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作品の値段だったり、行ってみたい美術館など

画家・タシロサトミさんとの往復書簡#39回目です。
前回はこちらです。作品のお値段と、植物観察など。

初学者向けマルクス資本論の解説本とか面白かったです。考えてみると、例えば100円均一で売ってるハサミと絵の具、紙を切れるものと色がつくもの、それぞれ用途や機能が全然違うのにこれを等価としますって、無理があるというか横暴というか不思議なんですよね。お金は大変便利ですが、へんな仕組みです。

ちなみに実際の作品価格設定については結局、自分と似てる経歴で、似たような場所で発表している方の価格を参考に決めるのが妥当としましたが、一番最初の展示は、経歴はともかく場所は決まってないですよね。なので振り返ってみると、この場所でやるなら価格はこれくらい、作品の強度はこれくらいはないと駄目と、場所ありきでいろいろを決めました。
往復書簡#38より

マルクス資本論、学校で習ったぐらいの知識しかないですが、物やいろんな価値を貨幣に置き換えるって不思議ですよね。絵やアートの値段も不思議。なぜこれがこの値段??と思うものもたくさんありますが、根拠となる意味づけや流通の仕方、仕組みがあって言われると納得する時もあり。。。うーーん、、、資本主義〜。。
アートと値段との関係を描いた映画もいくつかありますが、皆興味深いとと思います。まだ未見ですが、時間ある時に見たいと思ってるのは
『アートのお値段』『ダヴインチは誰に微笑む』『レンブラントは誰の手に』
です。アマゾンプラス+シアター登録してみるか!

そして私も最初の作品発表価格は発表している場所、ギャラリーの相場、同じぐらいの経歴の方と同程度の値段をつけました。
その後は活動実績ができてきて、企画画廊で発表するようになってからは、画廊さんや画商さんと話し合って価格を変えて行っています。関わってくださる人が増えてくると、いろんな考え方があるので迷うことも多いのですが、つけられた値段以上の良い作品を制作してみてるくださる方々に提供していきたいと、価格のことを考えるたびに思います。

植物観察はとても面白く、絵画制作する上で非常によい刺激をもらってます。特にツタ植物が垂れ下がる造形はとても好きで、アトリエには吊り鉢が8個さがってます。種類が違う植物なので色・形・垂れ下がり方も様々で、優雅そう、やんちゃな感じ、スタイリッシュなどイメージが異なるんですよね。そのイメージの根拠となった形はどのラインなのかなど、じっくりと研究者の眼で細部や全体のバランスを観察するのが好きです。特に吊り鉢は、四方八方から舐め回すように見ることができるので最高ですよ。

タシロさんやっぱり緑の手を持つ人だ〜。お庭とアトリエの植物のお話面白いです。植物観察が絵画制作する上で非常に良い刺激になるというのもかわかります。
吊り鉢のいいですね。我が家には吊り鉢はないので、今度置いてみようかしら??植物の蔓の形、自分にはない形状の引き出しになりそうです。そしてオリヅルランの写真カッケーーー!!こういうカッコよさに出会うと、自然には勝てないなって思っちゃいます。

さてさて、お次のお題です。
近頃は、都内を歩いているとだいぶ旅行客が戻ってきたなと感じますね。
国内外の美術館や美術品で、一度は行ってみたい・見てみたいというものがありましたら教えてください。

#往復書簡38より

美術館、大好物です。
今年くる展覧会で楽しみなのはマティス展。マティスの絵って色がいいんですよね。あの本物の色を自分の目で見たいです。
現在東京都美術館で開催中のエゴンシーレ展はすでに見に行ったのですが、エゴンシーレだけではなくウイーン工房の作家の作品も多く、クリムトの風景画やココシュカの絵があったのはよかったです。でも、もっとシーレの素描が見たかったな。
ヒグチユウコ展(森アーツセンターギャラリー)も行きたい。これはデザインを勉強してる娘たちを連れて行きます。

東京都庭園美術館、西洋美術館、東京博物館、近代美術館、川村記念美術館、アーティゾン美術館などは、建物や常設展などが好きなので、いつでも行きたい美術館です。
海外だとオランジェリー美術館のモネの部屋は行きたい。20代の頃に武蔵美の校友会がやっているヨーロッパ研修旅行で一度行ったのですが、今行くとまた違う感動があると思います。あとフィレンツェに1週間ぐらい滞在してジョットの鐘楼のあるドゥオーモや、ウフィツィ美術館に毎日のように入り浸りたいです。
そしてアメリカは行ったことがないので、ニューヨーク近代美術館MoMAは行きたいです。
見たいもの、行きたい場所はたくさんあるな〜。ホントお金と時間があれば…ですね。

さてさて、次のお題です。
タシロさんはとても読書家で勉強家だと思うのですが、おすすめの本や好きな作家さんなどいましたら教えてください。
私、昔は本もよく読んだのですが、ここ何年も長い文章が読めず、美術や自分に関係のあるもの以外の本から離れていたのですが、最近また小説を読み出して、辻村美月『傲慢と善良』や、湊かなえ『母性』を読みました。両方とも話題の本の文庫化で本屋の店頭にあって手に取って読んだら面白かったです。
本って活字だけなのに、そこにいろんな情景や感情や思考が込められていいですよね。小説でもルポでも美術書でも何でもオススメありましたらぜひ!

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