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往復書簡

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画家 小河泰帆とタシロサトミの往復書簡。制作について、日々思うことについてやりとりしていきます。
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タヒチと、本のお話 往復書簡#40

タヒチと、本のお話 往復書簡#40

画家・小河泰帆さんとの往復書簡40回目です。
前回はこちら、作品のお値段と行ってみたい美術館についてでした。

たくさんの行きたい美術館を挙げていただき、読みながら私もわくわくしてきましたよ。ヨーロッパやアメリカで美術館めぐり、やっぱり憧れますね。

私は出不精で、海外旅行はろくにしたことないのですけど、20代後半の頃タヒチに行ったことあります。その時『ノアノア』というゴーギャンのタヒチ滞在記を持

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作品の値段だったり、行ってみたい美術館など

作品の値段だったり、行ってみたい美術館など

画家・タシロサトミさんとの往復書簡#39回目です。
前回はこちらです。作品のお値段と、植物観察など。

マルクス資本論、学校で習ったぐらいの知識しかないですが、物やいろんな価値を貨幣に置き換えるって不思議ですよね。絵やアートの値段も不思議。なぜこれがこの値段??と思うものもたくさんありますが、根拠となる意味づけや流通の仕方、仕組みがあって言われると納得する時もあり。。。うーーん、、、資本主義〜。。

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作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

画家・小河泰帆さんとの往復書簡38回目ですよ。
前回は経済だったりNFTだったり、でした。

NFTアート以外にも今はいろんな発表形態や、作家支援の形がありますね。選択肢が多いのは幸せなことのような、煩わしいことのような。新しい技術を使ったサービスは、法整備が追いついているのかの問題も気になりますので、利用するのはおっかなびっくりです。

お金の仕組みについての勉強は、やらないとまずいなと私も思い

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仮縁問題と、ヒルマ・アフ・クリント 往復書簡#36

仮縁問題と、ヒルマ・アフ・クリント 往復書簡#36

画家・小河泰帆さんとの往復書簡36回目です。
前回はこちら、作品のサイズについてでした。

基本が100号サイズだったとは、すごい。でも言われてみれば、小河さんの根っこである身体表現を生かすのは確かに大画面ですよね。納得です。小品を愛でるように描くというのも、とても素敵ですね。

作品サイズによって作品に対する姿勢や考え方が違うの、よく分かります。
私の場合はいつも表現したいものありきの制作なので

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作品のサイズについて 往復書簡#35

作品のサイズについて 往復書簡#35

画家・タシロサトミさんとの往復書簡35回目です。
前回はこちらです。

タシロさんの嘘についての考察、作品とのつながりなど、とても面白く読ませていただきました。こういうやり取り、普段の会話だとなかなかできないものですよね。言葉として書かれるからこそ明確になる。良いですね。

作家さんによって得意なサイズってありますよね。
私も現在は100号(130×162cm)〜0号(18×14cm)まで、いろん

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noteの効果、嘘、難波田史男 往復書簡#34

noteの効果、嘘、難波田史男 往復書簡#34

画家・小河泰帆さんとの往復書簡34回目です。
前回はnoteの効果について、小河さんの場合でした。

作品管理表やスケジュールメモが参考になったとのことで、お役にたてて何よりです。確かにここまで細かい話は、作家同士でも普段あんまりしないかも知れないですね。
絵を描いていて完成間近になると、他人にとっては何が違うんだかよく分からないようなレベルの微々調整を繰り返しますが、この作業は自分の感情のわずか

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noteの効果と思ったこと。小河の場合 往復書簡#33

noteの効果と思ったこと。小河の場合 往復書簡#33

画家・タシロサトミさんとの往復書簡33回目です。
前回はタシロさんのひとり年末反省会と、違うということでした。

料理中に絵が見えて火加減調整のタイミングングを逸するってあるあるですよね。
私も家事をしてる途中で絵を描きに行ってしまうことは多々ありです。その確率が一番多いのは洗濯物かな。洗濯機回してる間に絵のことに集中してしまい、干すのを忘れちゃう。家とアトリエが一緒で制作の合間に家事ができるのは

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ひとり年末反省会と、違うということ 往復書簡#32

ひとり年末反省会と、違うということ 往復書簡#32

画家・小河泰帆さんとの往復書簡32回目です。
前回は自分の機嫌の取り方のお話で、なるほど~と思いながら読みました。

お料理、いいですね。煮豚とても美味しそうです。私も長時間ほったらかしの煮込み料理をよく作るのですが、アトリエと台所が一体化しているので、鍋をごく弱火にかけた横で制作してますよ。料理は美味しくできると嬉しいから、気分が上がっていいですよね。
炒めものとか、タイミングが重要な料理はたま

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自分の機嫌の取り方 小河の場合 往復書簡#31

自分の機嫌の取り方 小河の場合 往復書簡#31

画家・タシロサトミさんとの往復書簡31回目です。
文章を考えるって脳の普段使ってない部分を触ってるようでいいですね。頭の中がワシワシします。

前回はこちら

在廊して自分の作品見るのいいですよね。
タシロさんの武蔵美FALでの展示は空間の広さと作品の大きさが相まって包み込まれるような感じで気持ちよかったです。

会期の後半は疲労でヘロヘロわかります〜。普段は人と会って話すことが少ないので、私もよ

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自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

画家・小河泰帆さんとの往復書簡30回目です。
前回は在廊中のお話でした。

小河さんの学生時代のデッサン、空間きれいですね。私が在学時、武蔵美の授業で石膏は描かなかったです。
私も写真フォルダ漁ってみたら、通信課題や対面授業、デッサン会などで描いたものがでてきました。まあ普通のデッサンとクロッキーなんですけど、この写真が何かの助けになる状況もあるのならば、一応携帯に保存しとこうと思いましたよ。

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在廊中にどうしているか。往復書簡#29

在廊中にどうしているか。往復書簡#29

画家・タシロサトミさんとの往復書簡29回目です。
前回はこちら、タシロさんの作品タイトルつけ方のお話でした。

タシロさんは私と違ってシリーズでタイトルづけをされてるのでその理由と、シリーズ名を変えるときはなぜそうするのか興味あったので今回聞けてよかったです。
シリーズでつけてる方ってずーーっと変えない方も多いので。

そういう感覚すごく面白い。
私は言葉でも風景でも元々のものから膨らんで変化して

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作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

画家・小河泰帆さんとの往復書簡28回目ですよ。
前回はこちら、作品タイトルのつけ方のお話でした。

タイトルは完成作品からイメージした言葉をつけているとのこと、後付けが多いのですね。最初にあった元になったもの(例えばりんご)から離れていくことを恐れない感じ、「そのほうが何倍もイメージが膨らんで面白い」って書かれてましたけど、「膨らむ」って動詞は内側からものが湧き上がってくる様子の描写で小河さんの作

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作品タイトルをつける時。小河の場合 往復書簡#27

作品タイトルをつける時。小河の場合 往復書簡#27

画家・タシロサトミさんとの往復書簡27回目です。
前回はタシロサトミさんの図書館司書時代のお話を伺いました。

とのことですが、言われてみたらその通り、図書館で調べ物をしたいお客様にどの本が良いかおすすめするのも知識と技術が必要ですものね。かなりの読書家で探究心がないと務まらない仕事だと思います。それを9年間もやっていたなんてすごい!尊敬です。その経験が今の制作につながっているのも良いですね。

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絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

画家・小河泰帆さんとの往復書簡26回目です。
前回はこちらです。

教育実習での「一般教養としての美術」、なかなか難しいですね。作家にとっての美術はそういうものではないから、けっこう頑張って想像力を働かせないと掴みづらい感じがあります。

ひところビジネス書の出版社が美術関連書籍をつづけて発行していたので、何冊か読んでみたことがありますよ。ビジネス書がターゲットにしているような層は、どんな鑑賞体験

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