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バックパッカーズゲストハウス

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二〇〇九年、二十七歳の時に、秋葉原にあるゲストハウスへ四ヶ月滞在したときの旅行記です。 著者の記憶違い、主観が多分に含まれています。また、主に登場人物に関して名前や設定を故意に…
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2021年7月の記事一覧

バックパッカーズ・ゲストハウス(58)「猛るゴリラ」

バックパッカーズ・ゲストハウス(58)「猛るゴリラ」

前回のあらすじ:「錦糸町にはダイソーがある」そんな情報だけを頼りに街を探索してみた。暇人を極めつつあった。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 私はイタリアンのバイトを辞めてから、ブラブラする範囲を秋葉原、上野から広げてさらにアッチコッチ歩いた。
 神保町は本の街だと聞いて行ってみたが、置いている物が渋すぎて私には価値

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バックパッカーズ・ゲストハウス(59)「大量発生する坊主」

バックパッカーズ・ゲストハウス(59)「大量発生する坊主」

前回のあらすじ:その辺をぶらぶらほっつき歩くだけの生活にも飽き、上野動物園での求人を見つけ、バイトの面接へ行った。動物園ではオスのゴリラがメスゴリラに怒られていた。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 上野動物園の面接に落ちて、その後に受けた渋谷の手作りアクセサリー工房の面接も続けて落ちた。用がないのであまり行くことが

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バックパッカーズ・ゲストハウス(60)「飛び越えてゆけ」

バックパッカーズ・ゲストハウス(60)「飛び越えてゆけ」

前回のあらすじ:ゲストハウス内では穏健派と坊主頭をトレードマークにする過激派による対立が表面化しつつあった。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 普段あまり面白く思っていない人間がなにかおかしなことをやると、なんかムカつく。中尾の奇行や、ヨシノブが間延びした喋り方で、ダラダラと、「やれオレンジレンジと俺はこういう関係だ

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バックパッカーズ・ゲストハウス(61)「始発を待つ間に」

バックパッカーズ・ゲストハウス(61)「始発を待つ間に」

前回のあらすじ:生活リズムや価値観の違いから、住民間に不穏な空気が漂いだしたゲストハウス内で、「ボヤ騒ぎ」と、「扉前に人糞が落ちている」という事件が立て続けにおこった。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 会話はクソから、ヨシノブがソバ屋でオーダーを受けるときに使う端末の操作が難しいという話題にすぐに切り替わった。その

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バックパッカーズ・ゲストハウス(62)「洗濯物を干す男とカレーを売る男」

バックパッカーズ・ゲストハウス(62)「洗濯物を干す男とカレーを売る男」

前回のあらすじ:同じゲストハウスに住むインドネシア人「ニキ」に誘われて別のゲストハウスへ遊びに行った。ゲストハウスに住み、ゲストハウスへ遊びに行く。ゲストハウスを愛し、ゲストハウスに愛されし男達のロマンスが展開された。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 恭平は、コミュニケーション能力があり、大人で、ゲストハウスに入居

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バックパッカーズ・ゲストハウス(63)「不埒な競馬観戦の仕方」

バックパッカーズ・ゲストハウス(63)「不埒な競馬観戦の仕方」

前回のあらすじ:ずっと空き店舗になっていたゲストハウスのある雑居ビル1階に、ある日カレー屋が出来ていた。そこに住人のニキがいるのを見つけて入ってみると、『大盛り無料』『ビール一杯無料』という過剰なサービスを受けた。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 東京での生活が三ヶ月もする頃には、望み通りに倦んだものが溜まって来た

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バックパッカーズ・ゲストハウス(64)「道は聞かれない」

バックパッカーズ・ゲストハウス(64)「道は聞かれない」

前回のあらすじ:後楽園の場外馬券場でダービーを観戦し、見事な馬券戦術で負けを回避した。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 東京でおこなったギャンブルはこれだけ。愛媛を発つまでは、競輪に手を出していたが、東京滞在中はまったくやらなかった。新宿から姿を消した龍が立川方面に住んでいたので遊びに行ったことがある。そう遠くない

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バックパッカーズ・ゲストハウス(65)「レインボーブリッジからの夜景」

バックパッカーズ・ゲストハウス(65)「レインボーブリッジからの夜景」

前回のあらすじ:友人の龍が住居を立川方面に移していたので、そこへ会いに行った。あと東京の道端で声を掛けてくるヤツは変は大体勧誘。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 ある日、東京を離れる前に見ておきたいものがあることを思い出してお台場へ行った。いつも行動が遅いのを自戒して、夜景が見たかったが、日が暮れるまでには大分余裕

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バックパッカーズ・ゲストハウス(66)「100円マックで夜を明かす人々」

バックパッカーズ・ゲストハウス(66)「100円マックで夜を明かす人々」

前回のあらすじ:お台場の夜景を見に行くというロマンチック行事をひとりでこなした。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 四ヶ月も一緒に住むと、赤の他人だったやつでも、何となく些細なことが分かるようになってくるらしい。私はある日、夜中に手紙を書こうと、ゲストハウスから一番近いマクドナルドへ行き、そこで一〇〇円のコーヒーで夜

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バックパッカーズ・ゲストハウス(67)「『痛い! もっとやって!』と叫ぶ夜」

バックパッカーズ・ゲストハウス(67)「『痛い! もっとやって!』と叫ぶ夜」

前回のあらすじ:四ヶ月間のゲストハウス暮らしにも終わりが見えてくる頃には、住人たちに僅かなテンションの上がり下がりも見抜かれるような近しさがうまれていた。【これまでのお話https://note.com/zariganisyobou/m/mf252844bf4f2

 七月の前半に、ゲストハウスの暇な連中で、神田川沿いを夜通し歩く、「夜のピクニック」的なイベントが、例によって中尾を中心に企画され

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