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作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

画家・小河泰帆さんとの往復書簡38回目ですよ。
前回は経済だったりNFTだったり、でした。

NFTアート以外にも今はいろんな発表形態や、作家支援の形がありますね。選択肢が多いのは幸せなことのような、煩わしいことのような。新しい技術を使ったサービスは、法整備が追いついているのかの問題も気になりますので、利用するのはおっかなびっくりです。

お金の仕組みについての勉強は、やらないとまずいなと私も思い、ひところ集中的に本を読んだことがあります。というのは、作家活動を始めるにあたって最初に自分の作品価格を設定する段で、見当がつかなくて困ったんですよね。ずっと消費者側にいたので、生産者側に立つとなったらそもそもお金って何でしたっけという疑問がわき、お金の仕組みや成り立ちに興味がわいたのです。
初学者向けマルクス資本論の解説本とか面白かったです。考えてみると、例えば100円均一で売ってるハサミと絵の具、紙を切れるものと色がつくもの、それぞれ用途や機能が全然違うのにこれを等価としますって、無理があるというか横暴というか不思議なんですよね。お金は大変便利ですが、へんな仕組みです。

ちなみに実際の作品価格設定については結局、自分と似てる経歴で、似たような場所で発表している方の価格を参考に決めるのが妥当としましたが、一番最初の展示は、経歴はともかく場所は決まってないですよね。なので振り返ってみると、この場所でやるなら価格はこれくらい、作品の強度はこれくらいはないと駄目と、場所ありきでいろいろを決めました。

2月も終わりになり、だんだん日差しが暖かくなってきました。タシロさんは春が近づいてきたな~というのをどのような時に感じますか?
タシロさんは緑の手を持つ人だと思うんですよね。お庭の植物の変化も季節によって色々あるのでは? お庭のことでも食べ物事でもなんでも、何かありましたら教えてください。

往復書簡#37より

お庭とアトリエに植物がたくさんあるので、お手入れしながら新芽や蕾を確認しては、日々春を実感していますよ。もともと繊細すぎるような植物は置かないので、おおむね元気に育っています。

4月ごろには、たくさんの種類の花が一気に開いて色とりどりの賑やかな庭になります。6月には3種類のあじさいが咲き、夏は緑がよく生い茂ってワッサワッサとジャングル化してます。
アトリエは掃き出し窓からすぐ庭に出れるつくりなので、シェードカーテンを上げておくと庭との境界が曖昧になって、よりいっそう緑に囲まれている感じで気分よく制作できます。元気でます。

植物観察はとても面白く、絵画制作する上で非常によい刺激をもらってます。特にツタ植物が垂れ下がる造形はとても好きで、アトリエには吊り鉢が8個さがってます。種類が違う植物なので色・形・垂れ下がり方も様々で、優雅そう、やんちゃな感じ、スタイリッシュなどイメージが異なるんですよね。そのイメージの根拠となった形はどのラインなのかなど、じっくりと研究者の眼で細部や全体のバランスを観察するのが好きです。特に吊り鉢は、四方八方から舐め回すように見ることができるので最高ですよ。

オリズルラン、かっこいいです!

さてさて、お次のお題です。
近頃は、都内を歩いているとだいぶ旅行客が戻ってきたなと感じますね。
国内外の美術館や美術品で、一度は行ってみたい・見てみたいというものがありましたら教えてください。