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変化に気付き行動できるためには? 「ゆでガエル理論」に学ぶ変化対応の視点

「なるほど、変化に気付くには『お坊さんの視点』が必要ということか」

今年はコロナの影響で、激動の一年でした。世界中の人にとって「激変」の一年だったかと思います。環境変化によって、価値観や思考、生活行動、習慣も変わっていきます。この「環境変化」をいかに把握し、その変化に適応していくことが重要です。

こうした「変化」について、先日、あるお話を聞き、なるほどという気づきがありました。コロナ含めて、これからさらに世の中は変化し続けますが、そこにどう適応していくべきかについて考えます。

お坊さんの視座

先日聞いた話はこんな内容でした。

あるお坊さんがいました。
そのお坊さんは「山に入る」という言葉を村人に残し、山にこもりました。
お坊さんはそのまま3年間、山で暮らしました。
お坊さんが山から下りて来た時、村人がお坊さんに言いました。
「お坊さん、どうですか久しぶりの下の世界は?
 3年も山に登ってたので変化が分からないでしょう?」

するとお坊さんはこう言いました。
「3年山に上っていたから、変化が分かるんですよ」

このお話は「変化」の真意を教えてくれています。変化とは「ある状態・位置から、他の状態・位置に変わること」という意味です。つまりはギャップですね。村人はずっと村にいるので、村の変化を全て掌握していると思っています。しかし、実はその変化はいずれも小幅な変化すぎて、ギャップを掴み切れていません。一方で、お坊さんは一定期間村から離れていたのでそのギャップを明確につかめるということです。

近視眼的に情報に触れ続けるのは重要な変化を見落とすリスクがあることを教えてくれるお話かと思います。

ゆでガエル理論


ゆでガエル理論という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

ゆでガエル理論
カエルは急に熱湯に入れると驚いて逃げ出す。一方、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後には死んでしまう。

この理論はゆっくりと進む環境変化や危機に対して、タイミングよく適応・対応することの難しさを表す言葉です。ビジネスのシーンでも見聞きすることもあります。

ちなみに、実際にはカエルを熱湯に入れると逃げ出す間もなく死んでしまうそうで、常温から徐々に水温を上げていくと、途中で逃げ出すそうです。ですので、科学的に根拠がある話ではありませんが、変化対応の難しさを伝える話としては非常にイメージしやすい話かと思います。

コロナにおける感染者数も背景にこの理論が見え隠れします。非常事態宣言のように誰の目にも分かる「変化」はその対応を誰もが守り、一定の効果がありました。しかしその後、じわじわと感染者が増え、今また大きな危機に直面しています。この直近1-2か月の人の動きは正にじわじわと増えるという変化です。目の前の生活は大きくは変わりませんし、皆感染対策もそれなりにちゃんとやっている自覚もあるでしょう。でも、確実に変化しています。

ゆでカエル理論という言葉を使って指摘される点は、環境変化や危機が確実に進行していることに、実は本人も気付いていることが多いという点ではないでしょうか。分かっているけど変われない。そこにはどんなメカニズムが働いているのでしょうか。

人は変化を嫌う

心理効果として「現状維持バイアス」という言葉があります。これは変化や未知のものを避けて現状維持を望む心理作用のこと。 現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまうことです。

人はもともと変化を嫌います。変化には今まで居心地のよかった安定した環境を失うリスクが伴います。それゆえ人はなかなか変われません。気付づいていながらも、「今のままがここちよい」と思ったり、「そのうちに何とかなる」と楽観視しているうちに、重大な事態に発展しかねません。

「ゆでガエル現象」の回避の仕方

出来ることなら「ゆでガエル」に陥らないようしたいものです。私たちは何に気をつけるべきなのでしょうか。そのヒントを3つ挙げてみます。

1.鳥の目で見る

「今の状況」を客観的な視点で捉えることが重要です。先の寓話で言うところの「お坊さんの視点」、もっと言うと「鳥の目」です。なるべく高い視座から物事を見て、冷静に状況を把握する事が大切です。

コロナのケースで言うと、低い視座で見ていると「Gotoキャンペーンを使わないともったいない」と言った目の前の損得を軸に判断しがちですが、高い視座で見ると「今の感染者数の伸びを考えたら週末のお出かけは自粛しよう」と冷静に判断できます。

2.自分に「問い」を立てる

変化へ適応・対応するということは「変化に気づく→行動する」というアクションの繰り返しです。この「気付く」には頭の中に「!?」が浮かばなければなりません。それは世の中の変化に気づいて「!?」が頭に浮かべば良いですが、目の前を風景のように流れる日常の中ではなかなか難しいです。そんな時に役立つのが「問いを立てる」ということ。

 「現状のまま進んでよいのか?」
 「そもそも自分はどうなりたいのか?」
 「この状況で自分にできることは?」
 「自分に求められているものは?」
 「自分が成長するために何をすべきか?」


自分に向けて「?」を問うことで、このままではいけないという意識が芽生えたりします。現状を無闇に肯定せずに、状況が少しでも良くなるために自分ができることに思いを巡らす。そのためにも自分に「?」を問うことは有効です。

3.優先順位を変える
ゆでガエル現象を避けるには、自分の中に「変化」を作る事が大切です。そのテクニックとして、自分の日々の行動の優先順位を見直すという手法があります。

優先順位は自分がしたいこと、周りからの要請でしなければならないこと、それが今すぐなのか、未来に向けてなのかなどで決まります。「自分-自分以外」「今-未来」という軸でマッピングできますが、日常の中で意識するのは難しいです。

そこで使えるテクニックとして、意図的にいつもと違う行動をとるという手法があります。「たまには自分優先で動いてみる」「たまには先延ばしにしてみる」「あえてやめてみる」など、自分が日ごろ取らない行動をあえてすることで、その行動の意味を考えるきっかけになります。

まとめ

我々は日々それほど変わらない毎日を暮らしていますが、世の中は少しずつ変化しています。その潮流を掴み、自分でその変化に適応・対応していかなければ、時間が経った時に大きな問題に発展しかねません。

変化に気付くためにはより高い視座で物事を見る意識、そして積極的に自分の中に変化を取り込むマインドセットが必要です。その時に使えるツールとして「問いを立てる」と「行動の優先順位を変える」などが活用できます。

人は変化を嫌う生き物ですが、「変わる」ことがデフォルトになれば、変わらないことが違和感になるとも言えます。積極的に自分をアップデートし、変化を自分のものにすることで、環境変化に後れをとらない自分に近づけるのではないでしょうか。

「ゆでガエル」に陥ってしまうリスクは、誰にも等しくあります。どんな環境変化にも適応していけるように「カエルになる」のではなく「自分を変える」ことを意識していきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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