タシロサトミ

抽象画を描いてます。東京を中心に活動。年に1・2度の個展、グループ展多数。基本引きこもってます。趣味はお庭の植物観察。https://tashirosatomi.com

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    画家 小河泰帆とタシロサトミの往復書簡。制作について、日々思うことについてやりとりしていきます。

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自己紹介

抽象画を描いているタシロサトミです。noteはじめました。 主に東京にて、こんな感じの展覧会をしています。 よろしくお願い致します! 作品の特徴は、ゆがんだ形の支持体(キャンバスやパネル、紙などのこと)と、厚塗りの絵の具(アクリル絵の具にメディウムを混ぜている)、微妙な色味(やたら混色している)、破線(点々の線)などです。 私の興味は、自分と世界がどのように関わったのかにあります。 最初に意識したのは自分の肌と直接触れ合う距離にある日用品との関係でした。
美大卒業後まず取

    • 続、野望のおはなし 往復書簡#46

      画家・小河泰帆さんとの往復書簡46回目です。 前回はこちら、美術史と野望のおはなし。 小河さんがすごくいい文章を書いてくださったので、お応えすべく私も正直に、野望について書きます。野望という言葉のもつメラメラした感じに見合う感情は、持ってる時期とそうでない時期がありますよ。私は来年で作家活動10年なのですが、ムサビ卒業したての2014年頃の野望は、いつか品川の原美術館で展示したい、でした。 原美術館とても素敵な建物でしたよね。1996年の倉俣史朗展に友人と行ったのが最初な

      • 美術史に名を刻む方法とか 往復書簡#44

        画家・小河泰帆さんとの往復書簡44回目です。 前回はこちら。 小河さんがあげた美術館の展覧会で私も見たのは、アブストラクション、マティス、蔡國強、テート、ワールドクラスルームです。これ以外でこの夏に見たのは、DIC川村記念館でジョセフ・アルバース、山梨県立美術館でミレーと4人の現代作家たち、東京都現代美術館でホックニーと「あ、共感とかじゃなくて。」、オペラシティアートギャラリーで野又穣ですね。 夏は長期休みに合わせてか面白い展覧会が多くて、毎年楽しみです。 アーティゾン美

        • 出鱈目で薄情な子供が信頼するもの 往復書簡#42

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡42回目ですよ。 前回は活動休止していた期間のお話でした。 小河さんの9年間はとても充実した、インプットの期間だったのだなと思いました。 育児で活動休止されていた期間も、「やめたつもりはなく、またいつか描くと思ってました」とありましたが、その感覚はわかります。私も絵に対する感情って、安定しているというか信用している感じがあって、一時的に離れたとしても大丈夫だと思えますね。やっぱりシンプルに、描くのが好きってことなのでしょうか、好きは強いですね。

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          タヒチと、本のお話 往復書簡#40

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡40回目です。 前回はこちら、作品のお値段と行ってみたい美術館についてでした。 たくさんの行きたい美術館を挙げていただき、読みながら私もわくわくしてきましたよ。ヨーロッパやアメリカで美術館めぐり、やっぱり憧れますね。 私は出不精で、海外旅行はろくにしたことないのですけど、20代後半の頃タヒチに行ったことあります。その時『ノアノア』というゴーギャンのタヒチ滞在記を持っていき、海辺の木陰でごろごろしながら読みました。まさかその後、自分が画家として

          タヒチと、本のお話 往復書簡#40

          作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡38回目ですよ。 前回は経済だったりNFTだったり、でした。 NFTアート以外にも今はいろんな発表形態や、作家支援の形がありますね。選択肢が多いのは幸せなことのような、煩わしいことのような。新しい技術を使ったサービスは、法整備が追いついているのかの問題も気になりますので、利用するのはおっかなびっくりです。 お金の仕組みについての勉強は、やらないとまずいなと私も思い、ひところ集中的に本を読んだことがあります。というのは、作家活動を始めるにあたっ

          作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

          仮縁問題と、ヒルマ・アフ・クリント 往復書簡#36

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡36回目です。 前回はこちら、作品のサイズについてでした。 基本が100号サイズだったとは、すごい。でも言われてみれば、小河さんの根っこである身体表現を生かすのは確かに大画面ですよね。納得です。小品を愛でるように描くというのも、とても素敵ですね。 作品サイズによって作品に対する姿勢や考え方が違うの、よく分かります。 私の場合はいつも表現したいものありきの制作なので、作品サイズに関してもそれを意識しますよ。 表現したいものは自分と世界との関わり

          仮縁問題と、ヒルマ・アフ・クリント 往復書簡#36

          noteの効果、嘘、難波田史男 往復書簡#34

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡34回目です。 前回はnoteの効果について、小河さんの場合でした。 作品管理表やスケジュールメモが参考になったとのことで、お役にたてて何よりです。確かにここまで細かい話は、作家同士でも普段あんまりしないかも知れないですね。 絵を描いていて完成間近になると、他人にとっては何が違うんだかよく分からないようなレベルの微々調整を繰り返しますが、この作業は自分の感情のわずかな揺れを頼りにすすめるので、心の動きにすごく敏感になりますね。最高だなと駄目だわ

          noteの効果、嘘、難波田史男 往復書簡#34

          ひとり年末反省会と、違うということ 往復書簡#32

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡32回目です。 前回は自分の機嫌の取り方のお話で、なるほど~と思いながら読みました。 お料理、いいですね。煮豚とても美味しそうです。私も長時間ほったらかしの煮込み料理をよく作るのですが、アトリエと台所が一体化しているので、鍋をごく弱火にかけた横で制作してますよ。料理は美味しくできると嬉しいから、気分が上がっていいですよね。 炒めものとか、タイミングが重要な料理はたまに微妙な出来になります。これは部屋の配置に問題があって、料理しながら制作途中の絵

          ひとり年末反省会と、違うということ 往復書簡#32

          自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡30回目です。 前回は在廊中のお話でした。 小河さんの学生時代のデッサン、空間きれいですね。私が在学時、武蔵美の授業で石膏は描かなかったです。 私も写真フォルダ漁ってみたら、通信課題や対面授業、デッサン会などで描いたものがでてきました。まあ普通のデッサンとクロッキーなんですけど、この写真が何かの助けになる状況もあるのならば、一応携帯に保存しとこうと思いましたよ。 在廊は私も好きで、自分の絵を見るの幸せですね。自分の絵大好きってちょっと笑っちゃ

          自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

          作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡28回目ですよ。 前回はこちら、作品タイトルのつけ方のお話でした。 タイトルは完成作品からイメージした言葉をつけているとのこと、後付けが多いのですね。最初にあった元になったもの(例えばりんご)から離れていくことを恐れない感じ、「そのほうが何倍もイメージが膨らんで面白い」って書かれてましたけど、「膨らむ」って動詞は内側からものが湧き上がってくる様子の描写で小河さんの作品にぴったりだと思いました。 小河さんの作品は色が笑ってるというか、楽しそうにス

          作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

          絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡26回目です。 前回はこちらです。 教育実習での「一般教養としての美術」、なかなか難しいですね。作家にとっての美術はそういうものではないから、けっこう頑張って想像力を働かせないと掴みづらい感じがあります。 ひところビジネス書の出版社が美術関連書籍をつづけて発行していたので、何冊か読んでみたことがありますよ。ビジネス書がターゲットにしているような層は、どんな鑑賞体験を絵画に求めているんだろと思って手にとったのですが、自分にはない視点のお話が多く

          絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

          最近みた展覧会、リヒターとか 往復書簡#24

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡24回目ですよ。 前回はこちら。 友人たちとミニシアターでオールナイト興行、とても楽しそうです。映画館の椅子の感触と眠気もセットで、良い思い出ですね。 私、オールナイト興行は15年くらい前に、タランティーノとロドリゲスの映画数本立てを見に行ったことあります。両監督による「グラインドハウス」という、60-70年代アメリカB級低予算映画へのオマージュ作品の、日本公開にあわせた上映会でした。この映画は仕事上がりの疲れた頭で、ポップコーンとコーラ片手に

          最近みた展覧会、リヒターとか 往復書簡#24

          悲喜劇と白黒映画、見せない面 往復書簡#22

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡22回目です。 前回は好きな映画のお話で、デビット・リンチへの愛が溢れる記事をありがとうございました。 私、デビット・リンチが絵を描いてるのを知ったの、つい10年位前なんですよ。渋谷ヒカリエがオープンしたての頃、8/でリトグラフを見ました。それまで彼のことを映画監督だと思っていたので、作品がとてもよくて驚いたのですが、同時に納得したのを覚えています。 デビット・リンチの映画って、数本観ただけの自分の感想ですが、不気味で猟奇的で意味は全然わからな

          悲喜劇と白黒映画、見せない面 往復書簡#22

          舞台芸術を鑑賞すること 往復書簡#20

          画家・小河泰帆さんとの往復書簡20回目です。 前回のお話は絵画作品以外の、影響を受けたり参考にしているもののお話でした。 やはり小河さんにとっては演劇が柱なのですね。「才能というのは、夢を見続ける力のこと」、いいセリフですね。 
私、第三舞台はみたことないのです。劇団☆新感線と演劇集団キャラメルボックス、大人計画、ナイロン100℃はそれぞれ1.2回だけ見たことあって、なんとなく雰囲気がわかる程度には知っています。劇団の歴史にまったく詳しくないのですが、世代がちょっと後ろにず

          舞台芸術を鑑賞すること 往復書簡#20

          SNSのマイナス面、著作権とか 往復書簡#18

          画家 小河泰帆さんとの往復書簡18回目ですよ。 前回に引き続き、作家活動とSNSについてのお話です。 SNSはいろいろな使い方ができるので、悩ましいですよね。 私自身、確固たるポリシーがあるわけでもなく何となく日々使っているので、小河さんの文章を読んでだいぶ整理できた感じがしました。 マイナス面として挙げられていた著作権トラブルは、巻き込まれると本当に面倒だし深刻なので、できることなら一生煩わされることなく過ごしたいですね。著作権は著作物すべてに自動的に発生する権利ですけ

          SNSのマイナス面、著作権とか 往復書簡#18