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種麹屋の日常思考記

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発酵に関係ない日常思考はこちらに入れていきます。
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#醸造

拙著『ビジネスエリートが知っている教養としての発酵』の『はじめに』をご紹介します

拙著『ビジネスエリートが知っている教養としての発酵』の『はじめに』をご紹介します

久しぶりのnote投稿になってしまいました。

さて、2024年1月16日に、あさ出版様から、初の著書『ビジネスエリートが知っている教養としての発酵』を上梓いたしました。

さて、どんな内容なのかというお話しも良く聴かれますので、ここでは、発刊への思いも含めて、『はじめに』をご紹介させていただきます。

どんな本なのか、是非、ご興味を持たれたら、ご購入いただければ幸いです。

『はじめに』

はじ

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日本酒生産に関わる、醸造家と農家以外の人々

日本酒生産に関わる、醸造家と農家以外の人々

トヨタ自動車の豊田章男社長が会長へと引退されるとのことです。

とのこと。自動車業界は自動車メーカーだけではなく、ガソリンスタンドの店員さんやメンテのエンジニアさんなどもいらっしゃいます。それら全てを合わせると550万人が自動車業界にいらっしゃるそうです。

そこで、「発酵産業」って何万人がいるのだろうと。正直なところ、中小企業が多く、正確大規模な統計は中々難しいのが現状です。

そこで、「発酵」

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発酵という『中動態』の営み

発酵という『中動態』の営み

今日は、発酵について。

山口周さんと原研哉さんの対談記事の中で『中動態』という言葉が出てきました。

発酵・醸造はまさにこの「中動態」の表現が多いと感じます。

味噌を造るというと能動的で、味噌の立場に立てば「味噌として作られる」が受動態でしょうか。

しかし、私が種麹の営業の前線にいたときなど、お客様の表現として「味噌になる」「醤油になる」といったような、「~になる」という表現を、自然と用いる

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そもそもAspergillusってなに?

今日は、発酵?の話し。

麹菌がAspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼー)と呼ばれるのは割と知られています。(知られているのか?)

では、そもそも、Aspergillus(アスペルギルス)って何かご存じでしょうか。

それは、アスペルギルムという聖水を撒く道具に由来します。実物を見た方が早いと思うので、なんとAmazonで売っていたのでリンクを張っておきます。

麹菌がこの

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国税庁がサケビバをやるのは税収目的?

国税庁がサケビバをやるのは税収目的?

国税庁主催のビジネスコンテスト、サケビバが、「税収増加のために若者に酒を飲ませる企画」として批判を集めていることについて。ボリューミーな記事ですが、読んでいただければと思います。およそ、20分程度と予想されます。

また、最初にポジションをはっきりしておくと、私は、種麹という日本酒や焼酎、泡盛の製造に欠かせない麹菌を商品化したものを販売する事業を600年ほど家業で行っている、従業員30名以下の小規

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現代人が、趣味として『麹をつくる』意味 vol.1 『五感』

現代人が、趣味として『麹をつくる』意味 vol.1 『五感』

最近、リーダーシップ論とかばかりだったので、久々に発酵・麹に戻ります。

今日は、現代人が、趣味として『麹をつくる』ということの意味合いについて、自分なりに思うところを書いてみます。

人間には五感がある五感を通じた体験、といいますが、五感について確認しておきましょう。

五感とは

目・視覚、耳・聴覚、鼻・嗅覚、口・味覚、皮膚・触覚

となります。

それぞれ、

目は光を、耳は音波を、鼻は気体

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食べ物の「顔が見えてる率」を上げていく

食べ物の「顔が見えてる率」を上げていく

今月発売のPenにて、大学同期でビジネスデザイナーの菊池紳君が掲載されていました。

(ちなみに、発酵特集では小泉武夫先生、舘博先生が解説をされています。ご興味のあるかたは是非ご覧下さい。)

その中で、菊池君が新型コロナで生じた買い占めなどの現象について、こうコメントしていました。

「少し考えれば、野菜が足りなくなるはずはないと分るのにそうなったのは、生活者が売り手を信頼していないから。自分が

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一般の方が、麹の論文を読むときに注意すること

久しぶりに麹の話です。

麹に多くの方が関心を持って下さっています。ありがたいことです。

そして、インターネットの検索機能も充実し、これまで専門誌や学会など出発表されていた論文も、一般的な検索でヒットする本数も増えてきました。

そして、研究機関の研究者や、醸造メーカーの技術者ではない、一般の方からも最近「え?こんな論文まで読まれているの?」というような質問を受けることが増えてきました。

「こ

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『発酵を学ぶということ』の多様性 文系・理系・アートの狭間に

『発酵を学ぶということ』の多様性 文系・理系・アートの狭間に

今日は発酵を学ぶ多様性という話。noteを見ていたところ、(リンクを張ろうかどうか迷いましたが、直接張ることは避けます。)現役の大学生でしょうか。

「私は発酵を社会との関わりから学びたかったのに、理系の発酵学科に進学してしまった。苦手な理科の実験に取り組むのは苦痛でしかない。せっかく、理系に来たのに、流通系のゼミで社会学的なことを卒論にする。でも、それが自分のしたいことだ。」

というような内容

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