが、わたしの夢になっていた。
その夢は、もう、叶わないかもしれないけど。
君に近付けるなら、それでもいい。
手に入れた「力」は、わたしにはまだ制御できない。「力」には「遣い方」がある。
『早く覚えなくちゃ。』
気持ちだけが、急ぎ足で零れ落ちていく。
ガラスに映る自分の姿が目に入った。前より「普通の」人間みたいに見えた。なんとなく、悲しい顔をしているようにも見えた。
でも、いいんだ。君にひと目でも、逢えれば、それで。
魔法の貝殻を、虹色の鍵でパチリと閉じながら、あの人はこう言っていた。
「『力』を魔法のように扱えるようになるには、『知識』と『時間』が必要よ。『ダレカ』に見つかってしまったら、アナタは星になってしまうからね?」
「力」はまだ制御できない。声も、出ない。
わたしは声にならない声で、メロディを口にした。
この哀しみを、打ち消す魔法を唱えるように。
あなたに伝えられない言葉を、隠して。
君に伝えたい言葉を、宙に、浮かべながら。
☆彡 Inspired music by 『#春とギター』 ☆彡
『人魚姫』
作詞:すうぷさん 作曲:みすてぃさん
見据茶(みすてぃ)さん作曲 ver.
作詞されたすうぷさん歌唱 MV ver.
見据茶(みすてぃ)さんのnoteはこちら♪
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お借りした素敵な見出し画像はriraさん作♪noteはこちら〜♪
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大事な大事な、募集要項貼り付け忘れたことを、ここに謝罪いたします…。
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