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#小説

7/16 自書

7/16 自書

あの日、僕はまた何も言えなかった。

周波数化する怒声。
剥き出しにされた眼球に縛れて固まる全身。
正面から感情の波を浴びせられる身震。
それを容赦無く飲み込むちっぽけな心。

その全てが、
その時の世界の元素へと瞬時にすり替わって、
まるで僕の呼吸を深水へ沈め込むようで。
鈍い重圧と鈍痛が、僕の喉を潰して襲うのだ。

声が出ない。
これは、比喩でも演出でもない。
そう受け止めるしかできない、強制

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毎日400字小説「喫煙ルームにて」

毎日400字小説「喫煙ルームにて」

会社の喫煙ルームで高校の時の同級生が死んだというラインを読んだ時、文字通り私は息ができなくなった。スマホに目を落としたまま、何も考えられず、ただ茫然と固まった。死んだ同級生と私は高校時代、恋人同士だった。彼女のほうから告白され、しかし付き合いはひと月で終了した。私のほうは心を残していたが、彼女は別の同級生と付き合い出した。振られた理由はいまだにわからなかった。
「岡崎さん」という部下の声で

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虚像

虚像

寂しさを埋めるために他人がいるはずなのに
あの人と会う度 寂しさで心が埋まっていく

おかしい

そして、寂しさを「温もり」に変えられない自分が不甲斐ない。

酔った時に見せる虚像はかっこよくて
私が知ってる実像はもっともっと美しくて惚れてしまう。
「悔しいからもうそんなことしないでよ。傷つくんだから。」
と、弱い被害者の素振りを見せてみるけど
なんにもかわらないんだよな。

このまま夢に包まれて

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